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長崎そよさんの居場所(MyGO!!!!!劇場総集編のネタバレあり)

 先行上映も始まっている今日この頃、今更感がありますが、だからこそ劇場総集編を観て思ったことは2024年内に書かないと完全に陳腐化してしまうと思い、ペンを滑らせています。嘘、キーボードカタカタしてる。
 前後編ともに、アペンドとしては二重丸といったところだったと思います。Tales of MyGO!!!!!としては、やはりアニメシリーズの方が綺麗にまとまってると思う。Ave Mujica組との絡みの中で顕れる個性って結構大きかった。
 FILM LIVEは感無量です。このセトリなら豊川祥子さんも成仏できたんじゃない?

きゅうり返品は、長崎そよのCRYCHICとの決別を
象徴するシーンとして残してほしかった

―閑話休題―

 要楽奈さんが追加カットで、「居たいという思いが居場所を作る」と言ってて、やっぱ居場所の物語だと再認識しました。このことを忘れないように、長崎そよさんの居場所について感想を残しておきます。
 ゆあま先生を筆頭として行われる新連載のおかげで、タイムリーな話題になってくれて本当に助かる。みんなも読もう!

長崎そよさんの居場所

長崎そよさんって?

Just Soyo.

 もはや説明不要かと思いますが、念のため。裏表すごいし、嘘つきまくりだし、意地悪いとことかある人。MyGO!!!!! の中で一番身長が高い高校一年生。お嫁さんにしたい MyGO!!!!! キャラランキング第一位。以上。長崎そよさんです。

 個人の感想にはなりますが、MyGO!!!!! メンバーの中で一番幼いと思います。彼女の大人び方って、小学生が背伸びをしていい子ぶっているようなとこある気がするんですよね。どんなところから、と言えば、その大人っぽさがあまりにステレオタイプなものであったり、その仮面も被り切れないところだったりするところから。
 でもそんなところも可愛いんだよな。結婚してくれ。

居てもいい場所、必要とされる場所、居たい場所

 アニメ MyGO!!!!! が居場所の物語なのはいいとして、じゃあ居場所ってなんだよという話。居場所って難しいんだけど、今回は3つの要素から居場所を見ていきたいと思います。
 まず、居てもいい場所か。いちゃいけない場所は流石に居場所じゃないです。
 次に、必要とされる場所か。千早愛音さん、長崎そよさんにとって特に重要な要素だと思います。
 最後に、居たい場所か。これは楽奈ちゃんも言ってましたもんね。

 ちなみに、みなさんには上の3要素が揃っている場所はありますか?


タワマンの45階

高級ホテルのアールグレイ

 さて。アニメに出てくる長崎そよさんの居場所の中で、一ノ瀬さん家を除けば初めての居場所。そこは彼女にとって、居てもいい場所で、必要とされると思っている場所で、多分居たい場所でもあるんですよね。でもいかんせん稼働率がね。あるべき家庭がほとんどない箱は、母がいくら彼女のことを必要としてもただの箱です。「母のそば」自体は居たい場所だと思うんですが……
 母から「そよが居てくれてよかった」と言われるシーン。そよさんの反応を見ると、安心するかのように微笑んで。彼女にとっての居場所って、やっぱり必要とされる場所であることがかなり大事な要素だと思うんですよね。こんなところも千早愛音さんに似てるんだよな。

 まあそもそも論として、子供にとって家庭は獲得するものではなくアプリオリに存在するもので、居場所として家庭を自覚することってあんまないと思うんですよね。家庭の危機で意識することがあったとはいえ、長崎そよさんも家庭を真の居場所だと認識することはないんじゃないかなって思います。

月ノ森女子学園

 母の期待に沿って入学することになったこの学校。ここは高校生になった彼女にとってさえ、ただ、居てもいいだけの場所だと思います。そしてそれも、中等部入学当初からそうだったわけではなく、彼女の努力と適応によって、そこは居てもいい場所になっています。
 ちなみに庶民派小学生がいきなりお母さんのためにお嬢様学校に行こうって思うんですかね?あまりにも主体性が自分以外のところにありすぎない?私の地元はみんな公立中学校に流れるままに入っていくようなところだったので、中学受験の感覚を理解しきれてない自覚はあるんですが…… 長崎そよさんを理解するための下地が足りなすぎる。

 まあとにかく、少なくとも自分の意思で選んだ居たいと思う場所ではないという点、そして、中学生時代の千早愛音さんのように、何かに秀でて周りに必要とされるような場所ではないという点で、ここも真の居場所とはかけ離れたものです。


