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#98 「ハロー効果」で自分の音楽活動を信頼してもらう
※当記事はこちらのポッドキャストの内容を編集/再構成したものです
今回は、マーケティング用語に関連するテーマとして、「ハロー効果」を音楽活動に活用することについてお話ししたいです。
この「ハロー効果」というのは、「何らかの1つのポジティブな情報がその人の他の側面に対しても良い印象を与える状態」を意味する言葉です。
例えば、IT系の企業が東京駅の真ん前の、丸の内の大きなビルの中にオフィスを構えているとすると、なんとなくそのIT系の企業はすごく優秀で良い仕事をしているような感じがしてきます。
他にも、例えば名前を聞いたこともないような海外のお菓子があるとします。その海外のお菓子が、ただスーパーで売られていたら「謎のお菓子だな」という感想で終わってしまいますが、ある有名人がその商品のCMに出ていたら、「あの人がCMに出ているお菓子だから、(謎ではなく)美味しいのかな」と思えてきたりします。それがハロー効果です。
特に、無名のミュージシャンがこれから認知を広げていったり、それを経て自分のファンになってもらったり、集客や収益化などの成果を目指す上では「いかに自分のことを信頼してもらうか」という観点が大事で、その「信用」を得るために、ここでいうハロー効果が文字通り良い効果を生み出します。
何の後ろ盾もないまっさらな状態でただ音楽を聴いてもらったり発信するコンテンツを見てもらうのと、ある程度そういったハロー効果を前提とした上で音楽を聴いてもらったりコンテンツを見てもらうのとでは、その音楽や発信、コンテンツ、メッセージの説得力が変わってきます。
だから、自分がこれまでにしてきた経験とか、自分が置かれている境遇とか、それも含めて何かハロー効果につながりそうなものはないかというところを整理して、それをきちんと聴き手に伝えることをやってみてほしいです。
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実際に、「ミュージシャンにとってどんなものがハロー効果につながるか」というところですが、それにはいろいろな種類があります。
一番分かりやすいところでいえば、例えば「何らかの実績」などはその筆頭だといえます。
何かのコンテストでグランプリを取ったとか、何らかのメディアに取り上げられたとか、どこそこでライブをやったとか、年間何回ぐらいライブやっているとか、何か有名なイベントに出演したとか。あとはフォロワーが何人いるとか、YouTubeのチャンネル登録者数は何人いるとか、何かの動画の再生回数が何万回とか。
そういったリアルな実績は、その人が積み上げてきたリアルな情報だといえるので、「それだけの実績を上げているんだ→すごい人なんだな」というようなハロー効果になり得ます。
また、有名な人とかその分野の専門家のような人との関わりや推薦などもハロー効果になり得ます。
例えばジャズを演奏しているとしたら、アメリカの有名ジャズプレイヤーと共演した経験があるとか、その本場のジャズの有名人に「お前は唯一無二のプレイヤーだよ」みたいに言われたとか、あとはどこかの専門家が自分の出したコンテンツをすごく褒めてくれているとか、そういったこともハロー効果になり得ます。
先ほど言った、IT系企業の「丸の内の大きなビルにオフィスを構えている」という例と同じように、ミュージシャン自身の境遇や置かれている環境も、物によってはハロー効果になり得ます。
例えば、都会的なサウンドを自分の音楽性として打ち出しているなら、東京のど真ん中に住んでいることは同じようにハロー効果として良い印象を与えやすくなるし、先ほどのジャズの例でいえば「ジャズの本場ニューヨークに5年間住んでいました」とか、そういった経験もハロー効果になり得ます。
もっとアバウトに、例えば海の近くに住んでいて、その生活の一環として海の波の音が聞こえてきそうなアコースティックなサウンドを表現していれば、その「海の近くに住んでいる」というミュージシャンの境遇はハロー効果になります。
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やっぱり、そういった実績や専門家の推薦や置かれている環境/境遇などによって、その人への信用はそれなりに変わってきます。
ハロー効果は文字通り効果があるので、それを踏まえると何らかの実績やその他ハロー効果になり得るものをきちんと意識して、できるならば先にそれを備えて、そういった実績や経験や専門家からの推薦や置かれている環境とか、そういったものを打ち出しながら活動を続けることで、自分の活動をより説得力のあるものにすることができます。
中でも、自分の行動によってハロー効果にできるものは案外多くて、「年間XX本ライブをやっている」とか「音楽をXX曲聴いてきた」とか、そういったものは自分の行動次第で実績にすることができて、それを聴き手の「なんかこの人すごそう」という印象につなげることができます。
ハロー効果の題材の中には、ここまで例に挙げている「専門家の推薦」とか「有名なコンテストで入賞」などのように、なかなか実現しづらいものも多いです。
もしそういった実績がある人は今すぐにでもそれを打ち出して活動することができますが、そういった実績がない人は無理にそれを追い求めようとしなくても良いです。今言ったように、自分の行動次第で何とかなるものを実績として掲げるようにしてみてほしいです。
また、30代、40代など、ある程度の年齢になってくると、それなりにいろいろな経験を積んでいるかと思うので、その経験の中でハロー効果になり得るものが意外とあったりもします。そういったことをきちんと打ち出すことも検討できます。
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あと、先ほど言った「自分が置かれている環境/境遇」について、それを逆手にとって、現在の自分が置かれている環境や、これまでの自分が経験してきたこと/境遇などがハロー効果になるような音楽性を、逆算して選ぶやり方も考えられます。
先ほどの例でいえば、「海の近くに住んでいる」という自分が置かれている環境がまずあって、その自分ならではの環境をハロー効果にする意味で、「海の波の音が聞こえてきそうな音楽性」を自分が取り組む音楽ジャンルとして選ぶとか、そのビーチライフのようなものを自分のブランドにする、ということも考えられます。
これは住んでいる場所の例ですが、例えば兄弟が多い家に生まれて、家族とのつながりが強い環境で育ってきたなら、そういった「家族とのつながり」を自分の音楽活動のブランドやコンセプトにするとか、そういう検討もできます。
そうすれば、例えば「私は7人兄弟の末っ子に生まれて、みんなに可愛がってもらいながら育ってきました」みたいな自分の境遇を打ち出すことで、「さすがに7人兄弟の末っ子で家族と繋がりが強い環境で育ってきたから、その音楽のメッセージに説得力があるなあ」というようなハロー効果を生み出すことができます。
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このハロー効果のところは、今言った例以外にいろいろなやり方があり、それを定めた以上は聴き手にその情報をきちんと伝える必要があります。
何らかのタイミングで逐一そういった自分の実績や経験のようなものを話しても良いし、SNSアカウントのプロフィールページにそれを書いても良いし、自己紹介のような長めの文章でそういった情報をきちんと盛り込んでも良いです。その点も忘れずに意識してみてください。
インターネット用の発信は、「何を言うか」というところ以上に「誰が言うか」が大事だったりします。
「外見ではなく中身が大事」とか、「実績よりも今自分がやっていることで判断してほしい」みたいな意見もよく聞かれたりしますが、特にそういった、何かを発信したり認知を広げたりファンになってもらったりするような活動においては、わりと外側の情報によって見られ方が変わってきます。
だから是非そのあたりを軽視せずに、どんなものが自分にとってのハロー効果になり得るかというところを明らかにして、それを上手に活用していってほしいです。
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