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【コラム】小汚いおっさん
時々、音楽やら文学やら芝居やらで自分の好きな人を紹介するような文章を書くことがある。
例えばトム・ウェイツ。
例えば中島らも。
例えばブコウスキー。
例えばSION。
例えばシェイン。
例えば箱男。
とりあえず、箱男は別にして、こう並べてみると、やはり小汚いおっさんが多いなと。
もしかしたら、こういう無頼の系譜に憧れがあるのかもしれない。
でも、日本のいわゆる無頼派と呼ばれる作家にはあまり好きな作家はいないのだよね。太宰とか何がいいのかイマイチわからない。
なんだろうね、放浪の匂いがする無頼、そういう小汚いおっさんがきっと私は好きなのだ。
そんなこんなで脳内において小汚いおっさんのことを逡巡していたらひとり、ぽんと思い出した人がいたわけでそれが小汚いおっさんのフランス代表、セルジュ・ゲンズブールである。
ゲンズブールといえば、元奥さんがジェーン・バーキンで、娘がシャルロット・ゲンズブール。
で、シャルロットのデビューにはおっさんが当然のように一役買っていて「レモン・インセスト」や「シャルロット・フォー・エヴァー」という曲をふたりの名義でリリースしたりしているわけだが、このあたりもうタイトルからして相当に危なっかしい上に、おっさんによる歌詞がもう思いっきり近親相姦風、歌い方もどうしようもなく異様で、おそらくイメージ戦略だとは思うのだけど、ある意味それが非常に上手くいっていて、エロい親子という印象がバッチリとはまり込んでしまっていた。
というのも、この頃私は輸入レコード店に勤務していて「シャルロット・フォー・エヴァー」のたしか12インチシングルだと思ったが、それを仕入れ、店のBGMとしても流して、けっこうな枚数を売りさばき、その時に客と猥談で盛り上がった記憶があるからである。
シャルロット・フォー・エヴァー
レモン・インセスト
余談だが、セルジュ・ゲンズブールは亡くなったし、シャルロット・ゲンズブールもすでに熟女であるわけでそのシャルロット、偏執的な作風と最近では性暴力で悪名の高いラース・フォン・トリアー監督作品への出演が多く、中でも私的に面白いと思ったのは大作「ニンフォマニアック」であった。とにかく長い長い時間の間、強力に陰鬱でとてつもなく難解であるような展開を続けながら最後に来て「え?」みたいな感じ、ちょっと笑っちゃうような感じ、そこまでの展開を台無しにするこの映画、小汚いおっさんは出てこないが、やはり異様である。
ニンフォマニアック予告(ハード版)
ニンフォマニアック予告(ソフト版)