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大人の社会化見学:中銀カプセルビル

1972年建設、建築家 黒川紀章の代表作ひとつです。取り壊しが決定されており、どうしても1回行きたいとダメもとで申し込んだ見学に無事とおり、中を見せていただく機会をいただきました。

この建築のコンセプトは「メタボリズム」、「新陳代謝」の意味に基づいて建設されています。黒川氏の考えではメタボリズムの思想通り、このカプセルを25年ごとに取り換えることを提唱していたのですが、交換することなくいまに至ってしまいました。理由は人的問題と構造上の問題というところのようです。分譲ですのでどうしても管理組合の意向、25年毎に交換できていればなんとかなったものの今になっては、、ということも含めての構造問題。

人が住むということにはどうしても、理念への理解だけでは追い付かないところがあるということなのかもしれません。でもそれは誰も悪くありません。人の判断もまたすべての道理です。

カプセル状の部屋は140戸あります。ひとつのAビルに見えますが、A棟B棟とツインタワーなのです。カプセルはひとつひとつシャフトにある出っ張りにカプセルの下部を引っ掛け、上部をボルトで固定しているそうです。建設時は滋賀県の工場でカプセルを作って、トラックで運び、クレーンを使ってシャフトに取り付けたしうです。カプセルの大きさもトラックで運べる日本の道路法に則ったサイズと計算されています。独立したカプセルは分譲され、それぞれに所有者がいらっしゃいます。取り壊しに向けてどんどん退去されているそうで、、定期的にお別れ会されているとか(切ないです)。

中からみるとほんとにカプセルの組み合わせなんだなということがわかります。うわあさびてる、、、交換できてたら違うんでしょうね

いざ当時のお部屋を再現している場所へ

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オーディオがたまらない!電話は契約すればお話できるそうです。この昭和の最先端に鼻血ものです

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扇形のブラインド 

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水回りセット。

各カプセルは、洗濯機とキッチンはありません。これはビジネスカプセルという当初のコンセプトですと、コンシェルジュもしっかりいてハウスキーピングしかり出前の手配もしてくれる等、ビジネスセカンドハウスとしての立ち位置だったようです。

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こちらロゴの模型だそうです。これはほしい

不思議と落ち着くこのカプセル

黒川氏は茶室を意識されたそうですが、よくわかります。不思議と狭く感じない空間は和の意識からでしょうか。

昭和の自由な発想と実行の証明

解体後の何かしらの形で残っていてもらいたい



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