1993年幼稚園とダンス
新しいお友達
生まれ月が早い活発な子たちの中に
一際素敵な女の子Cちゃんがいた。
ある日勇気を出して園庭でCちゃんに
「Cちゃん!にー!」
と話しかけた。
「にー!」というのは、笑顔の「にー!」だ。
その時の精一杯のコミュニケーションだったが、残念ながらお友達にはなれなかった。
Cちゃんとは数年後に仲良しになる。
5歳児にとって、生まれ月の差は大きいのだ。
豪邸訪問
幼稚園は
団地5割、マンション4割、一軒家1割程度の比率で、一軒家に住んでいる子は珍しかった。
ある日一軒家の男の子の家にみんなで遊びに行くことになった。
お金持ちのお家で、豪邸である。
かくれんぼをすることになったわたしたちに
その男の子は
「この扉の中に入ったら、中からは開けられない。絶対に入らないように。」と伝えた。
豪邸のことは思い出せないが、
その恐ろしいクローゼットのことはよく覚えている。
運動会
運動会ではみんなでダンスをする。
私はダンスが得意だった。
演目は「怪獣のダンス」
カラフルな軍手をはめ、怪獣の帽子を被り、怪獣ポーズをとりながら踊る。
フワフワのポンポンを持って踊った去年のダンスの方が良かったな。と思ったが、得意のダンスなので、力一杯踊った。
見本として前で踊る代表にも選ばれた。
どうしても最後まで恐竜ダンスは好きになれなかった。
ダンス
ダンスを習わせてもらえることになったので、まずはバレエ教室の体験レッスンに行った。
小さな部屋で、レオタードを着た女の子たちが、
ペターと床に身体を折り畳んでいる。
私の身体は硬く、折り畳める気配がなかった。
恥ずかしくなり、バレエは習わないと断言した。
結局幼稚園の子が沢山通っているジャズダンスに通うことにした。
身体を折り畳めなくても全然恥ずかしくないレッスンだった。
レオタードではなくスパッツを履いて毎週通った。
ついでに姉も一緒に通いはじめた。
白雪姫の劇
幼稚園の発表会で白雪姫の劇をすることが決まった。
絶対に白雪姫役になりたく、立候補したら、
三人の白雪姫のうちの一人となることができた。
Cちゃんはじめ、活発な子たちはみな、悪役の海賊役に立候補していた。
なりたくてたまらなかった白雪姫役が、急に色褪せてしまった。
それでも、毒を盛られたりんごを食べ、その場に倒れ込む演技を、白雪姫三人で演じ切った。
その熱演が笑いを誘った。
真剣な演技で笑われたことが恥ずかしかった。
娘をみて
娘は5歳で、年長クラスで、1993年の私と同い年だ。
娘は本当にしっかりしてるなと思う。
保育園で集団生活にもまれ、隙間をぬって習い事に勤しむ姿は、我が娘ながらあっぱれだ。
もしも私が娘と同い年で、同じクラスだったら、
娘は私と仲良くしてくれただろうか。
そして私は今、真剣な娘を笑ったりしていないだろうか。