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冬が来た


冬が来た
きつぱりと冬が来た
八つ手の白い花も消え
公孫樹の木も箒になった

きりきりともみ込むような冬が来た
人にいやがられる冬
草木に背かれ、虫類に逃げられる冬が来た

冬よ
僕に来い、僕に来い
僕は冬の力、冬は僕の餌食だ

しみ透れ、つきぬけ
火事を出せ、雪で埋めろ
刃物のやうな冬が来た

高村光太郎「冬が来た」 詩集『道程』より

今朝は日の光もなく、昼にはいよいよ寒さがつまり、日暮れからは、冷たい雨が降っています。冬が来た、と今年はじめて思いました。そんな今日には、高村光太郎の詩を贈ります。

一般的には詩人として知られる光太郎ですが、生い立ちは著名な彫刻家の長男として生まれ、自らも彫刻や絵画に造詣を深めました。ロダンの影響を広めたとされる「手」がよく知られますね。

高村光太郎は冬が好きだったといいます。痛みを伴うような刺さるような寒さを、光太郎は「刃物のような」と書きました。身も削ぐような雪の冷たさ、心まで見透かされたような水の透明、それらをきっぱりと受け止めたのは、ほかでもない光太郎自身だったのでしょう。

彼の残した冬の詩から、そうした潔さを感じられるのも、もともとは光太郎が彫刻家であるがゆえかもしれませんね。

たしかに今日は、冬がきました。暖かくしてお過ごしください。今日もいちりんあなたにどうぞ。

クリスマスローズ 花言葉「私の不安を和らげて」


Text
フラワーギフト専門店 「Hanaimo」 店主 鈴木咲子
都内生花店向寒の頃にに8年在籍ののち渡独。2000年に南ドイツ、アルザス地区の生花店での勤務を経て帰国後、2002年 通販サイトHanaimo開業。一般社団法人日本礼儀作法マナー協会 講師資格
https://www.hanaimo.com/



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