“伝わる言葉”で伝えよう
日本でSAKEの味わいを説明するとき、ワインのソムリエのような比喩を使うことに違和感を覚え、そういった表現をするのはなるべく避けていました。
単純に、自分がそれらの説明を聞いてパッとSAKEの味をイメージすることができなかったからなんですけど。
そのため、True Sakeの仲間が「シトラスのような香り」「シルクのようになめらか」「ハチミツやカカオを思わせる味わい」といった”単語並べ立て表現”をするのを聞いたとき、はじめはちょっとヒいてしまったのが正直なところ。
「単語を並べ立てるなんてSAKEらしくない」「わたしはわたしらしい表現をしよう(?)」と頑固な気持ちになってしまいました。
しかし。
LAにいたときにお話させていただいたブランドマーケターの女性のお話を思い出したり
(確かにTrue Sakeの店頭でも、都道府県を説明しようとすると「そんなのはいいから味を教えてちょうだい」と急かされることが。アメリカの人は日本の歴史や地理なんてちんぷんかんぷんでしょうし、よほど興味のある人以外は説明されても困ってしまうのかも)
いま居候をさせていただいているサンフランシスコのローカル酒造・Sequoia Sake CompanyのJakeから3コマ目のようなアドバイスを受けたりしたことで、
「相手に”伝わる言葉”で説明してあげないと、どれだけSAKEの魅力を知っていても、それを伝えることはできないんだ」という事実に気づくことができたのです。
そこからは妙なプライドのようなものはなくなり、凝り固まっていた考え方もゆるゆるとやわらかくなり、むしろ多種多様な味わいを持つSAKEの中からほかの食べ物に喩えられる要素を見つけるのが楽しくなってきました。
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この漫画が完成したころに、ちょうど一年ほど前に書いた記事「アメリカで 日本酒ぜんぜん 流行ってない」がふとしたきっかけからたくさんの方に読まれ、現時点で約1万8000viewを記録することになりました。
まさに2コマ目の女性から聞いたお話をもとに書いたものです。
はじめは、「なぜ、一年前に書いた記事が今になって?」とうろたえてしまったのですが、現在はこの記事が”いま”になって話題になるということに、希望やおもしろさのようなものを感じています。
noteはコミックエッセイだけ書こうかなぁ、と考えていましたが、「ぜんぜん流行ってない」記事の情報をアップデートしていくためにも、ちょこちょこ文章も書いていこうかな、と思います。