ラム肉はクセがあるけど、羊乳チーズは食べやすい
チーズに関する間違った認識シリーズ〜その2
間違った認識、というより「知らない」人が意外と多いなぁ、と言う印象。
なにかと言うと、
羊乳製チーズは、クセがあって食べにくい
と思われていること。
クセのあるラム肉を想像しちゃってるんでしょうかね?
おすすめのチーズを聞かれて、
私の好きな「マンチェゴ」を勧めると
「えっ?羊?
私、クセが強いのはちょっと…」
と言われます。よく言われます。
クセがあるなんて一言も言ってないのに。
結論から言うと、羊乳製のハードタイプは
クセはないです。
むしろ、ミルクの甘味を感じられる、食べやすいチーズの方だと思います。
少なくとも、今日本に入ってきてる有名な羊乳チーズで、私が食べたことあるチーズに関しては。
私が大好きなチーズの一つに、「ロックフォール」というブルーチーズがあります。
青カビタイプの中でも、クセの強い部類に入るチーズですが、これ、原料は羊乳です。
(クセの強さは青カビであって、羊乳のクセではない。)
強い青カビ特有の風味と塩味が最初に口の中に入ってくるのですが、
チーズ自体がふわっと口の中で融けて、最後に羊乳特有のミルクの甘味がほんのりと残る。
その一連の流れが、青カビ特有の風味の力強さと相まってなぜか「上品」なんです。
この絶妙なバランス!
ロックフォールを造ってくれた昔々の人たちに感謝です!
大好きなチーズなもんで^ ^;
ロックフォールを語り出すと止まらなくなるので、それはまたの機会に譲るとして(こちら)、
羊乳製チーズに話を戻します。
そもそも、日本では羊乳にあまり馴染みがないんですよね。
ちなみに、チーズの原料となるミルクの主な獣種ってご存知でしょうか。
日本では、乳といえば「牛乳」がダントツ知名度高いですが、
チーズが造られるミルクは主に、
牛、山羊、羊、
それと水牛、がいます。
水牛はほぼモッツァレッラだけですけどね。
世界的に見て、圧倒的に牛乳製のチーズが多いことは確かです。
乳生産量で見ても、牛乳は6億5000万t以上生産されており、全体の8割以上を占めます。(2014年FAO(国際連合食糧農業機関)調べ)
一方羊乳はわずかに1.3%、1000万t。(同)
それでも、日本には多くの羊乳製チーズが輸入されていると思います。
「ペコリーノ」と名のつくチーズ、聞いたことあるでしょうか?イタリア産のチーズですが、これは全て羊乳製です。
なぜなら、「ペコリーノ」とはイタリア語で「羊のチーズ」と言う意味ですから。そのまんま、です^ ^
ペコリーノ・ロマーノ
ペコリーノ・トスカーノ
ペコリーノ・サルド
………
イタリアには、ペコリーノなんちゃら、というチーズが8コあります。
(そう、8種類あるのです。「ペコリーノ」という名前のチーズはありませんので!)
中でも、ペコリーノ・ロマーノは思い出深いチーズです。その塩辛い思い出、こちらに書きました^ ^
冒頭に紹介した「マンチェゴ」は、スペインのチーズ。"ドンキホーテ"にも登場するくらい古くから造られてきたチーズです。(激安の殿堂、じゃないよ)
通常3ヶ月ぐらいの熟成のものが多く流通していますが、12ヶ月の長期熟成させたマンチェゴは
バタークッキー
みたいな香りがするんです❤️
バターじゃないです、バタークッキーです!
若い熟成のものもいいですが、1年熟成はたまりません❤️
羊乳製チーズは、イタリアの中部南部、スペイン、ポルトガルでの生産が多いです。
なぜなら。
この辺りの地域、行ったことがある人はわかるかもしれませんが、
暑い!そして乾燥してる!
だから、牛は飼えないのです。
牛さんが食べる牧草が少ないのです。
そんな地域は、昔から羊や山羊を飼っていて、それらのミルクを頂戴してチーズ造りをしてきたんです。
さらに、スペイン、ポルトガルは19世紀までは羊毛生産の超大国だったんですよね。
しかし、合成繊維が出現してくると羊毛業が衰退してしまいました。
そこでどうしたかというと、
「毛」じゃなくて「乳」を利用し始めたんです。羊毛用に飼っていた羊さんたちは乳製品用に転用され、未だに活躍してるってわけです。
こんな歴史的背景もわかると、チーズがもっと楽しくなりますよ^ ^
とにかく、
ヒツジのチーズはクセはないですから!
食べやすいでの、ぜひ召し上がってください^ ^
🧀代表的な羊乳製チーズ
Roquefort ロックフォール
フランスのAOPチーズ。青カビタイプ。
フランスの真ん中より下の方、ワインで有名なボルドーの南方にあるアヴァロン県のロックフォール・シュル・スールゾン村の洞窟内で熟成させる。
世界三大ブルーチーズのひとつで、日本にでもよく見かけるチーズです。
Queso Manchego ケソ・マンチェゴ
スペインのDOPチーズ。ハードタイプ。
スペインのど真ん中、ラ・マンチャ地方の暑く乾燥した地域が産地。
「ケソ」はスペイン語で「チーズ」。
現地では「メンブリージョ」と言う、マルメロ(西洋かりん)を煮詰めてジャムを硬くしたようなものをのせて食べたりするみたい。
チーズ単体で食べると、程よい塩味とミルクの甘味が絶妙なバランスですが、メンブリージョを乗せると、チーズの塩気がメンブリージョの甘味を引き立たせ、ちょっとしたスイーツになります。これは、ワインよりコーヒーが飲みたくなります^ ^
Idiazabal イディアサバル
こちらも、スペインの DOPチーズ。
産地は、フランスとの国境であるピレネー山脈の麓あたり、大西洋側のパイスバスコ州、ワインでも有名なナバラ州。
スモークしたものもあり、これは、香りがまるでイカの燻製!なので、日本酒とも相性いいかと思います。
マンチェゴに比べると軽やかであっさりした味だなぁと思ってMG(固形分中脂肪分率)を見てみたら、やっぱり!マンチェゴはMG50%だけどイディアサバルはMG45%でした。
Ossau-Iraty オッソー・イラティ
フランスのAOPチーズ。産地は、ピレネー山脈を挟んでイディアサバルの産地の反対側。
オッソーは谷の名前、イラティは森の名前。
イディアサバルに比べるとコクはあるけど、マンチェゴに比べると若干淡白かなぁって味です。ちなみに、MGはマンチェゴと同じ50%。
Pecorino Romano ペコリーノ・ロマーノ
こちらをご覧ください
Pecorino Romano ペコリーノ・トスカーノ
イタリアの DOPチーズ。その名の通り、トスカーノ州(フィレンツェがある州ね)全域と、あとお隣ウンブリア州とラツィオ州(首都ローマがある州ね)でも造られてます。
他のペコリーノに比べて塩味は控えめ。香りも控えめで、私が食べた羊乳製チーズの中で一番穏やかな味わい。
Feta フェタ
ギリシャのPDOチーズ。
意外と忘れがちだか、これも羊乳製チーズだったんだよな…山羊乳を30%まで混ぜてもOKです。そして、日本にもよく入ってきているチーズです。
古代ギリシャ時代からほとんど進化していないチーズで、「フェタ」とはギリシャ語で「スライス」と言う意味。
塩水の中に2ヶ月間浸け置くので、そのまま食べたらかなり塩辛い!だから、塩抜きしてから食べましょう。一番有名な食べ方は、サラダにザクザクのせる、フライパンで軽く焼く、など。
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