エンタメはスナックでいいのか?
令和の時代。エンタメの消費スピードがとてつもなく速くなった……と感じる。
消費者として選択肢が多いことはありがたい一方、選択肢がありすぎてむしろ手出しがしにくいなと感じたり、作り手としては「どれだけ頑張っても、作ったものが大きくなっていかないんだよな」と思ったりもする。
最近、スマホ媒体のエンタメ(ゲーム・Webtoonなど)でよく聞くのが、スナックカルチャーという呼び方だけれど、
「スナックのように手軽に。短時間でどこでも楽しめる」というその言葉の裏には「感動も、記憶も手軽さの裏に消える」という文脈があるんじゃないかなと危機感も感じる。
じゃがりこは美味しいお菓子だけれど、前回食べたじゃがりこがもたらした感動を、私はこれっぽっちも覚えていない。
ゲームのシナリオを書かなくなってから、約半年くらいが経ったのだけれど、今ゲームとは別の媒体に携わりながら思うのは「私は、スナック菓子を作るのではなく、するめのような作品」を作りたかったんだなということだ。
作家なら誰しもそうかもしれないけれど、読者にはやはり作品を長くかみしめて、魂をすり減らしながら書いた文字から特別ななにかを感じてほしいわけだ。5分で食べて、すぐに食べたことすら忘れられるスナック菓子には、なりたくない。
もちろん、スナックカルチャーが悪い文化だとは思わない。
たくさんの人たちに気軽に楽しんでもらえるのなら、ジャンルの門戸は広がるし、作家だってたくさん必要になる。
この文化があるからこそデビューできた作家も、この環境によって文筆業で食っていけるようになった作家も、きっとたくさんいるんだと思う。
けれど、やっぱりもし自分が作家としてまた作品を作る日が来るんだとしたらその時は、私は読みに来てくれた読者さんたちに、私が思う最高のフルコースをふるまいたいな、とそう思う。
作るのは大変で、時間もかかって、もしかしたら読者も手に取るには少しハードルが高いかもしれない。
でも、そんな作品で、読者のひとと何か作品を介して分かり合えるそんな暮らしができたら素敵だなと、このnoteを書きながら考えている。
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