円熟する夢

新年は、キングヌーの逆夢を聴いていて、なんだか、円熟した夢を見ているようだな。と、思った。

初めて聴いた時は、懐かしくもあり、なんか、新しいな、そして、またしても、繰り返し聴いてしまうシンプルな名曲だ。

音楽、リリックが、常田大希さん。毎回、吟遊詩人ぶりが、発揮される。

いったい、何を読んだら、何を聴いたら、こんな言葉が出てくるのでしょうね。

いつか、松任谷由実さんと対談された時に

「ひこうき雲」を聴きたくて、映画館に何度も行った、と、おっしゃっており、懐かしさの理由がわかった気がしている。

5分19秒のM Vが、素晴らしく美しい。

18時間前に公開されたにも関わらず、115万回の視聴、9.7万人のグッドマーク。いったいどこから、みんな、いいねしているの。

「呪術廻戦」は、津田さんが声優で出演されており、人気と聞いていたけれど、未見。これから、観てみます。

しかし、それは、そうとして、M Vですが、一目で、フィルムで撮ったものと見てとれる。

オープニングは、鏡文字に始まり、映る風景が左右や上下が反転している。概ね人は4歳ぐらいまで、夢の中はどうだか、わかりませんが、実像は、そのように見えているのですが、視線がそのうちに、上下を捉え始めて、風景から、空飛ぶ鳥、歌う人へと移り変わっていく。視線がシーンを追うごとに、大人になっていく。一曲終わる頃に人間の死を弔う大人になっているようです。

緑の山合いと枯れ木、童話の中に描かれるような憂鬱な空に彷徨う死。

白いカーネーションは、亡くなった人への葬い。死への感受性が、花の脇に佇むススキの枯れ具合に宿っているようです。

かつて飛んだ飛行船の機体らしきものが、うたい人の背後にあり、絡まるツタの葉やひっそりと咲く花々と緑の中、廃墟のようなビルの窓から入ってくる斜光、これらが、うっすら人の表情を映し出すのですが、何かに囚われた人が入り込んだ箱部屋のようでもあり、そこから、奏でられるうたが、風にのり、残響が響きわたり、砂に轍となり、波に連なり、漣となり、記憶の海へと帰って行く。その時間の経過とともに、奏でていた人々も、海の底の砂になろうとする。

燃えてしまう命、人間は命を燃やして生きている、そんなラストシーンだ。

これは、きっと、現代の葬送行進曲だ。

燃え上がる火の粉から、煙る香り。匂い立つ映像とはこういうこと。

きっと、憧れる10代20代、創作の最中の方は、して、やられた、と、自分のフィルムに焼き付けていることでしょう。

そんなM Vも作られてしまう中心にいる方、常田大希さん。2022年はさらに円熟するんだろうな。

普段、テレビを見る環境はないのですが、今年は紅白歌合戦を見たくて、テレビをつけてしまいました。

ミレニアムパレードで歌姫ベル(中村佳穂さん)の後方でまっすぐなチェロ演奏。全くもって、一途な人だなと思う。

ギタリストであり、チェロ演奏者、鍵盤楽器を操り、作詞。作曲。時には歌う。美しさだけで生きていける人なんだろう。

ストリングスに始まる曲なんですが、それ意外にエレクリックなギターがシンプルなとてもシンプルなスケールを弾いている。三線か、ウクレレか、琴の音か?、アコースティックの弦の音がさらにつま弾かれているのだけれど、わたしは、その部分が気に入っている。つま弾かれた音が陽気なハナウタに聴こえます。

どうぞ、これからも、夢の続きを見せてください。

正夢でも、逆夢でも。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?