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別れた旦那の家を実家と呼ぶ理由(散文)

私には今、実家が2つある。1つは、育った場所ではなく母が今住んでいる祖母の家、秋田のそれ。そして、今年離婚した元旦那の森ちゃんの家だ。(自分が育った千葉の家は、物理的には実家だが、好きじゃなかったし帰る場所ではないこともあり、実家と呼んでいない。)森ちゃんの家(離婚した直後に引っ越した半分我が家)を実家と呼び出したのは、最近だが、それが妙にしっくりきている。

私は、離婚するときに「この人と別れる!」という感覚も、「2度と会いたくない」とも思ったこともない。変な言い方だが森ちゃんは、生涯変わらず家族であり、私の育ての父だ。これからもずっと私の人生の恩人であり、世界一大切な娘を2人で育むパートナーでもある。

私は風変わりな家に生まれた。父はアナウンサーを辞めてヒッピーに、母はフジテレビを辞めて40歳の父と20歳やそこらで結婚(父は再婚)。日本一周ワゴンの旅で後半戦北海道や山中湖に仮住まいをして、3歳にして辿り着いた千葉の片田舎で、大いに変わっていたであろう私たち家族は、周囲に必然的に白い目で見られながら育ってきた。

当時40歳の父は今の私以上に自分の人生を模索し・取り戻すのに必死で、それがなければ家族の未来はないという勢いで、自分自身の生き方を模索していたし、彼が勝手に決めたハードな環境で、20歳そこらの母が私と妹をほぼ1人で育てると言うことは、とんでもなく過酷なことだったと想像がつく。併せて当時、彼らは時に血を流すレベルでケンカが絶えなかったし、学校にも表面的には馴染んでいたが、違いだらけのその環境で、自分が心から楽しいと思えることはなかった。

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「旅に連れて行きたい」と思うのは、情緒に寄り添ってくれる言葉が描かれた小説やエッセイ。そんな文庫本を的な存在を目指して始めたノート。あなたの人生という旅に、ぽっかりと考える時間や心の動きを。

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