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ヨーロッパの学生運動を垣間見る 【Play back Shamrock #14】

※ご注意※ 本連載は2020年に経験した出来事を1年後に振り返る趣旨で公開しており、掲載の情報等は2020年当時のものです。また、第10回以降は当初の公開予定よりも大幅に遅れて公開に至りました。

(見出し画像:デモの様子)

 今回は旅行や日々の生活の記録とは一線を画した内容をお伝えしたい。今となっては(※コロナ前の話)日本の大学内でデモや抗議運動が目に付くケースは決して多くないのだが、ヨーロッパではそうとも言えないらしい。私が語学研修のため通学していたUCD(University College Dublin)では2020年3月初旬頃、学生にとっては無視できないであろう懸案事項が持ち上がっていた。今回はその抗議運動にたまたま遭遇した際の経験談を残しておこうと思い書くことにした。
 懸案事項とは、学内の学生寮の家賃値上げだった。その後どうなったのかは把握できていないが、学生側の反発は小さいものではなかった。

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写真:デモの最中に掲げられていた”NOT A BUSINESS”の幕

 “Not a business!”
 “Join the protest!”
 こんな掛け声がUCDのキャンパス内に響いたのは3月4日の昼過ぎのことだった。昼までで授業が終わって帰路に就こうとしていた私は、学内で何やら集まっている学生の一団を見かけて近くまで行ってみた。
 学生らはプラカードを持って建物前に集結。その前には”NOT A BUSINESS”と手書きの大きな文字で書かれた幕が掲げられていた。しばらく様子を見ている間に、リーダーと思しき学生が拡声器を手に話を始めた。そして最後、先ほど例示した2つのフレーズを一同が息を合わせて唱え、遠くまで届くほど迫力のある大合唱になった。
 抗議活動はこの日だけではなかった。それ以前にも授業中に集団が声を上げて何かを必死に訴えかけているのが教室の窓越しに聞こえてきたことがある。また、大学内に朝入っていく際にゲート付近でテントを張って抗議の意思を示している様子も見受けられた。まさに「徹底抗戦」の様相だった。
 先にも述べたようにこの件がどのような顛末を辿ったのか、事態のその後の推移は把握できていないが、本場ヨーロッパのエネルギッシュな抗議運動を目の当たりにすることになった。私自身、何らかの抗議運動に参加することは場所を問わずないだろうが、その精神は見習いたいと感じた。

 ということで、今回は変わり種の内容となったが、次回以降は再び旅の記録などをお届けしたい。そして言わずもがな、新型コロナウイルスの影響はヨーロッパでも確実に出始めてきていた。旅を楽しむことができるのも、ほんの束の間の話になってしまうのであった。

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