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美術展『柚木沙弥郎と仲間たち』 使われるための民藝品

開催概要
展覧会名 柚木沙弥郎と仲間たち
会期 2023年9月6日(水)〜2023年9月25日(月)
時間 10:30〜19:00
会場 日本橋高島屋S.C.本館8階ホール

タイトルにある「仲間たち」の通り、染色家・柚木沙弥郎のデビューから現在までの歩みを、彼に影響を与え、共に切磋琢磨した作家たちの作品とともに辿る展示構成となっている。

「第1章 出会いとはじまり」で見られるのは、柚木氏がその作品に感銘を受け、染色家の道に進むきっかけとなった芹沢銈介の《型染カレンダー》。静岡にある芹沢銈介美術館にもいつか足を運んでみたいと思っていたところなので、ここで芹沢氏の作品を目にすることができたのは嬉しい出会いでした。
他にも、武内晴二郎や船木研兒の焼き物がスリップウェアなどの手法とともに紹介されています。

「第2章 生活を彩る色・かたち・もよう」では、柚木氏の注染や型染の作品が並ぶ。今にも踊り出しそうな軽やかな幾何学模様、鳥のモチーフ、犬猫など、一度見たら忘れない、印象的で鮮やかな色使いの作品ばかり。
鑑賞目的の芸術作品と大きく違うのは、”使うこと”を意識しているという点。どこか遠い存在に感じることもある美術品とは対照的に、民藝品には親しみがある。キャプションでは柚木氏の「使いたいと思われる布」「使うことを第一の目的に」「生活に必要なものを」との言葉が紹介されていました。その言葉通り、作り手が使い手のことを考えているからこそ、私たちはその使い道や使い勝手に共感し、手に取り、迎え入れ、長く愛用するのかもしれません。

展示の最後は、民藝運動を取り上げた「第3章 ひろめる ひろげる −萌木会の活動」で締め括られます。着物、屏風など生活を彩る染色作品を見ることができます。
特集展示として3章の入口にあった「柚木家の食卓」も惹かれるものがありました。こだわりのテーブルや椅子に重厚な食器たちがコーディネートされています。 

毎日を共に過ごす家具や器に愛着があれば、心も豊かになる。直感的に、好みのデザインや自宅に合いそうなインテリアを探す一期一会の出会いも楽しいですが、本展のような企画をきっかけに、その品が生まれた背景や職人の思いを知ったうえで取り入れていくと、それはもっと特別なものになりそうです。
少しずつ、自分らしいアイテムを集めて暮らしていけたらと思う。


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