和製〇〇は褒め言葉か
私がかつて「この子はグラミー賞に行けるかもしれない」と思っていたボーカリストがいる。
彼女の名前は、RIRI。
初めてMVを見たとき
圧倒的なボーカル力
キラキラのクリスタルボイス
可愛らしい見た目
天性のグルーヴ感
何もかも完璧なように思えた。
あぁ、この子は本気を出せば世界に行けるかもしれない、いつかLIVEを見てみたいと、そう思った。
そんなある日、Spotifyの主催イベントで、彼女のステージを遂に見ることができた。
予想通り可愛らしく、圧倒的な歌唱力の持ち主であることは間違いなかったのだが
その時、私の心に浮かんだフレーズは
「和製Ariana Grandeだなぁ」
これは、私は全く褒め言葉として使っていない。
本当に心の底からガッカリしたのだ。
後から知ったことだが、彼女自身「Ariana Grandeみたいになりたい」と、ずっと公言していたようだ。
YouTubeに彼女がアメリカでオーディションに挑戦した際の記録映像が残っている。
審査員は一貫して
「日本人としてのRIRIの個性、アイデンティティ」を求めている。
そう、英語で歌が上手に歌える人なんて、ごまんといるのだ。
世界的オーディション番組、AGTを見てもよくわかる。
歌がめちゃくちゃ上手い「だけの」人は、世界中に溢れかえっていると。
Ariana Grandeじゃなくて、RIRIの音楽が聞きたい。
そう思わせないと、海外という広大なフィールドでは戦えない。
ちなみにすっかり意気消沈してしまったのか、ここ最近上がっている動画はカバー物ばかりだ。
この程度で心が折れる子ではないと信じているので、どうにか頑張ってRIRIの音楽を確立してほしい。
そして昨年2020年
新たな才能が現れた。
それがDoulだ。
先日公開されたばかりのRemix版は、なんとあの世界的プロデューサー、Kan Sanoによるものである。
私にとってはDoulの音楽は唯一無二だけど
もしかしたら、こう言う人が現れるかもしれない。
和製 Billie Eilishだと。
それをその人は、もしかしたら褒め言葉として使うかもしれない。
でも、それって本当に褒め言葉なのだろうか?
DoulにはDoulの
Billie EilishにはBillie Eilishの
そして、RIRIにはRIRIの
Ariana GrandeにはAriana Grandeの
音楽があるはず。
便宜的にジャンル分けされたり
似てる音楽、として形式的に括られることはあったとしても
その人の音楽は唯一無二だ。
だからこそ、アーティストには自分の音楽をこれからも沢山鳴らしてほしいと思うし
「あなたの音楽が大好きです!」と伝えることこそが
最大の褒め言葉なんじゃないか、と思う。