SEOという仕事は、4四球でも1本塁打でも同じ「1点を取ること」
SEOは贅沢品かもしれないと伝える大切さ。
大阪でSEOやコンテンツマーケティングを伴走型でお手伝いする株式会社ユウキノインのさこっちです。
僕はECの店長時代から数えて十数年、SEOという仕事をしていて本当に難しいと思うのはSEOの価値をご理解いただくために重要性をお伝えすることはもちろん、再現性も保証できない面があるということです。
これは自分自身の業務上で見て触れて伴走してきた範囲でのお話ですが、仮に同じ商材を扱っているサイトAとサイトBがあり、同じ施策を行っても、AとBの順位が同様に上がることはあまりありません。
SEOを生業にされている方には、そんな当たり前のことと思われるかもしれませんが、という前提を必ずつけないと誤解を招くことも多いのもSEOだなと思います。
SEOのすべてが、まるで魔法のように一撃で検索順位が上がるものと思われている方も少なくないのですが、過度な期待をされないようにお話することも大切だと感じています。
コンテンツSEOに従事する中で、これまでも「何をしているかわからない」と言われることもしばしばでした。
それでも継続してコンテンツづくりに励まれるサイトでは確実に成果に結びついていると感じていますが、僕たちSEOのコンサルティング業務を行う会社と契約することはコストもかかることです。
何より、コンテンツを作り続けていくにもある程度のリソースが必要になりますので、初期の段階やスタッフさんが少ない状況で取り組めない場合も生じてくるでしょう。
なので、最近では「ECサイトは生活必需品。でも、SEOは贅沢嗜好品かもしれません」とご説明をするようにもなりました。
SEOが難しくなったのではなく、最新のSEOを追うことが難しくなっている。
仲間内で、SEOがどんどん難しくなっているという話をすることがあります。
これはSEO自体が難解になっているのではなく、Googleの進化により、即時性や網羅性に加え、検索意図の汲み取り、付替えのスピードが早くなっていることがあると考えています。
わかりやすい事例でいうと「パンケーキ」などは検索結果が目まぐるしく変化しました。
パンケーキブームの当初、まだ出店数が少なく地図は表示されず、検索意図は「作る」が強く、どちらかと言えば、作り方を知りたい「Knowクエリ」に寄った検索結果で、レシピサイトが並んでいました。
しかし、最近ではカフェでパンケーキを提供するお店も増え、地図が上位表示されています。検索意図は「食べに行く」という「Doクエリ」が強くなっている印象です。
こうした、ブーム、トレンド、SNSでバズる、季節、市場の変化などによる検索意図の変化を汲み取ることができなければ、ページの鮮度は落ちコンテンツは陳腐化していってしまうことでしょう。
つまり、検索順位の下落の多くは、何かが悪くて下がったのではなく、ユーザーのニーズとズレているために他のサイトに追い抜かれてしまった、と表現することが正しいのではないかと感じます。
今のSEOでは知識や先入観が大きな間違いになる可能性も。
2022年の最初のGoogleのコアアルゴリズムアップデートは5月26日~6月9日にかけて実施されました。その時の所感はブログにまとめていますのでご参照ください。
当社の看ることのできる範囲ではYMYL領域での初動が大きかった印象です。
一般的に、コアアルゴリズムアップデートが実施されると、展開開始に順位が動き、展開完了時に順位が落ち着くと思われている方も多いのですが、必ずしもそうとは言い切れませんし、この先入観は大きな誤りとなってしまうことがあります。
たとえば、下図のような動き。このサーチコンソールの画面を見て、SEOに知識がある方、従事する方の多くが5月26日~のコアアルゴリズムアップデートの影響が出ていると思うかもしれません。
しかし、実際には検索順位の影響はありませんでした。むしろ、シーズナルなキーワードでは順位の上昇が確認されたほど。
このECサイト、実は5月で繁忙期が終わる商材を主力商品としているだけです。偶然にも5月26日あたりからクリック回数が減少しているので、アルゴリズムの影響を感じるのも無理は無いでしょう。
あるいは下図のようなサイトもあります。
こちらは コアアルゴリズムアップデートが展開完了した6月9日から1週間ほど経過した6月17日にいくつかのコンテンツで突如として順位が下落し、 クリック数も半減しました。
このサイトのサーチコンソールを看ると、シーズナルではなく、明らかにYMYL領域のクエリで順位を大きく落としていました。
2021年の11月のコアアルゴリズムアップデートでも同様に、展開完了後に順位を落としているサイトが散見されました。
どうしても僕たちは経験と知識からデータに対してフィルタをかけてしまいがち。
このお店のアクセス流入はなぜこのタイミングで増減したのか?検索順位が上下したのか?を知るためには、前章の検索意図の変化を読み取ることもさることながら、そのお店の商材の季節ごとの売れ行き、繁忙期閑散期、旬なども深く知る必要性が増していると思います。
もなはインターネット黎明期にはあったような、作り置きのページが毎年同じように安定した順位に表示され、アクセスを稼いでくれるということは非常に困難になってきました。
SEOという仕事は、4四球でも1本塁打でも同じ「1点を取ること」
SEOが難しくなっていると感じるのは、これまでにご紹介した事例のように、コアアルゴリズムアップデートではない日常のアップデートや検索意図、季節によっても突然順位が暴れることが増えてきたと思うところが大きくあるからです。
そして、その順位変動が起こった時にはSEOに関する知識や経験だけではなく、そのサイトの状況(ドメインオーソリティ、被リンク、コンテンツ数、コンテンツのアプローチ、YMYL、E-A-Tなど)に加え、当該の商材やサービスのニーズやトレンドがどのように変化し、そこにどのように合わせて行くかという商品やサービスへの理解度も必要になってきていると感じます。
総合的にサイトを見ながら施策を講じていく必要性が高くなっているのではないでしょうか。
SEOは手段、目標は検索順位の上位を目指し、アクセスを増やすこと。
そして目的はコンバージョンを獲得すること。
野球が好きなので、ついついそれに喩えがちなのですが、注文・コンバージョンは得点。
すべての打者がホームランを打ち、打席の数(アクセス)だけ得点が入ればそんな楽なことはありませんが、現実の野球でもそういうわけにはいきません。
塁に出る人、送る人、走る人、打つ人がバランスよく揃っているチームの方が大量得点に結びついているのではないでしょうか。
僕たちはSEOを通じて、ECサイトの方々と打線を作る仕事だと思います。
ヒットが打てず4四球でも1点、ホームランでも同じ1点=コンバージョンを獲得すること、という認識を共有できている信頼感も大切にしながら仕事をしていきたいと常に考えています。
コンテンツSEOやSNSの活用というECサイトのチームづくりと強化していき、やがてチャンスでいつも主力打者に回る雰囲気=ヒット商品が安定して販売できるお店づくりを目指していくことが役割ではないかと考えています。