見出し画像

二枚の地図

大阪に住んでいて、東京まで遊びに来た時のこと。
原宿駅近くで用事を済ませると、まだ待ち合わせまでかなり時間があった。
私は表参道に行ってみようと思った。
ここからそんなに遠くはないはずだ。

当然、「原宿」も「表参道」も知っている。
お洒落な生活や、ましてファッションになどまるで興味のない私でも、つけっぱなしのテレビやネット記事、本屋に並んだ雑誌などから勝手に流れてくる情報で幾度も見聞きしてきた。

私は原宿駅に戻り、駅の路線図から表参道までの切符を買い、電車に乗った。

乗り換えて表参道で下車し、街の雰囲気を感じながら何気なく大通りを歩いた。

鳥肌が立った。
デジャブだ。
原宿駅がそこにあるではないか。

しばらく事態が飲み込めなかった。
そんなに遠くないはずだと思っていたけれど、歩ける距離にあるとは知らなかったのだ。


原宿という街と表参道という街、電車の路線図と、地上の地図、それらが一気に重なり合う。
そうか!
そうだったのか!!

バラバラの点と点だった「原宿」と「表参道」が瞬時に繋がり、私の頭の中で新たな地図ができあがる。

比べるものが違いすぎるけれど、点と点が繋がるこの瞬間の感動は、きっと世紀の大発見をした科学者と同じ感動なのだと思う。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?