窓越しの日本 30 saku381 2021年6月22日 21:25 日本の風景が珍しい 長年日本に住んでいるはずなのに珍しい 神様たちが山やら新しい森やら川の中に中洲やらをまだ作っている最中のように 作っているのは人間だけど 人間だけの技じゃないように見えるのは きっと人間の数が減ってるから 押し寄せる自然造形力 挫けない人間生命造形力 この静けさはなんだろう ざわめきが聞こえてこなくなった耳 安心かもしれない 日本にはもう燃え滾るような汚さは無いのかな ジオラマのように美しい ジオラマになってしまったコロナ時代 人影が消えると川の神や草の神や天の神が行き交う 自動車の形をしているけれど実は人かもしれない 空と同じ色の太陽光パネル 呼吸さえも細そうな それでもそれでも 人は夢見るものだから 天空しかなくても 宇宙にも神にもそれはできないよと言われても 森の向こうの街山の向こうの街海の向こうの街雲の向こうの街 初めての街で初めての街角を曲がるように 茶室の隣のトンネル キッチンの隣の橋 庭の隣の月面 変わらない安堵 変われない不安 突然の巨大 おかげでのんきに移動できているんだっけ 感謝するしかない ない 日本の風景なのだろうか 本当にそうなのだろうか 撮ったのは自分のはずだが知らない時代の知らない国の 知らない物語 幾何学模様の耕地 赤い機械白い機械 田畑も橋も建物もある日ひらりと剥がれて それぞれの憧れの空間へ飛んで行ってしまうかもしれない景色 命をつなぐのは絵空事ではないけれど 中継地点でしかないと思えば 自分だけは自分の夢にいい子いい子してもいいんじゃない 目の端に世界という激流をかすめさせながら 目前を凝視もしながら いいなと思ったら応援しよう! チップで応援する #写真 #詩 #景色 #違う景色 30