東京の実家。
「どこ住んでるの?」
「渋谷!」
「え、渋谷っ」
こんな会話、何十回したか分からない。
去年の9月、ロンドンから帰ってきて家がなかったし、一人暮らしするのもお金がかかるから、3度目のシェアハウスに住むことを決めた。たまたま場所が渋谷だったというだけ。
少し振り返ると、約2年間、東京の中野に住んでいて、2つのシェアハウスに住んだ。最初のは、ボーダレスハウスで、初めてのシェアハウス。外国人と日本人が共同で住むことができ、英語の勉強になるし、家賃も安いし住んでみようと思った。運が悪かったのか、ハウス内で意気投合できる人が数人しかいなく、パーティー三昧の人たち(自分と波長が合わなかっただけ!)ばかりだった。結果仲良くなれず、正直家に帰りたくないときもあった。イギリスまでの数カ月間でさえも我慢できず、環境を変えるしかないと思い、シャンディーさんのシェアハウスに引っ越した。日本人、旅繋がりということもあり、結構馴染めて、シェアハウスに住んでることを実感できた。イギリスに1ヶ月行くのに、家賃を払うのはもったいないと思い、家を手放し、そのままロンドンへ。
話を戻すと、9月にイギリス、インドから帰ってきて、渋谷での生活が始まった。ハウス名は「5分家」。渋谷駅から徒歩5分で帰れるからという理由で。(でも実際は、半蔵門線のA0出口から徒歩5分)。GIVE&TAKEというコンセプトと住んでる人の雰囲気が気に入って、ここに住もうと思った。冷蔵庫の前には、GIVEボードというものがあって、誰かがみんなにあげたいものがあったら名前も一緒に書いておく。そしたらその人にみんなが「ありがとう」を言いたくなるし、次は自分もGIVEしようって思える素敵なボード。卵とか牛乳とかはフリーになったら即完売(笑)。この家のもう1つ面白いところは、お米とパスタが食べ放題。ただいまって帰ってきたときに、ホカホカのご飯があったらうれしいよね、という管理人の意向で。究極、0円生活ができてしまう。ご飯が無くなったら、最後の人が炊かないといけないのだが、これが結構論争のもとになる。少し残しでよそる人や、食べ終わったあとに炊くのを忘れる人(←実際にやってしまったことがあって、みんなのディナータイムを遅らせてしまった、、、笑)とか。色々ルールはあるけど、このシェアハウスが一番、拘束力はさほどないが、完全フリーでもないという感じでいい塩梅を保っていた。
2023/9-12
住み始めて1週間もしないうちに、生活には慣れて、このシェアハウス選んで良かった!と思った。新住人や退去メンバーのために、パーティーを毎回開催する。こんなウェルカムなところ初めて過ぎて、贅沢にすら感じてしまった。リビングには多いときで15〜20人くらいいて、住んでる人は、学生から社会人、職業はバラッバラ。だから色んな話で盛り上がれて、面白い。
住み始めて間もない頃に、5分家の周年パーティーが開催された。管理人のつてがすごく、開催場所は虎ノ門ヒルズに高級マンションの結構上の階。窓から東京タワーを独り占めできるくらいに眺めがいい。住民は無料ということで行ってみたが、知り合いは全然居ないし、大人数嫌いなのであまり楽しめなかったが、すごい体験をさせてもらったなと思う。
この家の住人は、夜型人間が多く、入居したての頃は朝6時に起きてる人は1人もいなかった。だから、朝誰もよりも早く起きて、リビングで優雅に勉強するのが結構好きだった。反対に、夜型が多いということは朝まで飲んでる人とかもいて、おはようがおやすみだったりもする。
渋谷に住んでるから、どこへ行くにも近い。代々木公園だって徒歩15分。代官山だって20分くらい。東京が庭になった気分だった。でも1人で歩くのはつまらないので、自転車で色んなところ行きたいなと思って、思い切って自転車を買ってしまった。いい買い物だった。秋冬の風の強くない夕方くらいのサイクリングが気持ちいい。
この時期、色んな人をポートレートで撮っていて、シェアハウスの人にも撮ってほしいと言われ、みんなで代々木公園に行くことに。紅葉がちょうど見頃で、時間帯も素晴らしく、みんなの笑顔を残せてうれしかった〜。
2024/1-3
新年から3日間、タコパをするような人たち。(参加できなかったのが悔しい、、。)この時期は家にいることが多く、やっと5分家の人たちとしっかり話せて、なんでもっと早くにやらなかったんだろうって思ったり。世の大学生は就活をしていて、人生についてめちゃくちゃ悩んだ時期。色んな人に相談して、話をたくさん聞いてもらった。春休みはオーストラリア、モンゴルに行って、広島に行ったり、ただいま〜と帰ってくると「どうだった!」と話しをたくさん聞いてくれて、すごく嬉しかった。今まで旅に行ってもお土産は買わない派だったけど、実家に帰るかのようにお土産を買って行きたくなる家だった。お土産を置いておくと「ありがとう」という言葉が飛び交うのが好きだった。みんなの笑顔を見るのが好きだった。
2024/4-6
新年度ということもあり、メンバーの入れ替えがものすごく、「あ、あの人も」「あ、この人も」出ていっちゃうんだという少しさびしい反面、新しく出会える人もたくさん増えて、自分の視点が1つ増えた感じがした。4年になって授業が減るわけでもなく、バイトもしなきゃだし、勉強もしなきゃいけないから特別なにかをしていたっていうわけじゃないけど、朝のおはようから大学から帰ってきたときのただいま、夜のおしゃべり会、誰かがたまに作ってくれるご飯、それだけで毎日楽しかった。たまに午後が空いた日があったりすると、「近くのカフェ行こうよ〜」と誘ってもらって、少し特別な日になる。そんな日常をカメラに納めるのが日々の楽しみだったりもした。
2024/7-9
7月は引っ越すのを決めたくらいの時期。9月に引っ越すと決めて、卒業までいたい気持ちもあったけど、他の要因で引っ越したが、「1年以上ここにいたら自分が駄目になる」と感じた面もある。どこを切り取っても満足感の得られるシェアハウスだったから。家に帰れば大好きな人たちが毎日いるし、ご飯なんていつでも炊きたてだし。ちょっとご飯行こうってなっても終電なんて気にせずパッと行ける。夜の公園にだって遊びにいける。各分野のエキスパートがいて、聞きたいことは何でもきけて、勉強できる環境だった。ほんとうにありがたかった。でも、これがあと1年続くと、これが普通になってしまいそうで怖かった。楽しいままで終わりにしたかった。これが半分くらいの理由。
「9月に引っ越す」と言うと、みんな悲しそうな顔で「行かないで〜」と言ってくれて、それがなんだか嬉しくて、自分の居場所はここにあったんだなと思えた。形あるものはいつかは亡くなると言うけれど、ここで過ごした日々と記憶と思いは永遠に生き続けるんだなと。
1週間が3日に感じて、1年が数ヶ月に感じる家。素敵な人たちに囲まれた日々でした。色んな人の生き方や価値観だったり、人との繋がりをもっと大切にしていこうと思いました✌️ありがとう。