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『テーマとヴァリエーション』はバランシンがアウェーで振り付けた、サプライズ満載の“偽装”古典バレエ

 ジョージ・バランシン(1904〜1983)は20世紀を代表する振付家である。21世紀のいま、彼の生前以上に多くのバレエ団がより多くのバランシン作品を上演し、より多くの観客が彼の作品を鑑賞する機会を得ている。バランシン作品は20世紀生まれの古典として、今日に踊り継がれているのである。

 では、バランシンは、いつ20世紀を代表する偉大な振付家になったのだろうか。一つの重要な節目がある。1947年である。
 1947年7月28日、パリ・オペラ座バレエ団がバランシンに委託した新作『水晶宮』(バレエ団によっては『シンフォニー・イン・C』の名称を採用)を初演し、同年11月26日には、アメリカン・バレエ・シアター(当時はバレエ・シアター)がバランシンの振付による新作『テーマとヴァリエーション』を初演した。両作はともに掛け値なしの成功をおさめ、両バレエ団はもとより、翌年に創設されるニューヨーク・シティ・バレエ、日本の新国立劇場、東京バレエ団を含む世界各地のバレエ団で広く上演されるバランシンの人気演目となった。
 1933年にバレエの確固たる歴史を持たない新天地アメリカに渡って以来、順風満帆とは呼び難い日々を歩んでいたバランシンが、渡米の14年後、ニューヨーク・シティ・バレエ創設の前年にあたる1947年、世界に冠たるバレエ団から新作を請われ、恒久的な人気演目を提供できる大物振付家に変身を遂げたのだった。

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