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定休日を週2日作ってみたら…

ずっと無休(お正月だけお休み)で営業してきましたが、今年2月から火・水曜日定休に変更しました。そして、この9月からは、月・火曜日定休に変更しました。無休→火水→月火と8ヶ月の間に2回も変更していて、お客様には、ご不便&わかりづらさこの上なくご迷惑をおかけしていて反省しております。

※2023年従業員さんが増えたので、週休1日(火曜日定休)にしました。二転三転本当にごめんなさい。

前回、4年前くらいかな?に水曜日定休を導入したことがありますが、すぐに無休体制に戻った経緯もあります。

週休2日を導入した理由は…一斉にお休みするから電気水道ガスなどの光熱費が2日分減る。ゴミ減るから回収業者さんのお支払いも減る。作る量が減るから原材料の仕入れ量も減る=お支払いも減る。スタッフが一斉に休むから、少ない人数でもお店を営業できる上に、休みが取れる。一斉に休むので勉強会などが開きやすい。2連休だとお出かけしやすい。残りの5日間はフルメンバーでガッツリ働くからコミュニケーションや情報共有がスムーズ(無休だと誰かが必ずいない状態)。フルメンバーでガッツリ働くから残業も減る。早く帰って早く休むから毎日元気な状態で過ごせる。少ないスタッフで無理なく営業を続けることができる。

とこんな感じですね。他にももっとあると思いますが…しかし、これは机上の空論でして、実際にそのようなメリットが得られるようになるかどうかは、スタッフ一人一人の心がけとか、お店のブランド力とか、移行期をへてうまく効果がで始めるまでの時間薬みたいなのも必要です。定休日を設けたから、効果は翌月からすぐに!とはいかないのが、おもしろいところです。

逆に、導入をしない方がいい理由は…2日分の売り上げが減る。家賃などのコストは変わらない。冷蔵庫などは動き続けるので節電にならない。食材のロスが出る。他の曜日への負担増。

なんかが挙げられます。これまた他にももっとあると思いますが…

そして、導入しない方がいい理由の中でも一番インパクトが大きいものが【2日分の売上が減る】です!!これはマジでパンチが大きすぎます!売上は人間にとっての酸素や水です。活動量を減らすからお水や酸素少なくてもいいです。とはならないのがそれ。今年の3月や8月なんかは曜日周りの関係で火・水が5週フルにあり、繁忙月の休業は1日の売上が大きいのでこれまた大ダメージでした。

お取引先さんや、同業他社さんから「それでやっていけるの?」ってよく聞かれるんですが、正直はやっていけないです。顧問税理士事務所の先生方にも「週2日定休をやめませんか?」と打合せの時にアドバイスを何度かいただきました。それくらい衝撃が大きいです。今、どうしたらその分の売上を確保できるか必死に頭をひねっている最中です。

そんなわかりきっていた事になんで敢えて踏み切ったの?って思いますね。私も当事者でなければ同じことを質問していると思います。どうして踏み切ったのでしょうか。こんなにも、周囲の皆さんに反対や心配されているにも関わらず…

それには、どんな事も上回る大きな理由があります。

10年後も同じ無休営業を続けていけるとは考えづらい。少子高齢化がますます進む日本で働き手もお客様も減っていくであろうこの地方都市に、年中無休を守り続ける意味を感じないところです。お正月もお盆もクリスマスも家族と過ごさずに働き続けるケーキ屋さんが、これからの時代の消費を支える皆さんに支持されるとは思えないところです。

今、無休営業を続けたとしても、3年5年10年後のサントアンの未来をつなげる理由にはならないと思うのです。思い切って舵を切り、私たちの仕事に対する考えや姿勢をお客様や周囲のみなさんに表現するのは今しかない。そんな思いで踏み切りました。

いつでも美味しいものが途切れずに万全のサービスとおもてなしで準備されている日本の不自然さにたくさんの人が違和感を感じているはずです。作ったり売ったり運営しているのは機械ではなく人間です。誰かの大切な人です。人は休む、体調を崩す、不機嫌にもなる。仕事だけしている人なんていない。睡眠をとるし、家族と過ごす、友達と過ごす、自分だけの時間も必要。ご飯を食べたり、旅行に行ったりもしたい。見逃したくない子どもの成長もある。

少なくとも私は、仕事しかしてない完全無敵の機械のような人間が作るお菓子よりも、自分も自分以外も大切にして生き生きとした人生を過ごす人が作るお菓子を買いたい。失敗もしない異物混入もない、いつでもどこでも途切れずにあるお菓子は、無菌無人工場で作られるコンビニスイーツに任せておけばいい。

私たちの仕事は、時代を逆行しています。テクノロジー進歩目覚ましいこの時代に、農園を訪れて素材を選び、業者さんから仕入れれば安く手に入るはずの副材料や飾りまで手作りし、お菓子作りのほとんどの工程を手作業で行います。添加物や化学調味料を使えば日持ちがして、安定した商品を、安いコストで、大量に、技術がない人でも作れるところを、添加物や化学調味料を使わず、職人の高い技術によって美味しさを保ち、しかも小ロットだけ作り、その日限りの賞味期限を設けたりする。見る人がみたら、まったくもって非効率でナンセンスに思えるでしょう。

けれど、同時にこれらは私たちにしかできない仕事でもあります。ここにしかない商品でもあります。今日この日に食べなければ、味わうことのできない一期一会のお菓子たちです。美味しいものは旅をしない。だから作る価値があるし、食べる価値がある。

豊かになってお菓子が当たり前にありふれている今だからこそ、私たちの時代を逆行したモノづくりは貴重で価値があるものになります。無くすことのできない文化です。お金は知恵を出し合って工夫して稼げばいい、けれど日本中が失いかけている食文化や誠実で勤勉な国民性を持つスタッフの健康や幸せは何にも変えることができません。みんなでしっかり休んで、元気いっぱいのみんなが美味しいほんまもんのお菓子を作って、食べてもらおう!そんな気持ちで2日間を休んでいます。


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