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朝顔話は七夕の話

七夕。

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彼女は深雪、通り名は朝顔といいます。


朝顔というと、昔は織姫のことを指したのだそう。

彼女が登場するお芝居は生写朝顔話
今では「しょううつしあさがおばなし」となっていますが、
生写朝顔日記「いきうつしあさがおにっき」となっていた時代もあります。



まるで、織姫の日記のような物語、それが朝顔話なのです。



メインの場面、

「宿屋の段」

にいたるまでに深雪と恋人の阿曾次郎はすれ違いを繰り返し、宿屋から大井川で絶望的な別れの状況になります。


この場面がこの物語におけるクライマックスです。


人形浄瑠璃文楽のお芝居のメインの場面は、多くが主人公が別れに立ち向かったり、武士であればこれから戦に立ち向かうというところで終わったりします。


現在はほとんどここまででお芝居が幕になります。


なんといってもこのメインの場面、

切り場

というところがいちばん盛り上がりを見せ、場面としても美しい錦絵のようにして終わりますので、お客様の興奮度が高いままお帰りいただけるからです。


ただ、物語としては多くのお芝居が小説だとエピローグにあたるような作りで「その後」を描いています。

この朝顔話ですと、深雪と阿曾次郎は最終的に出会うことができ、ハッピーエンドで終わります。

仮名手本忠臣蔵は討ち入りを終えた後の焼香の場面が描かれます。

妹背山婦女庭訓ではきちんとお三輪の血で入鹿が倒されます。


通し狂言や半通し狂言でないとあまり上演しない「結」の部分、多くが五段目というところに位置しています。

五段目はそういったふうに物語を完結させるための立ち位置で、作者が「伝えたいこと」は三段目の切り場と四段目の切り場に集約されているのが、人形浄瑠璃文楽のお芝居のシステムになっています。


人形浄瑠璃文楽では、ケレン味や殺陣という要素は少なく、むしろそういった戦いや畝りに巻き込まれた人々の裏側、

感情の推移を描き出す

ことを最大のポイントとしています。


なので、ストーリーラインの結末というのは「エピローグ」扱いになっていることが多いのです。


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