見出し画像

なおして使う:まな板編

今の日本に住んでいると、使い捨ては避けられない。
わかってはいるけれど、使えるものはできるだけ使って
メンテできるものは多少でもメンテして使いながら
生活したい……と思っている。
悪あがきをしている……といってもいいのかも。

まな板も、100円ショップに行けば、安く買えるのはわかっている。
でも、薄いプラスチックのまな板は、食品で色がついて汚くなる。
安いんだから、汚れたら新しいのに変えればいい……んだけど
それを、少しでも回避できないか……と思う自分もいるわけで。

プラスチックのまな板に関していえば、
もう一つ気になるのが、切り傷。
まな板は使っているとキズがつく。
そんなことは当たり前。
でも、そのキズとともにスライスされたプラスチックはどこにいく?
食べものに混ざり込んでしまうことも多々あるだろう。
最近はやりのマイクロプラスチックを持ち出すまでもなく。

同じようなことを、実はテフロン加工にも感じていて。
長く使ううちに薄皮のように浮き上がってくるテフロンを見て
これが少しずつ体に入っていくことはありえるなぁと思ったのは
30年近く前。子ども達が小さい頃だった。
一番気になったのが炊飯器だったので、テフロン加工の炊飯器をやめた。
他にあまり選択肢がなく、結果、ご飯はステンレス鍋で炊くことに。

まな板はというと、これは木のものを使うことで決着。
木なら、最悪多少口に入っても、プラスチックよりはいいのではという思いもあって。
ただ、木のまな板は、当然ながらカビが来る。
切り傷のところが黒ずんでくるのも気になるし、
立てておくと水がしたたる木口にカビが来る。

5年くらい使って、そろそろ限界かしらと思ったので、
まな板を削ってもらうことにした。
そう。木のまな板は削れるの。
以前は近所の木工店にもっていって削ってもらったけれど、
そこがお引越してしまったので、ネットでやってくれるところを探した。

多少板が湿気ていてもだいじょうぶ、こちらで乾かしてから削りますよ
という一言に惹かれてお願いしたのは、南木曾にある山一さん。

送るとすぐに電話がかかってきた。
まな板には自立するように小さな回転式の脚がついていたのだけれど、
これが削るときに邪魔になり、別料金がかかるという。
じゃぁ、とっちゃってください。で、通常料金での作業をお願いした。
釘がかなり深く入っているから、痕は残りますよ、とのこと。

戻ってきたら、やっぱり釘の穴はあいていた。まぁ、しょうがない。
削ることを考えたら、まな板はシンプルな方がいいということね、
と、今回改めて学んだ。

ちなみに、今回は2枚削り直しをお願いした。
一枚は、この銀杏のまな板。ふつうの大きさのもの。
もう一枚は、ひっかけられるように穴があいたもの。
で、これも、削り直しはやっかいだった。
穴をどうするかでやっぱり作業費がかかる。
これも、そのままでいいですといって、穴は手入れせず。


どちらも、受刑者が職業訓練として作っているまな板を
買ったしろもの。少しでも売れるようにと、自立させたり、
ひっかける穴を作ったりするのだろうけれど、
そして「便利そう」と、私みたいな消費者はそれにひっかかって
買っちゃったりするわけだけど、
メンテしながら使うなら、まな板はシンプルなものに限る。
というのが今回の結論。

ちなみに、カビ対策はどうしたらいいですかね?
と電話で聞いたら、使用後に洗ったらアルコールを
スプレーしておいてください、とのこと。
コロナでおうちにあるでしょう、アルコール、とのことだった。

やってみると、確かに水分がほとんど残らないから、
これだとカビは来にくいと実感する。
今までは、使い終わったあとに熱湯をかけたりしていたけれど、
それを立てておけば、下の方に多少水がたまり、結果的にはそこから
かびたりするのだ。

ということで、真新しいまな板が2枚。
ちなみに、今回これで3300円でした。


得意技は家事の手抜きと手抜きのためのへりくつ。重曹や酢を使った掃除やエコな生活術のブログやコラムを書いたり、翻訳をしたりの日々です。近刊は長年愛用している椿油の本「椿油のすごい力」(PHP)、「家事のしすぎが日本を滅ぼす」(光文社新書)