CRYCHIC

届かなくてまぶしい

 それは家庭を除けば、長崎そよさんにとって初めての、居てもいい、必要とされ、自分から居たいと思う場所でした。
 CRYCHIC のリーダー、豊川祥子さんに誘われて加入した長崎そよさん。誘われているんですから当然居てもいいですし、必要ともされています。特に、豊川祥子さんに必要とされたこと、彼女がCRYCHICに居たい理由はここにあると思います。
 小学生のころの描写がそんなにないので断言はできませんが、母を除いて、長崎そよさんが明確に誰かに必要とされてきたことってそれまでなかったと思うんですよね。あるとすれば、行きたくもない部活の見学に一緒に行ってほしいとせがまれるくらいで。そんな時に、「運命共同体」とまで言ってくれる人が居たら、そりゃワクワクしちゃうと思います。豊川祥子さんは罪の重さを認識してくださいね。
 あともう一つ。これは妄想なんですが、CRYCHICには私が必要、みたいに自ら思うところもあったじゃないかと。お嬢様、きゅうりの妖精、寝不足の不良、詩でしか繋がれない女の4人を見たら誰だって自分が一番まともだと思うし……


 そんなCRYCHICでの楽しい日々はあっという間、燈ちゃんの歌詞を苦手に思いながら練習を続け、初めてのライブは大成功を収めるわけですが……







CRYCHICを、辞めさせていただきますわ



最初の春日影のあと

 彼女にとって、あの雨の日からは忍耐の時期だったと思います。豊川祥子さんも高松燈さんも練習に来なくなり、椎名立希さんもいつしか来なくなり。豊川祥子さんに関しては学校にも来ない。CRYCHIC 復活の一手を打とうにも、身近には言ってほしくないことばかり言うきゅうりの妖精だけ。でもここで折れたら、自分を必要としてくれている CRYCHIC は本当に終わってしまう。みんな困ってしまう。彼女はそんな思いをこじらせつつ、とはいえ再結成のための進展は特になく。

 物語が再起動するのは、夢破れた千早愛音さんが帰国してから。5人の集まりが彼女にとってどんな場所だったかと言えば少し特殊で、ただCRYCHICの器にするためだけの場所と思っていたわけで。ライブやると言えば辞めると思ってたピンク髪が覚醒したり、野良猫が急に来たりと、思うようにいかないままライブ初日を迎え、ライブ自体はまたもや大成功するわけですが……ねぇ。

雲間を縫って、きらりきらり

もうなくなっていたもの

 CRYCHICの象徴たる豊川祥子さん、自分を救い出してくれた豊川祥子さんを傷つけてしまったこと。これが長崎そよさんにとってどれほど恐ろしいことか。「なんで春日影やったの!」と叫んだ時、彼女には保身もあったんじゃないかなと思います。私がやったことじゃないと自分に言い聞かせないとおかしくなりそうで。自分と自分の居場所たるCRYCHICに亀裂を作ってしまう出来事、まして自分がその一因になっているなんて初めてだったでしょう。私はやりたくなかった、私のせいじゃないという責任転嫁の叫びを、愛音ちゃんたちは祥子さんを傷つけたことを悔いていると解釈するわけですが。
 大声出して家に帰ってやることといえば、豊川祥子さんに鬼LINE。自身の非を認めつつ、本当はこんなつもりじゃなかったと弁解。個人的には後者が本体だと思ってます。
 挙げ句の果て、睦ちゃんを脅して豊川祥子さんとの面会機会を得るわけですが、そりゃおためごかしですわよ。CRYCHICのために頑張ってきたと言い張るも、逆にそもそもCRYCHICはもうないと痛烈なカウンターを喰らい撃沈。
 恐る恐る、「さきちゃんが始めたバンドじゃない」と反撃してみるところ、本当に好きなんですよね。言いたくないのに、これ以外に繋ぎ止める方法を知らないから仕方なく出てしまう一言という感じで。小日向美香さん本当にありがとう。

 さて、茫然自失のまま45階へ帰宅した長崎そよさん。虚ろに「みんなもそれを望んでる」、「私はみんなのために」と自分に言い聞かせるも時すでに遅し。居場所が永遠に失われたことを理解した彼女は、不要になったバンドを捨て、居てもいい場所でしかない月ノ森へ帰っていくのでした……







