【エッセイ】極貧試考#3 【SS】
【御注意】
筆者は創作活動においてプロットを建てたり下書きをしたりという事をしない謂わば「即興的創作」を軸にしており、文体人称主義主張等、その時の気分や知見によってコロコロ変わります。
と、このように書き出しだからと丁寧な書き方をしておりますがまた翌日に書き始めるともうまったく気分が変わってそれは、それは雑でテキトーな文体になったりもするし、そうでもない場合もあったりなかったりなので、基本的に最大の主題となる部分に関してはそれに沿った創作を心がけてはいますが、それでもおそらくは脱線に次ぐ脱線を繰り返し時には何を書いているのかわからなくなってしまってオチもないまま投稿することも有ると思われます。
案外まともに書けるかもしないけれど、それは自分的に納得の行く形でこの創作物が完成した時までわかりませんしまた、記事内に登場する情報等についても自分が軽薄に見聞きしたことや行動したことを元に書き散らすだけであり、殆どの場合には情報源の裏を取るというような面倒臭く辛気臭く(筆者自身が)面白くない作業に関してはやりませんので、データに信憑性はありません。私は無責任です。
ただし、記載するエクササイズ等に関してはとりあえず筆者自身が実践していることであるので少なくとも「俺的には」あり、とか、なしとかいう意味で真実です。
私、万人に当てはまるようなメソッドなんてものを吹聴する手合は信用しないタイプの人間ですのであくまで個人主義、個人が良ければそれで良いという我儘感覚で長大なる連載エッセイを書いてみたいと思っております。まぁ気が向いた時にね。忘れちゃうかもしれないし飽きるかもしれないし。
途中で投げ出すかもしれないし。
ただひとつだけ断言しておきましょう。
”私は「極貧」を推奨しない”
前回
【ショートショート】二畳の草原
ぽかぽか。
憎たらしいほどの日差しが差し込む初夏の窓。
なんといっても小さな築40年2階建てボロアパートの最上階なので、風が気持ち良い。それだけがここに住む利点である。
傾いてるけど。
全開にしてみると忌々しい羽蟻が室内に飛び込んできたのでムカついて網戸にする。
2箇所の窓をそのようにしておくと、風が抜けていくが、もう少し強い風が欲しかったので扇風機を回してみる。
いい感じだ。
畳の上に寝転ぶ。仰向けに。
これは快適。
大きく伸びをしてその後、大の字になってみると、これがまた最高の気分。
久しぶりだな、大の字に寝そべるというのは。
目を開けているとあちこちにシミのある天井。
ペンダント型の蛍光灯が吊り下がっている天井が陰気。
思いとしてはこう、なんというか、広々とした草原のど真ん中でこのように大の字仰向けで寝転んでみたい。
しかし、なんだかんだ生活はカツカツで預貯金はゼロ、給料日まではまだ半月も有るし明日は米も買わなければならないし、草原までの旅費を出せば米が買えなくなって飢える。
アタシはちょっとため息を吐いたのだが、それでも初夏の風は気持ちよく吹き込んでいる。
目を閉じると天井のシミもペンダント型の蛍光灯も視界から消え、ただただ気持ちよく風が吹いている。
ふと思いついてとりあえず上半身を起こし、着衣を全部脱いでみた。
全裸で風を浴びる。大の字で。
風はアタシの顔面を通過し鎖骨から乳首をかすめてヘソに抜け、陰毛を揺らせて足の裏で渦を巻きながら霧消する。
何度も。
何度も何度も。陰毛を嬲られてそれは花芯をも刺激して。
アタシは風の執拗な愛撫にやや欲情しながら、瞼の裏に草原を見ている。
人里離れた密林の奥の奥にあるアタシ専用の草原は遠く地平線が見えるほど広大で、そのど真ん中に大の字仰向けで寝っ転がる幸福。
誰の視線も気にすること無く全裸に風を受けて欲情する幸福。
夕焼けの紅に瞼を焼かれて開いてみるとシミのある天井。吊り下がったペンダント型の蛍光灯。
全裸大の字でヌルヌルと濡れた股間を晒しながら夕焼けに焼かれているアタシ。
両手両足を広げても二畳。
遥かに広がる草原のど真ん中でもボロアパートの畳の上でも、風の中目を瞑れば何も変わらないのか。
明日は悠々と米を買いに行く。
そして炊く。
小さな卓袱台の前にアタシが座って白米を食べるのには一畳。
全裸大の字で草原に寝そべるのには二畳。
暮らしは上々である。
(了)
(to be continued...)