作曲のネタを見つける3つの方法
作曲を続けていると新たなメロディやコード進行を作り出すのが難しくなって、次第に「ネタ切れ」を感じ始めてしまうもの。
こちらでは、長らく作曲を続けてきている私がどのように作曲のネタをみつけてきたかを踏まえ、作曲のネタの見つけ方(作曲のネタ切れを防ぐ方法)について考えてみます。
作曲のネタを見つけるための方法概要
私が作曲のネタを見つけるために活用している(してきた)方法は主に以下の三点です。
それまで聴いていなかった音楽を聴いて分析をする
既存の曲をカバーする
音楽理論や作曲法を勉強する
これ以降で、それぞれをより詳しく解説していきます。
1. それまで聴いていなかった音楽を聴いて分析をする
作曲のネタ探しとして最も効果的なのが「新しい音楽を聴くこと」、そしてそれをもとに「分析すること」です。
「新しい音楽を聴く」という行為は、純粋に未知の音楽に触れることを指しますが、より突っ込んでいえば「ジャンル」「アーティスト」「洋楽/邦楽」などによってそれをさらに細分化できます。
これは、具体的には
「ロック」ばかり聴いているから新たに「クラシック」を聴く
「男性アーティストの音楽」ではなく新たに「女性アーティストの音楽」を聴く
「邦楽」をよく聴くから「洋楽」を聴いてみる
などのやり方を意味します。
そこから、新鮮なメロディやコード、リズム、サウンド、および曲構成や展開などが体感できて、それらが作曲のヒント(ネタ)となります。
「分析」の視点を持つことが大切
この「新しい音楽を聴く」という行為は、単に「未知の音楽が作曲の刺激になる」という意味で価値がありますが、これらをきちんとした作曲のネタにするためには、やはり分析する視点を持つことが欠かせません。
ここでいう「分析」とは、具体的には以下のような行為のことを指します。
曲のコード進行を確認して楽器で演奏してみる
曲のメロディラインを確認して歌ってみる
曲に使われている楽器の音を確認してDTMで打ち込んでみる
曲の構成や展開をノートに書き出してみる
その曲の何が良いか/なぜ良いかをリストアップする
このように、「良いな」と感じたらその理由を探り、それを自分の作曲にどう活かすか、という点まで考えられると理想的です。
■ 聴きながら考える
私は、20代後半に作曲のネタ切れを感じたとき新たにボサノバやMPBなどのブラジル音楽を体験しましたが、結果としてそれが自分の作曲の幅を広げるきっかけになりました。
特に刺激を受けたのがブラジル音楽ならではの個性的なコードやコード進行のサウンドで、その秘密を探りたくなった私は海外のWebサイトや大きめの書店で楽譜を探し、それらがどんなコードでどうつながっているのかを演奏を通して確認しながら分析していきました。
私がブラジル音楽から受けた感動を作曲に取り入れることができたのはまさにそのような行為があったからで、インプットをきちんとした作曲のネタにするためには、そのように「聴きながら考える姿勢」が大切だと経験から断言できます。
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2. 既存の曲をカバーする
ふたつ目は、前述した「新しい音楽を聴き、分析する」を発展させた「カバーする」という行為です。
音使いやリズムを自ら生み出し、構造を体感する
既に述べたとおり、新しく聴く音楽によって受けた感動はそれを分析することで再現性のあるものとなりますが、カバーをする行為はそれを最も簡単に実現するための手段だといえます。
楽器でカバーをすることはつまり「曲を演奏すること」であるため、カバーによって必然的にその音使いやリズムなどを自ら生み出すことになり、そこで得た経験が自分の中に蓄積され、実際の作曲におけるネタとなっていきます。
■ おすすめは「コードによる弾き語り」
この点を踏まえ、私がおすすめしたいのが「コードによる弾き語り」です。
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上記ページでも述べているとおり、弾き語りには、
新たなコード進行を知ることができる。
それを演奏することで響きを体感できる。
それを瞬時に演奏するための技術が身につく。
というように、一石何鳥ともいえるような効果があります。
ギターやピアノが一台あればすぐにやれるという利便性の高さも魅力のひとつで、またコードを弾いて歌うだけなのでカバーの難易度は簡単な部類に入ります。
それでいて高い効果が見込めるため、「新しい音楽を弾き語ること」を習慣にするだけで、それがそのまま作曲のネタを蓄えることにつながっていきます。
ネットのコード譜サイトなどを活用すれば、お金を欠けずすぐにでもそれを行動に移すことができます。
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3. 音楽理論や作曲法を勉強する
作曲のネタを見つけるための三つ目の方法は、音楽理論や作曲法を勉強することです。
これは、ネタを「理論」や「技法」として直接的に学ぶことを意味します。
コードやメロディを理論的に生み出す
例えば、それまで感覚的に作曲を行ってきた人が音楽理論を学ぶだけでも、それは十分に「作曲のネタ」になり得るはずです。
なんとなくやっていた作曲が理論に基づいたものになり、コード・メロディを組み立てる時に音楽理論を活用することで、それまで考え付かなかったような新たな展開を生み出すことができるようになります。
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上記のページでは音楽理論習得の順序や範囲について解説していますが、まだ音楽理論に触れたことの無い人は、これらを参考にいちから学び直すことで理論的な側面からのネタ切れを感じることがより少なくなるはずです。
また、既に音楽理論を活用して作曲を進めている人は、この中でもより高度な技法を習得していくことで、それを新たな曲作りに活用していくことができるでしょう。
曲展開に関するアイディアを「作曲法」から学ぶ
理論とあわせて学んでおきたいのが「作曲法」で、これはコードやメロディなどにとどまらない「具体的に曲をどう展開させるか」という知識や技術を指すものです。
これを学ぶにはいくつかの方法がありますが、以下のページでご紹介しているような作曲教則本などを読み込むことで、より理解を深めていくことができます。
「音楽理論」と「作曲法」を組み合わせる
前述した「分析・カバーする」という行為を「音楽理論」「作曲法」と組み合わせることも、作曲のネタを仕入れるために効果を発揮します。
それは、例えば
音楽理論の学習を通して新しいコード進行の手法を知る
既存の曲を分析して、学んだ手法の活用方法(実例)を確認する
自分でその曲を弾き語り、学んだ手法のサウンドを体感する
という流れをとることなどを指します。
これによって音楽理論がより実用的なものとなり、「〇〇という理論がある」という単なる知識を、実用的なネタとして自分の中に蓄えることができます。
まとめ:作曲のネタに困ったら振り返るべき点
ここまで三つの取り組みをご紹介しましたが、これらを要約すると、「作曲のネタ」は
未知の音楽
新しい音楽理論や作曲法の知識
新たな知識を実用的な手法として把握し、再現性のあるものとする
という点に集約されるといえます。
より簡単にいえば、常に新しい音楽を聴き、同時に理論・作曲法等を学び、それらを踏まえて分析する視点で音楽に接していれば、それが曲を生み出すためのネタになっていく、ということです。
作曲のネタに困っている時には、特に
新しい音楽を聴いているか
音楽を学んでいるか
それらを元に曲を分析できているか
などの点を振り返るようにしてみて下さい。
「もっと良い曲を作りたい」という思いと、常に学ぶ姿勢を持って音楽に触れていれば、必然的にネタ切れを回避することができます。
新しい行動を通して常に進化していくことを忘れず、作曲活動に取り組んでみて下さい。
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