シエラレオネ出張記 4
シエラレオネはどんな国
シエラレオネはどんな国かと聞かれたら、私は「思ったほど治安は悪くなく、素直で人間味のある人が多いが、結構貧しい国」だと答えるかなと思う。しかし、貧しさとは何なのだろうか。
シエラレオネ・フリータウンの私が滞在していたエリアは、頭の上に物を載せた人々が歩いていて、野菜や果物が道端で売られていて、朝から夜もまあまあ遅くまで人や車が行き交っていて、毎日賑やかだった。最初は何を言っているのか不明だったが、毎朝メガホンで音声を流しながらアイスクリームを移動販売している人がホテルの前を通り、夜になると毎晩どこかしらから爆音アフリカンミュージックが流れてきて、早くて22時、遅いと2時くらいまで流れ続けていた。
フリータウンに到着してすぐ驚いたことに、大きな道路はよく舗装されており、道路の表面も大変スムーズだった。しかし、大通りから一本横に入ると突然赤土の未舗装の凸凹の道になり、フリータウンの土地柄斜面が多いこともあり、冗談でなく普通に車に乗っていて車内で頭をぶつけるくらい揺れた。車関連で言うと、くねくねと曲がりくねった道が多く、しかしそこにカーブミラーなどは無いため、通行する車は自分の存在を周囲に示すために常時クラクションを鳴らし続けながら走るため、人間が起きている時間は常にクラクションが聞こえ続けていた。
町中の建物はそれほど高層のものはなく、高くても4〜5階建てくらいの建物で、正直営業しているのかしていないのか不明な店も多かった(笑)。用水路にはペットボトルなどのゴミが溜まっており、側溝をふさぐ板がたまに無いので、夜は特に足元に気をつけて歩く必要があった。
それでも、食べ物自体が存在しないわけではなさそうだし、実際、種類はそれほど豊富ではないものの、いわゆるファストフードのお店から、少し高級なカフェ、大変高級な火鍋や和食などもあった。ある休日にはビーチに行こうとして、道すがらビーサンを購入したり、ビーチで服を現地調達したりもした。ちなみに私が出張したプロジェクトは病院を作るというものだったが、それでも同僚が体調を崩した際にはホテル近くのクリニックに行き、そこでその日すぐに血液検査を受けることもできた。
ものが無いわけではないけれども、お金がなくてそれにアクセスできない、アクセスするために稼ごうにも手段が見当たらない、というのが貧しさなのだろうか。
あとは、仕事がないと言う人も多い。私のような外者から見ると、フリータウンの街中のゴミは道端に捨てられ、ある程度溜まったら燃やすみたいなことをしているようで、ゴミ処理には改善の余地がありそうだし、道も大通りから1本入ると未舗装なところもたくさんあるし、よく停電するからそれも直した方が良さそうだし、いろいろやることはありそうに見え、というかやることが山積しているように見える。にも拘らず、人々が仕事がないと言うのは一体どういうことなのだろうか。
日本の一企業の中でも、仕事を作るのが一番の仕事であるといったように、仕事を仕事として、上の立場の人がその社会で人々に切り出してあげることが追い付いていないから、人々は仕事がない、となってしまうのかなと思ったりした。
日本の街角でNGO団体が広告しているような「今日食べるものもない、栄養失調のかわいそうな人々」や「家族のために片道2時間かけて水を汲みに行くために学校に行けない子ども」のような、そういう光景を目にすることはなかったが、毎日何とかやっていく分のお金しか稼げず未来が描けない、学校に行っても大した働き口がない、という、広告よりはもう少しだけマシだけれども、もしかしたら逆にそこからの脱出の方が難しいという状況に、シエラの人々はいるのかなあと想像したりした。