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友達はいらない。
12月の終わり。師走の忙しさの中、東京は渋谷の喧騒をすり抜けてきた私たちは、日本食の美味しい小さなお店で落ち合った。外国人の友人と話をしていたときに、その一人が「僕は100人の友達はいらない、僕は10人の大切な人がいればそれでいい。咲は?」と言った。私はそれを聞いて、うんうんと大きく頷いて共感し、「I need just ONE.」と答えた。
「友達はたった1人でいい」
それは、大袈裟に言ったつもりはない。友達は多いほうだと言われたり、大体誰とでも友達だよねと言われる。そして、1度合えば「10年来の付き合い?」とその日に間違われる程のある種の親しさと図々しさで、私は比較的誰とでも打ち解ける。
しかし、友達は多いほうがいいとも、友達に頻繁に会いたいとも、私は昔からあまり思わない。最近は特に、新しい人に出会いたくないなとさえ思う。
多くの人と付き合うよりも一人の人との仲を深めたい。たくさんの人と出会うよりも、誰にも出会わず友達も増やさず、今静かに自分の中にあるものを大切にしたい。だから、会いたいと思う人も、それを誰かに伝えることも、私は昔から結構稀だと思う。仕事上の付き合いだからという会食も、最近はほとんど辞めてしまった。
それに加えて例えば1ヶ月後、誰かに会いたいかなんてわからない。誘われたその人と、大切な“夜ご飯“を一緒に食べたいかなんて分からない。だからそんなに先の予定をいれることもできない。家族との時間は先に入れるけれど、それ以外の予定はだいたい最大翌週くらいのことしか扱えない。その時の自分の気持ち、本当にそうしたいかの温度感が、私にとってはとても大事なのだ。
こうやっていうと、意志を持ってそうしているようだけれど、そんなことを豪語しながらも年に数回、私は決まって「友達がいないかも」とかなり深刻に不安になり、身近な人に泣きついたりもする。そして、いつも友達の名前を数え、友達というものについて考える。その度に、今のくだりを一通り舐めるのだ。
「それにしても…」と思う。学生時代、あんなに欲しかった友達を、欲しくないと言えるようになったのは何故なのだろう、と。
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