名刺交換の話
人事の仕事として名刺交換会なるものがある。学校の就職担当者がブースを作って、そこに企業が列をなして名刺を交換、なんか話をする。この茶番のルールとして「名刺交換後の挨拶は1社あたり2〜3分」と定められているにも関わらず、各企業の担当者は何とか爪痕を残そうと長々と喋る。進まない行列。マシンガントークを受け止め続ける学校側も、行列をなす会社側も、双方共に辛いイベントだと思っている。そして就活の主役である学生はこの場にはいない。意味あるのかなこれ。全く意味は見いだせないけど仕事だから歯を食いしばって行列に並ぶ。並んだ先には疲労の色が隠しきれない就職担当者。この人に向かってぼくは何を話したらいいんだろうといつも困る。100人以上と名刺交換して顔も名前も曖昧になっている人にPRなんかしたくない。「お疲れ様です、大変ですね。意味ないですよねこれ。」名刺すら渡さずに一声だけかけて会場を後にしたい。そんなこと考えながら並んでいるものだからいざ自分の番になると頭が真っ白になる。学生の傾向だとか、内定状況だとか、聞くべきことはあるのだろうけど興味がないから聞く気になれない。そんなわけで今日もおそらく就職担当の記憶に残ることもなく、ただ「名刺を渡した」という事実だけを残して帰った。空虚だ。