美術展『モネ 連作の情景』 比べて楽しむ。
モネ展へ行ったのは11月の休日。混雑を覚悟して行きましたが、日時指定チケットを持っていたので会場内へはスムーズに入ることができました。グッズ会場への入場も列ができていましたが進みが早く、レジは待ち時間なしでした。
本展の見どころは、モネの作品だけで構成される「100%モネ」の展示、そして「連作」に焦点を当てていること。1章「印象派以前のモネ」から5章「睡蓮とジヴェルニーの庭」まで、年代順の展示構成です。初期のイギリスやオランダ、印象派展の頃のパリ、新たな画題を求めて訪れたというノルマンディーやブルターニュ地方、そして晩年の自宅・ジヴェルニー。モネの絵を通じて19世紀のヨーロッパの情景と、朝や夕暮れ、晴天や雪、さまざまな自然がもたらす景色の美しい変化を見ることができます。
モネといえば、《睡蓮》のように「同じテーマを描いた絵がたくさんある」という認識はあったものの、それらを連作としてじっくり考えたことはなかったかもしれません。会場の解説を読むと、例えばモネが魅了されたという地中海沿岸について「同じ場所でも、モネの関心ごとが造形物から気候へ変化していることが読み取れる」とあり、それをヒントに対象の絵画を探し、比較する。そんな本展ならではの体験が楽しめました。
もうひとつ、モネの作品の鑑賞の楽しみは、近づいて見た場合と遠くから見た場合で、印象が変わること。近づくと淡い色の美しい重なりがわかり、離れるとそれらは造形物の輪郭になり、その街や港の景色になる。筆づかいから日差しや風、空気感まで伝わってきます。
館内はそれほど広くないこともあってゆっくり鑑賞できる雰囲気ではありませんでしたが、友人とふたりで感想を話したり、展示室を行ったり来たり、美術館をエンタメ的に味わう時間となりました。
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