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第5章 日本語教育能力検定試験での配慮申請、記述式の書き方、試験前の最終調整


5-1 疾病やハンディに関する「配慮申請」について

*これは過去の体験記です。現状と不一致な情報もあるかもしれません^^


持病や身体状態等で、会場での受験に不安を覚えるかたもいらっしゃるかと思います。日本語教育能力検定試験では「(合理的)配慮申請」ができます
私も、申請をしました。

経験した者として、改めて重要だと感じたのは、諦めないこと。
たとえば、

・この検定はマーク式だから、マーク式回答に不利な自分には難しい
・聴解試験は、難聴の自分には不利だ
・代理回答は許可してもらえないだろうな
・せっかく勉強しても、点字での受験ができるかどうかわからないし…

など、懸念を持ちながら勉強中の人もいるかもしれません。

受験希望なのであれば、諦めずに、まずは願書と配慮申請用紙を取り寄せると良いかと思います。
私の時の配慮申請用紙からは、上記のような懸念があっても受験できそうに思えました。

用紙形式が変わるもしれないので用紙の写真掲載は避けますが、手にすると、「ああ。こちらの要望を申し出て、交渉していいんだな」と、ホッとできる用紙でした!

●申請のタイミング、方法

全体の流れは以下の通りでした。

出願書類を書店購入で入手する
→出願案内で申請の手順を確認する
→申請用紙入手のために電話をする(出願前に)
→用紙で記入事項を確認し、必要な準備をする
→用紙を印刷し、必要事項を記入する
→出願書類に同封して郵送にて提出する。

申請書類はEメールでの添付でもいただくことができました。
メールでもらうとなんとなく提出もメールでしたくなってしまうの注意です(そんな注意が必要なのは私だけ? 笑)。  
用紙をダウンロード→印刷→記入→出願書類に同封して郵送です。

●申請用紙への記入

用紙には理由(事情)と希望する配慮内容を書きます。

用紙には主だった希望項目が書かれていました。希望内容に該当するものに○印をつけて出せばOKでした。「その他の希望配慮」という欄もあるので、自由記入もできます。

病状や身体事情に関する添付書類は、手帳や証明書、医師の診断書や検査結果データなど、添えて出せるものがあればそれも出します
様式は任意で、写し(コピー)可でした。
障害認定の有無は不問なように思えました。

●申請後

確認の電話が8月中旬にありました(この電話は、必ず全員にあるのかどうかはわかりません)。その際に口頭でも再度、状態や配慮希望内容の確認がなされました。

電話を受けたそのときには緊張したのですが、親切丁寧な口調で、その緊張もすぐに解れました。できうる範囲内でベストな受験環境を準備するための確認をしてくださったのだなと感じました。

その際、別室受験についての意向確認がありました(その確認があるかどうかもケースによるのかもしれません)。希望は率直にお返事して大丈夫だと思います(希望のとおりになるとは限らないので、だからこそ)。

●別室受験はどんな感じか

別室受験になると、ごく少人数で試験を受けることができます。試験会場の教室数に余裕があればひとり1室の可能性もあります(それぞれに配慮内容が異なるため)。ハンディに対してサポーティブな環境で受験ができて、試験終了後は部屋からすぐに出やすいのがメリットです。

その一方で、別室になると、試験監督者(正・副で2人以上)との距離が近くなります。『大勢の受験生の中のひとり』にもなれません。
また、試験開始時の待ち時間も長いです。正確には他の受験者より長いわけではないのですが長く感じられるので、手持ち無沙汰感が生じるかもしれません。試験の開始時はメインの大会場では受験者確認や用紙配布等に時間がかかるのに対し、別室ではそれがすぐに終わるからです。シーンとした待ち時間が20分弱。緊張しやすい人は辛いかもしれません。

総じて、大変親切かつ丁寧に対応していただきました。
私は配慮申請して良かったです。あれほどまでにしていただけて感謝の気持ちでいっぱいです。

5-2  10月以降の最終調整期の過ごし方

5-2-1 全過去問、各問題のカード化

10月以降は体調保持が最優先。のんびりと過ごしつつ、総仕上げと過去問での全出題内容のカード化に取り組みました。
カードといってもただのメモですが。こんな感じです。

