【マリアージュの裏話】フグと合わせたキレのいい日本酒とは@賛否両論 名古屋
マリアージュについて
前回は、お料理と日本酒の素敵な組み合わせを意味する「マリアージュ」の基本的な考え方についてお伝えしました。
普段、私が皆様のご質問にお答えする形のオープンチャット「教えて!日本酒王子」にも、お料理との組み合わせのご質問をたくさんいただいています。
そこで、大人気の日本料理店「賛否両論」さんで開催したマリアージュの会で、ご好評だった組み合わせのなかから、特にフグに日本酒を合わせたときの組み合わせを、今回から3話続けてご紹介します。どのようなところを考えて組み合わせをしたのか、その味わいの表現の仕方など、ご参考にしてみてくださいね。
マリアージュの基本のどれにあたるか
まず1つ目にご紹介する組み合わせは、前回お伝えした4つの「マリアージュの考え方の基本」の中では次に当たります。
2. 同じような味わいを持つものを合わせるときと、それぞれが持っていない味わいの要素を合わせるときとでは難易度と満足度が変わる。
その中でも「同じような味わいを持つものを合わせる」という似た者同士の組み合わせなので、比較的簡単に、美味しい組み合わせが作れます。
白身魚と合わせるときの考え方
白身魚のお刺身に合わせる日本酒、というのは基本的にはすっきりとした淡麗なものが多いです。というのも、タイやヒラメ、などといった白身魚自体が味わいが軽いので、日本酒の旨味が強かったり香りが強いと白身魚の持っている淡泊な味わいを覆いつくしてしまって、上手に合わせることができないから。
フグもそうですね。ただ、ポン酢というかんきつ系の香りと酸味が加わっているので、そこだけは注意が必要です。
フグと合わせたキレのいい日本酒の正体
ふぐ、と言っても、てっさ(刺身)ではありません。「からすみ」と白菜、みかんの果肉、昆布を合わせたサラダ仕立てのお料理に合わせました。
味つけはすっきりとしたポン酢。
お料理がとても爽やかで、かんきつ系の香りがありながら、「からすみ」の凝縮した旨味と塩味が感じられるので、日本酒もすっきりと爽やかな、それでいてみずみずしい香りと口当たりのあるドライなタイプを選びました。
マリアージュのポイント
すーっとキレる酒の潔さと魚の透明感のある組み合わせになりました。
すっきりとしたキレのある日本酒をよりシャープに感じさせたかったので、ふち(口の当たる部分)がとても薄い「うすはり大吟醸グラス」を使用しました。
昆布の旨味とからすみの塩味、ポン酢とオレンジの酸味のすべてを絡ませて一つの味わいを生み出す、マリアージュの指揮者のような存在でしたね。
ただ笑みがこぼれるような至福の瞬間をお客様には味わっていただきました。
フグはフグでも
今回は、かんきつ系の香りや酸味、昆布の旨味などが合わさった「ふぐのサラダ仕立て」に、すっきり系の日本酒を合わせました。フグと合わせる日本酒の第二弾は、マリアージュの基本の中でも、「それぞれが持っていない味わいの要素を合わせる」お話になります。フグはフグでも、あんなものと和えて創作されたお料理とのマリアージュのお話、ぜひご期待くださいね。