抱負とか
上京して何度目の春だろうか。
僕が住んでいた地方では、桜は春到来を待たずして散ってしまうので、春風に桜の花びらが舞う光景を初めて見た時は「桜が春に咲くってのは本当の話だったのか」と感じたのを覚えている。あれから5年。
「最後に思い切り頑張ったのっていつだろう…」
今年もあの日と変わらず日輪のように爛漫と咲き散らしている花々を見てこう思った。思い返してみれば、中学以来自分の努力が結果に結びついた経験をしていないことに気付いた。
僕は中学受験をして中高一貫の私立に入学した。その中学は僕の住んでいた地域ではトップクラスの学力で、なぜそこに入ろうと思ったのかはわからないがいつの間にか受験勉強を始めていた。そんな形で受験勉強を始めたので受験生生活は熾烈を極めた。たぶん直前まで合格ラインに達していなかったと記憶している。だから合格した時は、特に熱烈な志望動機を持って受験したわけではないとはいえ、自分の頑張りが認められたみたいで嬉しかった。
中学入学後は、効率良くコツコツと勉強していたおかげか校内ではそれなりに上位の成績を維持していた。そして、高校1年の時に大学受験を意識し始めた。志望校は東京大学だった。たしか『ドラゴン桜』を見たのがきっかけだったはずだ。東京大学以外には行きたくなかったので、東京大学だけに照準を絞って受験勉強を開始した。高校3年になって部活を引退してからは平日7時間、休日12時間は勉強していた。
迎えた受験本番。初戦であるセンター試験は目標の9割を上回る得点を取れた。
後続の二次試験は東京で開催されるのでそのために上京。本命である東京大学の前に感覚を掴む目的で早稲田大学も一応受験した。
「意外とこんなもんか」
正直そう感じていた。同じように本命の東京大学も卒なく切り抜けられるだろうと思っていた。しかし、人生そんなに甘くない。当日緊張のあまり開門を待っている時に涙を流すというアクシデントに始まり、本命の受験は思うようにパフォーマンスできないまま終わりを迎えた。
受験が終われば次は結果発表を待つのみ。練習として受けた早稲田大学は(当然?)合格していた。親は喜んでいたが、本命の結果が出るまでは安心できない。今もそうなのかわからないが東京大学の合格発表は3/10の正午に行われ、全ての国立大学前期試験の中で最も遅い合格発表であった。やがて時はきた。
不合格だった。自分の受験番号をホームページで確認できなくて何度もリロードしたのを覚えている。
浪人はしたくなかったので、早稲田大学に入学することにした。自分で決断したとはいえ、初めの2年間は精神的に立ち直れていなかった。どんな大学生活を送っていたのかあまり覚えていない。サークルやゼミでの同期や先輩との関わりが深くなってくる大学3年の時期からようやく大学生活を謳歌しはじめた。そんな状況下で就活シーズンが始まった。
正直就活を頑張る意味がわからなかったので、大学3年のうちは1dayインターンという名の説明会にちょこちょこ参加しただけだった。大学4年に上がる直前、とりあえず色々見てみるかぐらいの好奇心で参加した合同説明会で、やっと入りたいと感じるような企業を見つけることができた。その企業に入るべく基礎情報を揃えたり、面接で何を話すか考えたり、最低限の準備をして本選考に参加した。結果内定をもらうことができた。あまり苦労することもなく就活が終わったのでなんだか得をした気分だった。
そして社会人としての生活が始まる。わからないことだらけの上に、コロナ禍によるリモート勤務体制。周囲の先輩にチャットで質問をしながらとにかく目の前の仕事をこなすことに集中していたら社会人の1年目が終わった。そして今に至る。
「この1年間で僕は成長できたんだろうか」
これが正直な感想である。冒頭の話に戻るが、中学受験で合格を勝ち取って以来、僕は人生の中で「努力⇒成功」の感覚を得ることができていない。とはいえ、これを悲観視する必要はないと考えている。たかが20代そこそこで多くの成功体験を積めるほど優秀な人間ではなかったということが実証できたにすぎない。とはいえ、とんでもない無能というわけでもないはずだから、長い視座に立てば今後の振る舞い次第でどうにでもなる(と信じたい)。
人生の目標は「死ぬ時に悔いなく死ねること」だ。何が「悔い」なのか。「あれやっとけばよかった、あれやりたかった」という感覚だと思う。死ぬ瞬間にそう思わないようにしたい。
かなり抽象的かつ壮大な気がするが、「隗より始めよ」ということで、明日から始まる社会人2年目初日、今日残したままのタスクを明日中で消化できたら明日は合格としよう。
そうやって毎日小さな目標を立ててコツコツ実績を積み重ねていくことで、死ぬ瞬間に悔いる可能性を潰していくことにする。プライベートでもやりたいことができたらすぐに手をつける。後回しにしないようにする。
以上、社会人2年目の抱負でした。
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