カードというよりただのメモ の画像
*書かれている内容の正否の保証はありません。

過去問に取り組んだらその都度ノートに書き出して復習していたわけですが、この時期には過去問を4回終えており、9割5分の得点になっていました(同じ問題を繰り返したので当然ですが)。過去問をそれ以上同じやり方で続ける意味はなかったため、過去問の生かし方を変える意味で、このようなカード化の方法をとりました。

5年分の過去問の全問題と答え・要点について1枚ずつに書き出したら、自分の言葉で分類し、分けて保存します。
そして「文法関連の全問題を見ておこう」とか、「異文化コミュニケーション関連を確認しよう」と、復習や確認に使いました。

前泊をして受験地に行く必要があったので、カード(メモ)はとても便利でした。書籍やこれまでの全ノートを持つのは重すぎる。でも移動時や前夜は復習もしたい。その要望がこのカードで叶いました。

試験当日は、特に休憩時間等に見直したいカードを選抜しておき、会場でベスト・セレクションを見て過ごしました(あの発音記号表含む)。

便利すぎて未だに持っています(今後、国家試験化などでいつどのように必要になるかわからず、手放せません…)。


ちなみに、私は、「めざせ9割。つかめ7割」で勉強していました。
どういう意味かというと、過去問で9割以上正答できるくらいになれば、試験本番でも7割ほどはいけるかなと考えました。

あてずっぽうでしたが、この感覚は、だいたい合っていたように思います。

5-2-2 すぐにできる記述式対策〜より確実に回答文を書く秘訣〜

10月の直前期はカード化のほかに、聴解と記述式対策にも力を入れました。

聴解は、試験II部分だけをさらに回数を重ねて繰り返しました。

記述式ではどんなことを問われてもある程度は外れずに文字数が埋められるような練習に力を入れました
誰でもすぐにできますので、よかったらやってみてください。

たとえば次のような問題だとします。

「学習者Aは、Bの状況でCと述べた。この学習者に不足している知識は何か。また、そのためにどのような指導をするか。理由とともに、指導方法について具体的に記述せよ」

次の2点を意識して回答文を書きます。

・出題の言葉をそのまま回答に使う
・書いたら出題文内の文や言葉を消してつぶし、問いに答えているかを確認する

サンプル回答文はこうなります。

『学習者Aは、Bの状況でCと述べた。この学習者に指導する場合には、不足している知識を補う必要があると考える。そのための具体的な指導方法としては…。その方法を取る理由は…。
 以上のとおり、Bの状況でCと述べた学習者には、…が不足していると仮定し、その知識を補うために、…することが望ましい』


出題文を意識して書くだけで、出題文の2〜3倍の文字数になります。

回答を書いたら、回答で使った語句を出題文側で消すことで、問われたことから外れない内容・論述かどうかを確認します。

学習者Aは、Bの状況でCと述べたこの学習者に 不足している知識 は何か。また、そのためにどのような指導をするか。理由とともに、指導方法について具体的に記述せよ」

出題の言葉をそのまま繰り返して文を書きはじめるのは、出題文をちゃんと読んだことを回答文で示すには、反復が最もシンプルで確実だと思うからです。

記述式において、問いをきちんと受け止めたということとその問いに沿って答えようとしている姿勢を示すのは、非常に重要だと私は考えました。たとえ答えられないとしても、その姿勢があるだけで得点できるかもしれないとも思いました。

なぜかというと、日本語指導の立場に立てば、学習者からの質問に答える場面が必ずあるからです。その際に、質問をきちんと聞きもしないで思いついた自論を語るような教師・講師は最悪です。記述式ではそこについての姿勢や意識も見られているかもしれません。

だからこそ、回答を書いたら、出題文中での語句や文を消してつぶし、確認します
これでアクション実行の確認と共に、つぶせていない事柄に気づくこともできます。また、語彙や表現を変えて書いてしまっている箇所があれば、出題文通りでの語彙や表現に直すなどの修正にも生かせます。