あんたがやらなくても、私はやるけど

詩超絆

 なぜ千早愛音さんを家に招き入れてしまったのか。居場所が永遠に失われた彼女にとって、歩いて逃げる以上の拒絶を示すほど重大な問題ではなかったから、その程度のことだと思います。千早愛音さんを舐めすぎなんだよね。自分がさきちゃんに向けてしまったのと同じように、「私たちが始めたバンドじゃん」と宣う愛音さんに引っかかってしまい、豊川祥子さんを真似て「私が終わらせてあげる」と宣言。
 この頃にはだいぶ仕上がっている燈ちゃんをはじめとする面々に、豊川祥子さんのマネで勝てるわけもなく、物語は長崎そよさんを手放すことなく大団円を迎えます。


 長崎そよさんは詩超絆のどこに吸い寄せられたのか。まず、その場でベースを弾かざるを得なかった理由。これはきっと、燈ちゃんだけじゃなく、4人全員に必要とされたから。ステージに引っ張り上げる燈、キックで引き留める立希、ベースを渡す楽奈、堕としに来てる愛音。そして全員に見詰められ、こうなるともう嫌でも自分を待っていたと理解してしまうと思う。そうなったら彼女はもう引き下がれません。彼女は本質として、必要とされたら応えてしまう女だから。
 そして詩超絆でガバ泣き。これについては妄想を後述させてほしい。まあ言葉にするのも野暮で、やっぱ詩超絆って体で直接理解してしまうというのはあるけどね。

ずっと大事に思ってくれてありがとう

 詩超絆の後の長崎そよさんといえば、LINEグループに復帰したり、「そよりんもやめんなよ〜😆」とおちょくらたり、挙句、たぶん初めて人を45階に呼んだりします。やっぱ11話も好きですよ私。

 そんなこんなで迷子のバンドとしては初めてのライブ。燈さんは「バンドのこと、ずっと大事に思ってくれてありがとう」と、それにそよさんはライブのあと、「離さないでくれてありがとう」と返します。

迷子のバンドらしく迷子になっている図

 10話の詩超絆もやっぱり、このやりとりなんじゃないかと思ってます。CRYCHIC を守ろうと、跡形もなくなってさえ意地を張り続けた長崎そよさん。一方で、新しい5人のバンドが崩壊しても、みんなの手を放さなかった高松燈さん。目指したものは違えど、同じく諦めなかった者同士、共感するところは当然あったと思います。そんな2人の関係で、燈さんから「過去に苦しんでいる貴方の手を話すことなんてできない。一緒に居たいと伝わるまでうたう。」なんてぶつけられたらさぁ、そりゃ泣いちゃうじゃんか。観てるだけの私だって泣く。

 無理やり手を解くことなく僕らになれるうたを紡ぐことで、一生を心から誓ってしまった長崎そよさん。彼女にとって MyGO!!!!! は、間違いなく居てもいい、必要とされる、居たいと思う場所です。


CRYCHICとMyGO!!!!!

 結局 CRYCHIC と MyGO!!!!! のどちらが長崎そよさんが居たいと願う場所かっていえば、多分 CRYCHIC なんだと思います。なにせ、そこが最初の居場所だったから。あと、「一生やる」よりも「運命共同体」の方が好きだと思います。主体性がないので。
 でも、これは私の祈りでもあるんですが、きっと MyGO!!!!! の方が居心地がいいと思うんですよね。CRYCHIC のために一人で頑張ってしまって、結局空回りし続けてしまった彼女も、MyGO!!!!! ではただただ自分でありさえすればいいですから。ありのままでいられる場所、という意味で唯一無二の居場所だと思います。アニメAve Mujicaのキャラクター紹介でも言ってたしさ。

 CRYCHICのことを忘れずにMyGO!!!!!をやること。ガルパのイベントであったように、雨の日にふと想いが零れることもあると思うんですけど、一緒に落ち込んでくれる人、くだらない会話で隙間を埋めてくれる人、自分とは独立に落ち込んでる人、猫。そんな5人の居場所って本当に綺麗なんですよね。この記事でもって、一瞬一瞬を重ねて一生になるまでこの居場所が続くことの祈りに代えさせていただきます。






『雨にそよいで晴れを請う』第1話の感想

 ここまではゆあま先生の神連載を読む前に書いたもので、ここからは見出しのネタバレありです。読んでないやつなんか居ないよなぁ!


