ともの救急外来~破傷風
こんにちは、ともです。
今回はケガをした時に注意して欲しい、「破傷風」について紹介したいと思います。当院では昨年の1年間で3例の破傷風がありました❗本来は全国で年間100例も無いような病気なので、とても珍しい状況だと思います。せっかくの経験を生かし、一般の方にも注意していただきたい点についてまとめました。
破傷風とは
破傷風菌は、土壌や道路などの自然界に生息する細菌です。外で大きな怪我をした時などに体内に菌が侵入して、怪我から10日後くらいに発症します。発症すると20%以上が死亡しますが、ワクチンでほぼ確実に防ぐことが出来ます。
どんな症状?
端的に言うと、身体中の筋肉が固くなります。口が開けられなくなったり、飲み込むのが難しくなります。重症になると、呼吸に使う筋肉が固まって呼吸が出来なくなったり、手足を曲げられずに伸びきって体が弓のように反ってしまいます。
予防するには?
上にも書きましたが、ワクチンでほぼ全て予防することが可能です。最近産まれた赤ちゃんであれば、小さい頃に4回、12歳頃に1回と、合計で5回のワクチン接種を受けています。5回受ければ抗体はきちんと獲得されて、破傷風にかかる心配はほぼ無いと言っていいでしょう。また、怪我をした直後にワクチンを打ってもその効果が期待出来るとされています!それなのになぜ未だに破傷風が撲滅されないのか、注意点をお話します。
主に3点です。
①1967年以前に産まれた人は、子供の頃にワクチンを受けていない。
②最後にワクチンを打ってから10年経つと、抗体が失われてくる。
③1度も破傷風ワクチンを受けたことの無い人が怪我をした時には、複数回の破傷風ワクチン接種が必要。
順番に解説します。
①日本で破傷風のワクチンが始まったのは1968年からです。それより前に産まれた人はそもそも破傷風ワクチンを受けておらず、抗体を全く持っていない可能性が高いです。ご自身の親などが怪我をした際にはぜひ注意してください。
②若い人でも、10年振りに怪我をしたためしばらく破傷風ワクチンを受けていない場合には注意が必要です。10年経つと抗体が低下してしまい、怪我の仕方によっては破傷風を発症してしまう可能性があります。
しばらく破傷風のワクチンを打った記憶が無い場合には、ぜひ摂取してください。
③これも1968年以前の方に注意していただきたい内容です。怪我の後に破傷風予防のワクチンを摂取する場合、怪我の直後に1回目のワクチンが投与されると思います。しかし、本当に予防するためにはその1ヶ月後以降に2回目・3回目のワクチン接種が必要です。そのため、破傷風ワクチンを摂取した方に1ヶ月後の受診を勧めるようにしていますが、忘れてしまう方も多いです笑
注意して欲しいこと
以上のように、破傷風の予防はやや複雑です。正直なお話、医師の中にも上記の内容を理解していない人もいます。もし怪我で病院にかかった時に担当した医師が破傷風予防について理解していなかったり、失念していたりした場合には、
ぜひ患者さんや御家族自信で申し出てください。
本来医師がきちんと対応すべきことですが、どうしても抜けてしまうことはあります。もし発症してしまうと、病院を責めて賠償を得ることは出来ますが、病気の辛さが解消される訳ではありません。
お互いの幸せのために、是非一言「破傷風は大丈夫か」と言ってみてください。
よろしくお願いします!