なお、論述内容を考えるには、勉強中に繰り返し「どうしてかというと」「何が理由かというと」で考えてきたことが、記述式でも役立ちました。
わからないと感じる事柄でも、出題文をベースにして推論の進む言葉を使って考える。そして、出題の問い(上の例なら「不足している知識は何か」という問いは、『不足している知識がこの学習者にはあり、指導時にそれを補う必要がある』という仮説がベースだということです。それを)論じる際の論拠として添えるようにしました。

以上を行うだけで、記述式問題で問われることについての知識や経験がさほどない出題でも、ある程度は整った形でそれなりの文字数で書くことができます。シンプルで誰でもできますので、良かったらやって見てください。

以上のように、10月は、知識の幅を増やすのではなく、それまでにやったことを総動員して勉強しました。

5−3 試験当日について


準備の初期から当日のベスト・セルフを思い描いてそれを目指してきているので、もう何も心配はいらないと思いますが、改めて少しだけ。

●服装

10月の試験日あたりはまだ気候変動が激しく、暑さや寒さの変化もあります。調整しやすい何かや、念の為のカイロを持つなどするといいかもしれません。(私は台風が心配で、ポンチョの準備などもしていました 笑)

アナログの腕時計は必携です。時計のない会場もありますし、座席位置から見えるとは限らないためです。そしてデジタルな時計は不可でした。スマートウォッチももちろん禁止です。
なお、時計の「ピッ!」も含めてアラームや電子音は厳禁です。鳴ると退室しなくてはならなくなります

●会場で

会場の開場は50分前です。私は45分前くらいに着きました。退屈するかな?と思いましたが心配不要でした(笑)。大学が会場の場合、大学の構内がめっちゃ広く、教室にたどり着くのに10分近くかかることも珍しくありません。建物の出入り口やトイレの場所などの確認をしていたら時間はすぐに過ぎました。
そして着いたらスマホ電源はオフに。万が一でも鳴ってしまうと大変です。

そうそう! 会場の最寄り駅〜会場の間で、ビラ配りがあったのを思い出します。動揺しやすい人は、受け取らずに済ますのがいいかもしれません。
私は、試験に関する重要な案内?と思って受け取ったのですが、オンラインセミナーの案内や養成校の案内でした。
中には、関心を持って見てもらうための工夫だと思うのですが、「次のうち、◯◯なのはどれ? 答えはセミナーで」みたいなものがありました。
直前に動揺したくない人はビラは受け取らない方がいいかもしれません。

●トイレ

トイレは混みます(特に女性用)。人が行かなそうな場所のトイレを見つけておくのもいいと多います。また、ペーパータオル等のないトイレも多く、手洗いもこみますので、ポケットには常にハンカチを。

●その他

個人的な好みですが、持参した中で良かったものは次の通りです。
 ・高カカオ(95%)のチョコレート
 ・はちみつあめ(喉がいがらっぽくなったらなめました)
 ・ハッカ油(リフレッシュ用。ハンカチに1滴たらすと鼻が通り目も冴えます)
 ・熱めの白湯(少ない水分補給量でも、喉を潤したり体を温めたりできます)
 ・持病の薬
 ・鎮痛剤(実際は飲みませんでしたが、頭痛や腰痛に備えました)

●試験終了後

試験 III は16:40に終わります。
「記入をやめてください」の声がかかったあと、試験監督者が回答用紙を一枚ずつ集め、解散OKの指示が出たら会場を出ることができます。時間にすると5分程度で、各部屋から皆さんが退出していた感じでした

帰りの電車時刻等、気になるかと思いますので参考まで。もし令和5年以降の試験が以上の通りでない場合にはご容赦ください。



全5章での体験記は以上です。
長いものをここまでお読みくださりありがとうございました。

最後に付録として、月毎にどんな行動をしたのかの一覧を添えたいと思います(まだ書くんかい)。


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