
整形外科一問一答③「痛みの原因、炎症との関係は?」
第3回目を向かえました。本日も頑張って書きます。
こちらで書かせて頂いたように炎症の中に「痛み」という要素があります。
炎症 = 痛みを伴う
わけですが、炎症以外が原因でも痛みは起こります。
痛みは大きく3種類ある
痛みには大きく
・侵害受容性疼痛
・神経障害性疼痛
・心因性疼痛
の3種類があります。これらが組み合わさったり、単独であったりするんですね。
それぞれ見ていきましょう。
侵害受容性疼痛
体の組織の損傷によって起こる痛みのことです。 ほとんどの痛みは侵害受容性疼痛に分類されます。
侵害受容性疼痛は、組織の損傷を感知する「侵害受容器」への刺激にからくる痛みで、侵害受容器は大半が皮膚と内臓に分布しています。
ちなみに炎症による痛み(炎症性疼痛)もこれに入ります。
侵害受容性疼痛の治療
炎症を抑える薬、いわゆるロキソニンやセレコックスに代表される消炎鎮痛薬を使用します。
神経障害性疼痛
神経そのものが傷付いたり、異常に興奮して起こる痛みのことです。
ウイルス疾患である帯状疱疹になると末梢神経がウイルスに冒されて痛みを感じるようになったり、糖尿病では末梢神経が冒され痛みやしびれが出ますが、これも神経障害性疼痛です。
整形外科領域だと、頚椎症性神経根症や腰部脊柱管狭窄症、椎間板ヘルニアが代表的ですね。
神経障害性疼痛の治療
消炎鎮痛薬は、基本的には効かないです。(ただし炎症性疼痛が混ざっていたり、急性期だったりする場合は、使うことがあります。)
神経伝導の興奮を抑えるリリカと呼ばれる薬などを使用します。
#最近はタリージェも
心因性疼痛
痛みの原因が何もないのに脳で感じる痛みのことです。
既往歴などから複合的な判断で、心因性疼痛を強く疑う場合は、精神科や心療内科に介入して頂きます。
CRPS
原因をいくら調べても分からない痛み。
一昔前は、これは心因性の痛みと言われてきましたが、昨今はCRPS(複合性疼痛症候群)と言われ、積極的に治療するようになりました。
原因は不明ですが、外傷後に発症することが多いことから、末梢神経の再生のし過ぎではないか、関節拘縮と呼ばれる病態と絡んでいるのではないか、などと言われています。
積極的に治療と書きましたが、治療が大変に難しく、多くの整形外科医が頭を悩ませています。リハビリなどの運動療法と掛け合わせる認知行動療法や、オピオイド(簡単にいうと麻薬)や抗うつ薬と組み合わせるなどして治療をすることが最近は多いようです。
僕は専ら長期で内服できるノイロトロピンなどの内服や元々抗うつ薬だったことのあるサインバルタや慢性疼痛に使うオピオイド成分が混ざったトラムセットという薬の使用や、運動療法で治療していますが、麻薬を使ったり、これらを全部組み合わせたりする方法があることを周知しておりませんでした。
ちなみに治らないことも多く、それは患者さんにご理解頂かなければいけない大事なポイントです。
まとめ
「整形外科は痛みを扱う科だぞ」
と昔先輩に教えられました。
痛みって、簡単に言葉にはできますが、けっこう取り除くのが難しいんですよね。大事なのは正確な診断と、複数の治療を掛け合わせることだと思っています。
最後まで読んで頂き、ありがとうございました。
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