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#97 活動の方向性を探るために数字を確認しましょう

※当記事はこちらのポッドキャストの内容を編集/再構成したものです

今回は「数字を確認しましょう」というテーマでお話をしてみたいと思います。

音楽活動をきちんと成果につなげるために、いろいろな「数字」を確認して、そのデータをもとに活動内容や発信内容を微調整していくことは、思いのほか大事です。

これを聴いているあなたは、自分の活動のいろいろな「数字」をどれだけ理解しているでしょうか?

この点について一番わかりやすいのは、自分の「SNSアカウントのフォロワー数」や「YouTubeのチャンネル登録者数」あたりだと思います。

大体何人ぐらいの人にフォローされているとか、大体何人ぐらいのチャンネル登録者数がいるとか。それも含めて、例えばYouTubeに動画をアップしたら、大体何回ぐらいは再生されるとか、SNSに何か投稿したら、大体何人ぐらいにいいねしてもらえるとか、そういったところの数字は、インターネット媒体を使って音楽活動を発信している人であれば、なんとなく把握できているはずです。

また、例えばライブ活動をやっている人であれば、直近のライブに何人ぐらいのお客さんが来てくれて、チケットが何枚ぐらい売れたとか、ライブ配信だったら視聴者数が何人ぐらいになったとか、そのうち何人ぐらいがチャットに書き込んでくれたとか、そういった表面的な部分は、多くのミュージシャンがなんとなく体感としてわかっているはずです。

その上で、インターネット媒体であれば、それぞれに分析ツール(アナリティクスツール)があるので、それを確認することで、もう少し踏み込んだ聴き手の動きや聴き手の属性など、そういったところも見えてきます。

例えば、YouTubeの「視聴維持率」みたいなものは、その代表的なものだといえます。

表面的な再生回数も指標としてある程度理解しておくべきですが、例えば自分の曲がどれほどの長さ再生されたか、自分がアップした動画コンテンツがどれほどの長さで再生されたか、つまりはそれが視聴維持率ですが、そのあたりを確認することで、視聴者がどれだけその曲やコンテンツに興味を持ってくれたかというところが見えてきます。

表面的に再生回数が同じでも、ある動画は視聴維持率が低くて、すぐに見るのをやめてしまっている人がほとんどであるのに対して、例えばある動画は視聴維持率が高くて、その動画の最後までみんなが見てくれているとか。視聴維持率からそういったところがわかると、より後者の動画の方が見る人に対して何か訴えかけるものがあったということがわかります。

SNSの、例えばXのインプレッションやエンゲージメントのデータも、それに近いです。

いいねやリポストといった表面的な数だけを見るのもいいですが、そのポストがどれだけの人に表示されたか(=インプレッション)、どれだけの人がそのポストをタップして詳細を見てくれたとかそのポストをきっかけとして自分のプロフィールページを見てくれたとか(=反応、エンゲージメント)、そのあたりもあわせて確認することで、そのポストがどれだけみんなにとって印象深いものになったか、というところが見えてきます。

あと、アナリティクスを通して、コンテンツを見たり聴いたりしてくれている人の属性もわかります。

年齢や性別、ネット媒体によってはどこに住んでいるかもわかります。私のこのポッドキャストは海外から聴いてもらえている人もいて、アメリカやヨーロッパやアジアなど、そのあたりもアナリティクスのデータを確認することで、こちらとして把握できています。

(海外からいつもこのエピソードを聴いていただいているあなた、わかっています、ありがとうございます🙇‍♂️)

あとは、そのコンテンツをスマホから見ているのか、PCから見ているのか、というデバイスの属性もわかりますし、何時にどれくらいの人が見てくれているか、とかそういう時間帯の属性もわかったりします。

これらの数字を確認することによって、自分のどんな曲やどんなコンテンツがどんな反応を得ているかというところが本質的に見えてきます。

活動については、定説として語られているいろいろなやり方があります。例えば、ビジネスマンを対象にした発信なら「平日の日中は仕事をしているから反応が薄いけど、夜の方がより反応してもらいやすい」とか、。

YouTube動画だったら、「イントロに何らかのつかみを設けると視聴維持率を高めやすい」とか、「○○なサムネイルは男性に反応してもらいやすくて、△△なサムネイルは女性に反応してもらいやすい」とか。

そういうWebマーケティング的ないろいろな手法が語られたりしますが、それらの全てが自分の活動や発信に当てはまるとは言い切れないところがあるので、実際に投稿をしてみて、数字を確認することで、その実態が見えてきます。

私もこの「数字」に関してはこれまでの活動を通していろいろと経験してきているところがあって、そのWebマーケティングの定説による思い込みと数字による実際のデータにかなり開きがあって、驚かされることも多いです。

私の場合、もうちょっといろいろなツールを使って突っ込んだところまでデータを取ってチェックをしたりしていますが、例えば前にやって驚いたのが、その時の私の場合はブログでしたが、ブログの記事の最後にあるリンクを貼って、そのリンクがどれだけクリックされたか、ということを数字で確認したことがありました。

その時はABテストのようにして、片方のAパターンは「これこれ、こういうことをまとめているので、以下のリンクをクリックして確認してみてください」というように、そのリンクの前にそれなりの説明を置きました。

そして、もう片方のBパターンは、リンクの前の説明を省いてリンクだけを直接置いて、特定の記事の最後にあるリンクとして、AパターンとBパターンのどちらがよりクリックされるかということを数字で確認したことがありました。

私がそれまでに知っていたWebマーケティングの知識では「リンクの前に何らかの説明を書いた方がよりクリックしてもらいやすい」ということだったので、そのABテストでもリンクの前に説明文を置いたAパターンの方がよりクリックしてもらいやすい、という予測を立てていました。

そして、実際にABテストで数字を取ってみたところ、結果として説明文がなくリンクだけを直接置いたBパターンの方が圧倒的に多くクリックされていました。

つまり、私がテストをしたそのリンクにおいては、記事の最後に説明文を書かずに直接リンクを貼った方がより多くクリックしてもらえる、ということがわかった、ということです。

これは実際に数字を確認してみないとわからなかったことで、数字を確認する(データを取る)ことの重要性を理解した出来事でした。

つまるところ、音楽活動などを含むいろいろな活動の成果は、その数字やデータをいかに何回も確認して自分の中に蓄積していけるか、というところにかかっているともいえます。

これをやるとこうなる、というようなデータが数字として自分の中で確認できていれば活動や発信がより意図的なものになって、それに対する反応がある程度予測できて、予測の外しがだんだん少なくなって、より効果的に活動や発信ができるようになっていきます。

実際のデータをもとに、どんな内容をどんなタイミングでどう伝えればいいかということが体感として理解できるようになります。そういった感覚は、実際に自分でデータとして色々な数字を確認してみないと身につきません。

だからこそ、特に現在インターネットを使った発信でいろいろな数字がより簡単に確認しやすくなっているので、音楽活動の発信をより成果に結びつけやすくするために、数字を確認するところに意識を向けてみてください。

私自身の経験からも、そういった取り組みが活動の品質を上げるのに効果を発揮するといえます。


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