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#96 自由な音楽活動で評価を得るのが難しい理由

※当記事はこちらのポッドキャストの内容を編集/再構成したものです

今回は「自由な音楽活動で評価を得るのが難しい理由」というテーマでお話をしてみたいと思います。

現在自分で音楽を作ったりライブをやったりして音楽活動をしている人の中には、あくまでも自分のペースを大切にして、自分のやりたい気持ちを重視して、そのタイミングに沿って音楽を作り、音楽を表現し、それを含めた発信活動していきたいという気持ちを持っている人が多いはずです。

自分が作りたい時に自分が作りたい音楽を作り、自分の気持ちが向いた時に発信をするし、ライブも自分がやりたい気持ちが高まった時にライブをやる。聴き手のみなさんからアクションがあったらそこに対応をするけど、それ以外は聴き手のみなさんのことはさておき、自分の気持ちややりたいことを重要視して、思いのままに活動をするスタイルがそれにあたります。

おそらく音楽活動に取り組んでいる人のほとんど、8割から9割ぐらいの人がこちら側なのではないかと思います。

そしてこの「自由な活動を重視する」側の人たちは、自分のペースでやりたいと考えながらも、どこかで、やっぱり自分の音楽を聴いてもらいたいし、自分の音楽を評価してもらいたいし、自分の音楽活動のファンになってもらいたいという気持ちも持っています。

自由に音楽活動をしながらも、評価を得ようとしている、ということです。

そこで今回のテーマである「自由な音楽活動で評価を得るのは難しい」というところに繋がりますが、はっきり言って、自由気ままに音楽活動をしているとその分、評価してもらえる確率は下がっていきます。

それは、表現している内容があくまでも自分本位だし、みんなが求めているものというよりも自分がやりたいことに焦点が当たっているからです。

よく言っていますが、評価をしてくれるのはあくまでも聴き手です。だからこそ、聴き手がどんなものを求めているかを考えるのが評価してもらうための近道になります。

それをやらずして、ただ自分の好き勝手に音楽を表現し続けているなら、評価してもらえる確率が下がるのは当然です。

また曲作りやライブ活動でいえば、そのタイミングが「自分の気が向いた時」になるので、曲を作るペースやライブをやるペースが不安定になって、表現のタイミングにムラが生まれます。

発信についても同様で、自分の気が向いた時に行われるので発信の頻度が不定期になります。つまりは継続して活動を見せることにならないので、自分の存在に気づいてもらいにくくなるし、継続して行われていないので真剣にやっている感じが伝わりにくいです。

それも含めて、その「自由な音楽活動で評価を得るのが難しい」という点について私が個人的に一番大きな要因になると思うのは、その自由な音楽活動によって、そこから自分の思い通りに好き勝手、自由にやっている雰囲気が伝わってくるということです。

作っている音楽も、発信するメッセージも、表現や発信のタイミングなども含めて、周りから見るとそれは「誰かのために」とかそういうものではなくて、自分のためにやっていることがそこから伝わってきます。

だからそれを周りから見ていると、自分の好きなタイミングで自由にやっている音楽活動に対して、周りがとやかく言ってはいけないような気がしてきます。

例えば「いい曲ですね」とか、そんなレベルであればなんとなく軽くコメントすることはできますが、ちょっと踏み込んで「今度ライブやるんですね。楽しみです」とか、「新しい曲がリリースされるんですね。早く聴きたいです」とかになると、もうそのコメントが聴き手としてそのミュージシャンの活動を期待するようなものになるので、軽々しくそういうことを言ってはいけないような気がしてきます。自由気ままにやっている音楽活動に、聴き手としてそこに踏み込んでいくような形になるので、そういう関わり方をしてはいけないような気がしてくる、ということです。

これは簡単にいえば、自由な音楽活動によって聴き手との間に距離が生まれてしまう状態だと思っています。聴き手として「いい音楽だな」とか「楽しそうだな」とかそういった印象を持つと同時に、「こちらからあんまり口を出す余地はないのかな」と思えてきます。

ミュージシャン側として自分に向き合い、自分が好きなことを自分のタイミングで追求していると、おのずとその音楽活動は「誰かに向けて作っている」という雰囲気が感じられないものになります。つまりは聴き手としてその音楽活動にどう関わればいいかがわからなくなります。

それゆえに、その音楽に対して何らかの反応をしたり、評価をしたりするというアクションを起こしづらくなります。そして、ミュージシャン側の目線から見れば、なかなか自分の音楽が評価されないという状態がそれによって生まれてしまいます。

だから、(最終的にはミュージシャン側がどういった活動のスタイルを望むのかというところによって決まってきますが)完全に自分本位で自分が楽しめるものを自分のタイミングで好き勝手にやっているうちは、おそらく評価してもらえることはないと考えた方がいいです。

自分が楽しめる音楽活動を重視しつつも、そこに少しでも評価が欲しいなら、やっぱりそういった姿勢を見せる必要があります。

一番簡単なのは、「もっとたくさん自分の音楽/自分たちの音楽を聴いてほしい」とか「この曲について何か感想があったら是非コメントしてください」などを直接伝えるとか、より距離を近づけて「どう思いますか?」などのように直接語りかけてみるとか、ライブをやるなら「是非ライブを見に来てください」とか、「是非自分の/自分たちの活動を応援してください。聴き手のみなさんに応援してもらえると活動にやりがいが生まれてこちらとしても嬉しいです」というようなことを伝えたりするやり方です。

ミュージシャン側からそういった発信があると、聴き手はその活動に関わっていいんだと思えて、安心して応援することができます。

もしそういった直接的なコメントがちょっと恥ずかしいとか、そういったコメントをすることに何となく難しさを感じるなら、活動をあまりに好き勝手に自由気ままにやるのではなく、きちんと外側に向けた発信を定期的に行って、「みなさんに聴いてもらうことを目的として真剣に活動していますよ」ということを、活動を通して伝えていくこともできます。

つまりは、自由にやるのではなく、ある程度計画性を持って活動に取り組むということです。

音楽活動は「自分が楽しめる」というところから入る人がほとんどであるため、活動がやっぱり自分本位で自分が楽しめるもので、自分が好きなタイミングで自由気ままにマイペースに…、というものになってしまいやすいです。それゆえに、そんなスタイルが聴き手に伝わって、聴き手との間に距離が生まれて、評価されにくい状態が生まれてしまいます。

それが「自由に音楽活動をしているけど、いまいちみんなに自分の曲を聴いてもらえない・自分のファンが増えない」というもどかしい気持ちにつながってしまいます。

自分が楽しめることを優先して音楽活動に取り組みつつも、そこに評価を求めるなら、そういった思いを持っていることを直接的なコメントや自分の活動のスタンスを通してきちんと外側に向けて伝えることもやってみてください。

それによって、評価をしてもらえる局面はおのずと増えていきます。

現在、特に自分が楽しめる音楽活動を自分本位でやっていきたい、と考えている場合、その「自己表現」と、「周りからの評価」のバランスをうまく取るために、そのあたりを是非意識してみてください。


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