アレクサンダー・ガジェヴピアノリサイタル
本人登場を待つ中
意外なアナウンスの後、演奏者本人のメッセージがあり、その後暗転。
皆が目を閉じ、2分間の瞑想。
ホールは静寂に包まれました。
静かに、優しくスポットライトが点くと同時に、いつの間にかピアノの前に着席していた彼の演奏が始まりました。
「『光』の前に『闇』があるように、『音』の前には『静寂』がある」
静けさに慣れた耳は、どの音もすっと自然に入ってきます。
美しく柔らかく透きとおったピアニシモ。
熱く下から湧き上がるフォルテシモ。
一音一音、どの音も聴きこぼさないように夢中で聴きました。
席は3階の奏者の背中側バルコニーでしたが、
沢山の音も、勢いのあるパッセージも、厚みのある和音も、
大変そうに弾かない、ムダな力の抜けた背中が素敵でした。
とにかく
1曲1曲が愛おしかった。
プログラムはオールショパンの予定でしたが、
ショパンのバルカローレに代わり、
ドビュッシーの12のエチュードより第11番。
連日体感40度の気温も忘れてしまうほど、水の流れを見ているような涼やかな響き。
他のショパンは全て聴き馴染んだものばかりのはずなのに、まるで初めて聴く曲のように新鮮で涙が出てしまいました。
1日経っても、彼の音が耳にまだ残っています☺️
☆アレクサンダー・ガジェヴ
2021年のショパン国際ピアノコンクール第2位。
楽器は日本を代表する河合楽器の
Shigeru Kawaiを使用。
我家のピアノもShigeru Kawaiなこともあって、予選の時から応援していました。