3世代
私は小学校まで祖父母と一緒に暮らしていました。
祖父母とは本当にいろんな話をしたし、
いっぱい遊んでもらいました。
だから、看護師になってからも高齢者の方と
接するのが好きでした。
私の知っている高齢者というのは、
祖父母世代なので、戦争経験者の方たち。
大変な時代を生きてきた人たちで、
時に戦争時代のことを話してもらうと、
実際に経験された人たちからの話なので、
『またそんなことが起こったらどうしよう』
という不安も感じたのを覚えています。
戦争は本当にたくさんのものを人から
奪っていったのだと思います。
実際に、たくさん戦死された方もいるし、
爆撃で町は破壊されてしまったし。
だけど、もっとも大きかったのは、
日本人の持っていた『信じる心』
だったんじゃないかと思うのです。
戦争によって『信じていたものを失った人たち』
が私の祖父母世代の高齢者で。
そういう人からの生の言葉を、
聞いてこれてよかったと思います。
今でも戦争経験を語ってくれている
人たちがいますが、本当に貴重なこと
だと思っています。
日本というこの国で起きていた現実と、
その歴史があって、今があるということ。
何か信じるものがなかったり、
家族の中にも社会の中にも
温かみを感じられずに苦しみ、
心を病む人が多い今の世の中があって。
それが、どう成り立ってしまったのかを、
しっかりと見つめるために、
戦争という過去は外すことができません。
戦争経験者の方が見ている今と、
その子どこたちが見ている今と、
私が見ている今と見え方は全然違っていて。
何と比べて良くなっていて、何と比べて幸せなのか。
戦争の影響は、ずっと続いていて。
壊れて、奪われてしまったまま、
破壊され続けてきて、今がある。
3世代先を見据えて、今の決断をするというけど。
私の3世代前は、敗戦を経験した世代でした。
その心が傷つけられた人たちは、
3世代先をどんなふうに見ていたんだろう。
そして、今私たちは3世代先を
どんなふうに見つめればいいのだろう。