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桔梗色の空

水よわたくしの胸いっぱいの
やり場所のないかなしさを
はるかなマヂェランの星雲へとゞけてくれ
そこには赤いいさり火がゆらぎ
蝎がうす雲の上を這ふ

宮沢賢治『春と修羅』「薤露青(かいろせい)」より

「色彩と光の文学」と呼ばれる宮澤賢治の作品の中には、色の描写がたいへん多く、とくに青色への思い入れが強いことで知られます。比喩の文学ともされる『銀河鉄道の夜』の中には、空の色を「桔梗色」と表現している箇所が、4つもありました。

「がらんとした桔梗いろの空」「きれいな桔梗いろの空」「桔梗いろの
がらんとした空」「桔梗いろのつめたさうな天」。

東北の空を象徴する青天、透明な水、満天の星空。それらすべてに共通する青色は、彼の故郷である花巻の風土に生きた色。その色から、賢治は生命の輝きのすばらしさを読者に教えてくれます。

青いくるみと風の音を聴き、青い夕方をひとり歩き、桔梗色の空の中で、星のまたたきに出会った賢治。さあ今夜の色は、何色かしら。

今日もいちりんあなたにどうぞ。

キキョウ 花言葉「変わらぬ愛」

夜の空は桔梗色


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フラワーギフト専門店 「Hanaimo」 店主
普段はお祝いやお悔やみに贈る花、ビジネスシーンで贈る花の全国発送をしている、花屋の店主です。「あなたの想いを花でかたちに」するのが仕事です。since2002
https://www.hanaimo.com/

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