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【エッセイ】性的フォーチュンクッキー


パックンマックン

 夕方のわりと遅い時間に車を走らせていると、時々パックンマックンが極めて日常的実践的な英会話をレクチャーするという番組がカー・ラジオから流れてくる。
 パックンマックンと言えば日米混合のお笑いコンビということなのだが、正直、この人たちのネタは全く知らない。
 このラジオ番組についても、このコンビが一応お笑い芸人という建前なので、お笑いを交えながら英会話を勉強するというような趣旨なのだが、ぶっちゃけお笑い感覚は皆無で、パックンがアメリカの文化を紹介しながらそれに関連する英会話をレクチャーしているという、んー、まぁはっきり言うとたいして面白くもない番組ではある。
 それにしてもパックン、ずいぶん長い事日本にいるのにそれほど日本語がうまくならない。アグネス・チャンなんかもそうだけど、こういう頭の良い人って、言語は通じればいいみたいな感覚なのだろうか、正確なニュアンスとかは気にしてない感じである。
 まぁ実際、言語なんてのはそれで良いのかもしれん。

フォーチュンクッキー

 その番組で先日、フォーチュンクッキーの話題が出た。
 え、なに?フォーチュンクッキーってアメリカの文化なの?
 私は単にアイドルの曲のタイトルという認識しかなくて、なんか秋元康が語呂合わせで作った言葉としか考えていなかった。

恋するフォーチュンクッキー

 帰宅してからググってようやくその正体を知った。
 どうやら根源は日本発であるようだが、良く知られているのはアメリカの中華料理屋で食後に提供される、中におみくじの入ったクッキーのようであるね。

ベッドの中で

 パックンが言うには、このクッキーの中に入っていた紙切れに書いてある占い的な言葉をそれぞれが声に出して読み、最後に「ベッドの中で」という言葉を付け加えるというジョークが慣例化しているという。
「待ち人は現れるでしょう、ベッドの中で」
「大金が転がり込むでしょう、ベッドの中で」
「出世するでしょう、ベッドの中で」
「あなたの歌がオリコンで1位になるでしょう、ベッドの中で」
「あなたはフラレるでしょう、ベッドの中で」
例を出すと、こういうことになるのだと思う。
ようするに、どんな内容だったとしても「ベッドの中で」を付け加えることで、いわば夢の中の話としてオチをつけて、良いことも悪いことも笑い飛ばせると、どうもこういう意味らしく、それを中華料理店でのパーティ後にフォーチュンクッキーを齧りながらみんなでワイワイやらかすということらしい。

性的な意味

 先に断っておくと、ここまでの話は完全に振りであって、パックンマックンもフォーチュンクッキーもほとんど無関係な話なのであるが、このラジオ番組を聴いていて、ちょっと思い出すことがあった。

 以前、もう10年以上前になるか。
 私が音楽の活動をしているときに交流のあったゲスい連中の間で、ツイッターでつぶやく時、最後に(性的な意味で)と書き込むということが流行っていた、のかどうかは知らないが、たんなる身内ウケみたいな感覚で頻繁に登場していたことがある。

 なんかこれ、元ネタは漫画で使われていたセリフ?のようだけど、私は漫画に詳しくないので知らない。

 で、これが、どんなツイートに対しても概ねいい感じの、極めてゲスい効果を生むのである。
「今夜も激しく盛り上がりましょう(性的な意味で)」
「あなたもわたしも叫び狂いましょう(性的な意味で)」
「終電逃したら床で雑魚寝!(性的な意味で)」
「倒れそうです(性的な意味で)」

 今、かなり眠いのでウィットに富んだ例文が浮かばないわけだが、なんとなく意味が通るような通らないような、でも性的な意味としたなら何でもアリになるようなならないような、全面的に中途半端で全面的に理不尽で乱暴な、いかにも頭の悪い人たちがキャッキャ言いながら遊んでいる感じに逆にハッとさせられたように記憶している。

ゲスいもの勝ち

 「ベッドの中で」だと、なんかちょっと気取った感じというか、知的な雰囲気があってこれをジョークとして口にするドヤ顔が想像できるのだが「性的な意味で」と言えばおそらく女子は目を背け、ハイセンスな紳士は苦笑いを浮かべるそれを尻目に、ギャーギャー騒ぎながらベロンベロンのゲス野郎共は人目を気にせず今日も騒ぎ散らすのである(性的な意味で)。

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