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⑥どうして歯並び良いのに矯正してるの??

「なんで歯並び良いのに歯列矯正してるのですか?」
大学のサークルの後輩に言われた言葉だった。その時、気付かされた。私の歯並びは世間的な感覚からすれば良い方だったのだ。そうだよね、そんなガタガタの歯並びじゃない。他人から見れば綺麗に並んだ歯並びに、謎に金具のワイアーが付いているように見えたのだろう。
冷静に考えてみれば、出っ歯だと母親以外から言われたことあったかしら??私の記憶が正しければ、一度も無かった。どうしてそこに気付けなかったのだろう。

「親がやれって言ったから。」

歯並びが良いのになぜ矯正しているのかという質問には、そう答えるしかなかった。でも、これらのやりとりは私にある種の成長と気付きを与えてくれたのかも知れない。

母親が寝ても覚めても私の出っ歯を気にして責め続けたけど、他人は誰一人気にしてもいないし、気付いてもいない。家族や自分が気にしている欠点なんて、その程度である場合が良くある。
確かに歯並びは歯そのもの自体大切だ。しかし歯並びが少しくらい悪い人間を自分は軽蔑してきただろうか。全くそんなことはない。見るも無惨にガタガタな歯並びなら気になっただろうけど、少しくらい歯並びの悪い人間なんて沢山いる。そんな人達の歯を気にしたことはない。むしろ口臭とかの方が気になる。

他人は全然気にしていない自分の歯並びを気にしていたのは、世界中で母だけだった。名実ともに親がやれというから親のためにやった歯列矯正だった。私は全てを否定され続けて育ったが故、自分に自信がなくて、自分で決断ができない人間になっていた事に気付かされた。自分の意思で自分の道を選ばなくては、あとでどれ程苦しむことになるのか、あの頃は分かっていなかった。


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