市民活動 変化に対応する危機管理
以下に取り上げるこんなニュースがあります。何度見たことだろうとは思いますが、動物保護団体が経営破綻したり、アニマルホルダーと化したりして途方にくれてしまう事態です。個人で活動して多頭飼育崩壊を招く事例も頻繁ではありませんが幾度となく見聞します。
普通の企業や活動団体であれば新聞報道沙汰が発生した場合、他山の石とせず同様の事例がないか点検するものです。結果に応じて必要とする対策を講じます。いわゆる危機管理(リスクマネジメント)です。
自分の職場においてはもちろんのこと、様々な市民活動を行っていたときも同類業の様々な不祥事案においては確認し、身の回りで発生しないよう注意喚起を行ってきました。学童保育では指導員が起こす事件や行事中の事故、会計業務においては着服などの事案、青年会議所であれば会員の起こす不始末など他団体で様々な不祥事例を見聞きしました。
幸いこれらの事案が他所で発生すると点検や注意喚起が行われてきたため、このような不祥事案に当事者として巻き込まれることはありませんでした。また団体内で役職に就いた時は個人の資質や犠牲によりかかることのないような体制づくりも行ってきました。
とかく市民活動では事例があるたびに体制についての点検なしに「行政ノ支援ガ」と一足飛びで行政の責任を追及する方向に意見が流れがちです。行政に責任転嫁をするのは精神的に楽です。しかし、行政は一つの問題にかかりっきりになっているわけではありません。様々な課題が持ち込まれ優先順位がつけられることになります。自分の活動が最優先というワンイシューで済む市民活動とは大きく異なります。中には声高に他者を糾弾し所属団体の主張を押し通す事例もありますが、その様は個人的には辟易としてしまいます。
課題の解決に当たっては基本的に自助努力であり、時代情勢など外部要因が変化した場合は従来の体制を崩すことも必要となります。自身の体験として学童保育で活動していた時にはコロナ禍でバザー収入が途絶えました。その時には発想の転換で民間企業の助成金に総浚い当たって子どもたちのための事業資金を調達しまくったことがありました。変化に迫られたときに団体の体質変化を起こし、生き残りをかけて方針転換するのはよくある話です。
冒頭の保護猫関係に話を戻しますが、団体にしても個人活動にしても個人の犠牲の上に成り立つのではなく、広く慈育を求めることも一つの手法であったと考えます。「ねこホーダイ」は物議をかもしましたが、課題の解決を図る手法を提示した役割を果たしたとみています。騒動の結果として界隈では目障りなものを叩き潰しただけに終わってしまいました。その後に出てきたのが冒頭のニュースです。
クラウドファンディングに頼る手法もあります。ただ、動物保護系のクラウドファンディングは山ほどあるし、そもそもクラウドファンディングは動物系だけではありません。子どもの居場所関係、介助を必要とする方の組織など競争相手は事欠きません。たくさんある団体の中から支援を手繰り寄せるのは至難の業です。これは資金調達やクラファンのことに取り組み、黄色いレシートで店頭活動をしていた時に嫌というほど体感しました。
個人的に寄付や資金提供はよく行います。しかしそれは自分が解決したい課題と認識し力を貸したいと思うことがあるわけで、それは動物系とは限りません。従って基本的には組織で自助力を生かせる体質に改善していく必要があります。
保護猫界隈では「当たり前だと思っていた価値観は、思ったよりも共感を得られないものかもしれない」と気づく方もいるようです。この事例に限らず自分の行う活動に対し、意識の醸成を図るために世間の視点を常に考慮していました。世論の集約は世間が思う価値観に左右されます。
総括になりますが、ピンチはチャンスといいます。様々な危機を迎えたときに団体の意識や体質を変えることができるかどうかで変化に生き残っていけるか否か問われることになると考えます。今回冒頭の件が危機的状況を迎える中でどう体質改善していけるかをまずは注意深く見守りたいと思います。
日向ぼっこで気持ちよさそうにしているミケです。今日は寒波対策がしっかりされた詰所で丸くなっています。
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