日本酒学レポ④理系知識詰め込み月間【7月の授業あれこれⅠI】
7月に集中しておこなわれる新潟大学 博士前期課程 日本酒学コースの講義。
前回の記事では、ラボの中で日本酒造りをする「基礎日本酒学実習」についてレポートしました。
今回は、「日本酒学概論I」と「日本酒学概論II」という、理系分野の講義についてまとめます。
※関係者の方で修正の必要などを見つけた場合はメッセージいただければ幸いです。
前提:「概論」はぜんぶで5つある
日本酒学概論。漢字ばかりで近寄りがたい響きがありますね。
「概論」と名の付くように、さまざまな学問と日本酒のかかわりをざっくり学べる授業シリーズです。
この日本酒学概論、ぜんぶで5つあり、うち4つは必修(わたしは5つぜんぶ取るつもりですが)。IとIIが理系、IIIとIVが文系、Vが医学系です。つまり、文系(理系)の学生も理系(文系)の講義は何かしら取らないといけないということです。そこが日本酒学の良さであり、おもしろさでもありますが、苦手意識のある人もいるかもしれません。
なお、文系のIIIは、6月から毎週水曜日におこなわれています。詳しくはこちらの記事をご覧ください↓
ちなみに文系のIVはなぜか9月の頭に4日間にわたっておこなわれます(一応、夏休み……)。VはM2にならないと受講できないそうで、来年です。
今回お話するのは、そのうち理系の講義であるIとII。両方とも、7月におこなわれました。
原料から食品科学まで、広く学べる「I」
IIは2日間にわたって、4コマずつおこなわれました。
ほとんどが新潟大学の先生で、あえてそこまでディープな話題には切り込まず、専門外の学生にもわかりやすいようにお話をしてくれる印象でした。日本酒に興味があればいずれも楽しく聞けます。
「日本酒と植物」の三ツ井敏明先生による、温暖化の環境下でも育てられる高温耐性の酒米の開発に関するお話がとても興味深かったです。
酒類総研の第一人者から最先端の話を聞く「II」
IIは3日間にわたって開催。一日ワンテーマで、広島県の酒類総合研究所でその分野の研究にあたる第一人者がいらっしゃり、3時間にわたってガッツリお話をしてくれます。
こちらの講義はめちゃくちゃディープです。DNA解析の話題も多く、いろんなアルファベットや数値、専門用語、どこに着目したらいいかわからない図表などがガンガン出てきます。
でも正直、これまでの授業でいちばん好きだと言えるかもしれません。この授業を受けていなかったら、遺伝子操作の方法なんて知ろうともしなかったはず。
日本酒のことをもっと知りたくて、たくさんの方にインタビューしたり、本や雑誌、WEBメディアの制作に関わったり、資格試験の勉強をしたり……といろいろやってきましたが、まだまだ知らないことがたくさんある、それをどんどん知っていけるのは幸福なことだなと思います。
レポート、効率的。質疑応答、最高。
それぞれの講義では、レポートが課されます。いいやり方だなぁと感心してしまったのですが、授業時間の最後の15分ほどがレポートの時間に充てられており、短時間で集中して書き、授業終わりまでにサッと提出するというシステムです。
しかし、どのレポートでも書かなければならないのが「自身の研究に今回の講義をどのように活かせると考えますか?」というもの。わたしの研究テーマに理系分野はほとんど関係ないので、毎回考えるのに苦戦しましたが、「何を書こうかなぁ」と考えながら講義を受けるのがオススメです。
そしてよかったのが、いずれの講義でもしっかり質疑応答があったこと。授業時間内に聞けなかったことについては、レポートの自由記入の欄に書いておいたら、後日お返事をいただけました。IIに至っては一人の先生に2回ずつ質問してしまった。本当にありがとうございました。
結構突っ込んだ質問をしてしまったのですが、おそらく「学生だから/学内の範囲で」という理由で回答してくださった部分もあると思うので、ここでは書かずに留めておきます。直接的ではないにしても、いずれ仕事で活かせたらいいなぁ。
わたしの場合、研究テーマは限定的ですが、仕事も日本酒に関係しているので、今回受けた授業はいずれもこれからのメディア活動に役立てることができるだろうと感じています。いやー、大学行ってよかった!
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というわけで、今回は「日本酒学概論」IとIIについて解説しました。次回、「発展日本酒学実習」について書いて、7月シリーズは終わりとしたいと思います。
※日本酒学レポをまとめるマガジンを作りました!