 つまるところ私は誤解をしていて、長崎そよさんは必要とされることを欲してるんじゃなくて、必要とされないことを恐れているんですよね。愛音ちゃんを筆頭とする面々に必要とされてなお、CRYCHIC を求め続けたのって確かにそういうことだよな。
 必要とされることではなく必要ないとされることを気にしてしまうの、本当に共感できるんですよね。何かを大事にしてるわけじゃなくて、必要とされる自分が大事なの。めちゃくちゃ分かる。おためごかしでいいじゃんか。自分を認められたいもんね。あなたの主体性がなく見えるところこそがあなたのアイデンティティの顕れだったんだね。
 彼女が幼く見えたのも、彼女の行動原理が恐れだったからなんかなぁと思います。じゃあ MyGO!!!!! に居場所を見つけた彼女は大人になったのかって、きっとそうでもないんだろうなって。まだ必要とされないことが怖いだろうし、CRYCHIC の象徴たる豊川祥子さんから誰も頼んでないと言われたことはトラウマになっているだろうけど。それでもMyGO!!!!! の5人で居るときの彼女は、きっと、そんな恐れから解放されています。

 とにもかくにも、長崎そよさんの居場所の話はアイデンティティの話と離れた場所にあると思ってたのに、結局根底にあったなんてね。やられました。あなたやっぱ千早愛音さんに似過ぎてるよ!あのそよのオタク、もっと狂えるぞ!先生方、何卒一生連載をお願いいたします。 🩷 𝒂𝒏𝒔𝒚 𝑭𝒐𝒓𝒆𝒗𝒆𝒓 𝑳𝒐𝒗𝒆 🧡



総集編の好きなところ

 ここからは好きなシーンの紹介です。もう別の記事で書くべきだったかも。
 大体の追加シーンをカバーするような感じになってるかもしれないけど、実際そうなので……

前編 ― SPACE閉店

 MyGO!!!!!のメンバーは全員居場所を失っていたわけですが、要楽奈さんが失ったものが具体的に描写されたのは総集編が初めてだったと思います。(明示はされてたけどね。)みんなが居たいと思っていた場所、SPACE。これを、本来こうあるべきではないという理由で吹き飛ばしたおばあちゃんは、多分MyGO!!!!!最強キャラランキングでもトップクラスだと思います。居場所に対してアクションが取れるキャラクターが、このアニメでは強いですからね。バンドリキャラランキングでも、もともとトップクラスだったと思うし。
 居場所を無くし、探すこともできない時期があったというのは、今の楽奈さんからは想像しがたい姿です。しかも彼女には、家庭以外には居てもいい場所も、まして必要とされる場所もなかったと思います。いくら猫とはいえ、思春期にこれはキツいと思う。
 そんな彼女に、居場所を探すのでしょうとギターを渡す凛々子さんのような、やさしさを誰かへと手渡せる人になりたい(歩拾道)。

後編 ― 強キャラ凛々子さん

 さっきからの流れで。やっぱ大人って強いんだよね。急にソロでライブをすると言ってきた燈さんに対して、突き放すことなく提案してくれるの本当に聖人すぎる。バンドがどうなったとかも聞かずにね。そして追加カットでの応援したくなるというセリフ。彼女って多分、こうあってほしいとか、こうあるべきだ、みたいな理由で動ける人なんですよね。こうする義務があるから、ではなく。子供たちが不安定な分どこかで安定しているものが必要なわけで、そこは大人の役割だよねというメッセージが、25歳独身男性に突き刺さってきました。
 彼女の行動が燈ちゃんの修行パートへとつながり、彼女の熱はMyGO!!!!!のメンバーを再び引き寄せていく。こんなナイスアシストができる大人になりたいね。

後編 ― 手につかない椎名立希さん

 「終わった」あと、何にも手がつかず、ベッドで横たわるシーン。単体では意図が見えてこないシーンですが、立希さんが愛音さんにごめんなさい?するシーンの動機付けになっています。立希ちゃんは、自分にできないことをできる人に対するコンプレックスというか敬意というか、そういうものがあると思うんですよね。豊川祥子さんに対するそれは6話で爆発してしまうわけですが。
 偉いという言葉は、「あんなこと」があった後、DTM用タブレットに向かうことができなかった立希ちゃんからの、ひたむきにギターの練習を続けた愛音ちゃんに対する尊敬の言葉だったんですね。あのたき派の新たな燃料になったのではないかと思います。

このシーンは元から大好きだったけど、
さらにバフが乗って大変なことになってる。



 以上!追加カットの感想も終わり!駄文にお付き合いいただきありがとうございました。じゃあ私は 2025/1/2 に備えて KiLLKiSS のループ再生に戻るんで、みなさんもよいお年を。

ブシロード様へ、感想文コンテストのときの画像使わせていただいておりますが、許してください!

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