Touch という映画
一度行きたいと思っているアイスランドの映画を見る機会があった。
Touch
やっと日本でも公開が始まった映画。
比較的若くして初期の認知症になった主人公が、やり残したことがあるようだったら、記憶がしっかりしているうちに……と医者に言われて
昔の恋人を訪ねて、51年ぶりにアイスランドからロンドンへ行く、
という話。
アイスランドに興味津々といいながら、アイスランド語を聞いたのは
生まれて初めて。
ストーリーは、ロンドンの日本食店で展開する。
日本食店のおやじさんが本木雅弘。その娘の美子がKoki .
この美子ちゃんが、主人公Kristferの元恋人。
元ロンドン駐在員のサラリーマンに中村雅俊。
時代は、1969年。
認知症の人に話をゆっくり聞くと、心に深い悲しみや絶望を蓋している人がいる……といっている知り合いがいる。
まわりを見ると、必ずしも全部ではないけれど、私のまわりで早く認知症が
出た人は、確かに深い悲しみと共に生きてきた人が多い様な。
そいう意味では、もう一度、望まぬ形での別離という悲しみと共に
生きてきた人の認知症というのは、そもそもの設定に説得力があった。
日本側の視点ではなく、外国人から見た日本の調理の現場。
魚好きのクリストファーを歓待する高橋さん(本木さんの役)。
彼女が日本人だと知って、気をつけなさい、と忠告する大屋さん。
(第二次大戦で日本が英国人捕虜をクワイ河の橋梁建設で
人とは思えぬ扱いをしたことで、反日感情が強かった60年代)。
被爆者がまだ感染するといって差別があった時代の日本。
被爆者だとわかると破談になるような時代。
どのモチーフも、私には興味深かった。
そのイギリス育ちの美子ちゃんの晩年(といっては失礼か)が
最後にチラリと出てくるのだけれど、
誰だろうというのも、横髪がかかって顔の見えないアングルで映ったときは
誰だろう? と思わず前のめりになった。
ロンドン育ち設定のキレイな英語を話す日本の女優さん。
あまりの適役に膝を打ったのだけれど、
実は彼女がこの映画全体のキャスティングもしていることを後で知った。
彼女の実の息子さんも絶妙な役どころで出演。
配役、ストーリ、いろいろな意味で一見の価値ありの映画。