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映画「阿修羅のごとく」に見るインナーチャイルド

先日、「阿修羅のごとく」という映画を見ました。向田邦子さん原作、大竹しのぶさん、黒木瞳さん、深津絵里さん、深田恭子さんが、主役の四姉妹を演じています。

父親に愛人と子供がいると判明し混乱しながらも、四姉妹それぞれにも秘め事があり、周囲の人々を巻き込みながらそれぞれ家族の形を模索していくホームドラマです。

映画の中に、インナーチャイルドについて考えさせられるシーンがありました。

深津絵里さん演じる三女の滝子と、深田恭子さん演じる四女の咲子は、姉妹の中でも折り合いが悪く、お世辞にも仲のいい姉妹とは言えません。取っ組み合いの喧嘩をしたり、滝子の結婚式を咲子の夫が無茶苦茶にしたり、普段から連絡を取り合うこともなく、疎遠な関係です。

ところが、ひょんなことから、咲子がとあるトラブルに巻き込まれたことを知った滝子は、咲子を救うため、なけなしの勇気を振り絞って大胆な行動に出ます。

この事件をきっかけに、滝子と咲子ははじめて互いに心を開いて話し合い、滝子は、「咲子がずっと羨ましかった」と自分の気持ちを吐露します。

小さい頃、父と滝子と咲子の3人でお風呂に入ったことがある。父が咲子の体を洗っている間、滝子は自分の順番を待っていた。けれど、なかなか洗ってもらえない。私も父に体を洗って欲しいのに、待っている間にどんどん体が冷えていくし、とても寂しくて悲しかった。こんなに痩せっぽっちな私は、父に愛されないんだと思った。

滝子はこう語ります。

このせりふから、滝子の傷ついたインナーチャイルドの姿が見えてきました。

父に体を洗ってもらいたい、という願いを持ちながらも、それが叶わなかった。こんなに些細なことが原因で、「こんなやせっぽっちな私は愛されない」と思い込んでしまったのです。

これが、父に愛されたいという願いを持ったインナーチャイルドの正体。

このインナーチャイルドを抱えていたから、滝子は父の愛を一身に受ける妹をずっと羨んで、毛嫌いしていたのです。

もちろん、父が滝子をぞんざいに扱ったり、痩せっぽっちな滝子を愛していないと読み取れる描写は、映画の中には見あたません。映画を通して見れば、父が娘達を大事に慈しんでいることがよく分かります。

滝子が「父に愛されない」と考えてしまったのは、勘違いであり、勝手な思い込みなのです。

インナーチャイルドは、勘違いや勝手なに思い込みよって傷つき、人生に大きな影響を及ぼします。滝子と父の関係には、このことがよく表れていると感じました。

仲の悪い妹との関係に長い間悩まされてきた滝子の苦悩は、お風呂で体を洗ってもらえず悲しかった、という記憶をインナーチャイルドセラピーで癒すことで解消されるのではないかなと思います。

そうすればもっと自分らしく、楽に生きていけるよ、と、滝子に声をかけてあげたくなりました。

これは映画というフィクションの出来事ですが、現実のお悩みにも十分当てはまると思います。

実際に私も、インナーチャイルドセラピーを続けていく中で、「私はこんなに些細なできごとに傷ついていたのか!」と、驚いたことがたくさんあります。

小さな傷を「ここ程度のことだから」と見なかったふりをしたり、面倒臭がったりせず、一度立ち止まってゆっくり向き合ってみる。

そうすることで、ますます自分らしく、楽な気持ちで生きていくことができるようになるのだと思います。



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