【新作小説】『月は、ずっと見守っていた』 第2章『不思議な客』
前回のあらすじ
離婚とDVの影響で記憶喪失に陥った七海は、過去を探し続ける日々を送っていた。月夜の下、記憶の断片を求めて歩く彼女が向かうのは、ひとときの安らぎを感じる酒場「kickback」。常連たちとの心温まるやりとりに包まれ、少しずつ心を開く七海。しかし、過去の記憶の壁は依然として高く、彼女はその先に何を見つけるのだろうか。
第2章 「不思議な客」その常連客の中に、一際目を引く男がいた。
トラディショナルなスーツをきこなす男。背が高く、光の加減でヘーゼルにも見える神秘的