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日本酒とチョコレートの甘~い関係

はじめに

もうすぐバレンタインデーですね。贈る側も贈られる側もワクワクする日。最近はご自身へのご褒美としてチョコレートを購入される方も増えていて、デパートでのフェアには多くの方がお越しになっていますね。甘党、辛党、という言葉があるように、お酒がお好きな方は甘いものはあまり好きじゃない、といわれたのは過去の話。今では甘いものを食べながらお酒を飲む、という方も増えています。そこで今回は、バレンタインデーも近いことですし、日本酒とチョコレートの組み合わせ、というお話をします。日本酒好きの方はもちろん、チョコレート好きの方にぜひ読んでいただきたい、甘いお話となっています。日本酒を片手に、もう片手にチョコレートを持ちながら読んでもらえたら嬉しいです。

チョコレートと日本酒の相性を考えるときのカカオについて

ところで皆さんはチョコレートを買うときに何を基準に選んでいますか?見た目の美しさ?有名なショコラティエが作っているかどうか?添加物が入っていないかどうか?甘みが強いのかビターなものなのか?それともゴディバ一択!のようなブランドで選ぶ?
みなさんがそれぞれに理由があって選んでいると思います。今日はそのなかでも、甘みが強いのかビターなものなのか?というような味わいの部分に焦点を当てて、日本酒との相性を詳しく見ていこうと思います。

まず、チョコレートはカカオを使ってつくられているというのは多くの方がご存じだと思いますが、そのカカオにも品種があるのはご存知でしょうか?代表的な品種は、クリオロ種、フォラステロ種、トリニタリオ種の3種類。栽培が難しく、ほとんど生産されていないクリオロ種(ナッツのような風味)はおいておいて、フォラステロ種とトリニタリオ種について特長をお伝えします。フォラステロ種は世界のカカオ生産量の80~90%を占めていて渋みと苦みが強く、チョコレートのベースとしてよく使われる品種。一方のトリニタリオ種はファラステロ種と比べるとあっさりとしていて、透明感のある味わいとフルーティーな酸味が特長的です。

カカオ100%などのビター系には濃厚な甘みのある貴醸酒

フォラステロ種をふんだんに使った「カカオ100%」というようなチョコレートはものすごく濃厚で甘みも少なく、口の中でゆっくりと溶かすことで、オレンジとかトロピカルフルーツを思わせる香りがじっくりと広がってきます。こういうタイプには、やはり濃厚で旨味の強い甘口の日本酒を合わせたいもの。辛口の日本酒を合わせると、ただアルコール感や鋭さが目立ってしまい、日本酒の甘みが全く感じられなくなります。一方で貴醸酒(お酒で造ったお酒)のように、テクスチャーにとろみがあって分厚い甘みを持った日本酒を組み合わせることで、カカオの強い味わいを受け止めてくれつつ、日本酒自体の甘みも折り重なることで長い余韻を作り出すことができます。

ミルクや生クリーム入りチョコには辛口タイプ

日本酒はお米とお水から造られた醸造酒であるため、アルコール飲料全体の中で見ると「甘口」のお酒になります。では、日本酒のラベルによく書いてある「辛口」って何なの?という疑問を持たれる方も多いと思いますが、詳しくは別の機会で書くとして、今回は日本酒の中でも割と甘みを感じづらくドライに感じるタイプを「辛口」と呼ぶことにします。この辛口タイプの日本酒は、甘みや旨味のあるものと合わせると、その食材の持っている味わいを対比によって感じやすくしてくれます。今回のチョコレートとの組み合わせを考えた場合は、ミルクや生クリームが入っているようなカカオの配合の少ないチョコレートと合わせてもらえると、お互いを引き立たせ合って楽しむことができます。

香りと味わいの両面で古酒(熟成酒)を選ぶ

また、熟成が進んでカラメル香が強く出て、甘みが強い古酒タイプもチョコレート全般と相性が良いと言えます。ウィスキーとチョコレート、というようなイメージで香りの相性を楽しめます。ウィスキーと日本酒の違いといえば、ウィスキーには旨味成分(甘味成分)がないのと圧倒的なアルコール度数の高さ。その鋭さでチョコレートの甘みを引き立てて、アルコールで引き締める役割を果たしています。日本酒の場合はアルコール度数はウィスキーの約3分の1程度なのと、醸造酒であるために旨味(甘み)がしっかりと感じられるため、香りの相性を楽しみつつ、味わいの相性も考えたペアリングをしたいものです。

フルーツのような酸味を感じるチョコレートには

トリニタリオ種は、さっぱりとした細い味わいとフルーツのような酸味を感じさせるカカオ種なので、純米吟醸や純米大吟醸のような華やかなフルーツの香りのする日本酒で、特に酸味の少ない柔らかな味わいのものを合わせるといいイメージです。醸造アルコールが添加されている本醸造酒や吟醸酒(大吟醸酒)はキレのいいアルコール感があるので、後味をすっきりと切れ上がらせたい場合はオススメしますし、逆にまったりとした余韻を楽しみたい場合には醸造アルコールの含まれていない純米酒を合わせるといいでしょう。

最後に

小さいころにお父さんがもらって来たチョコレートの中にウィスキーが入っていて、びっくりした、というご経験をお持ちの方もいらっしゃるのでは?最近では、中に日本酒が入ったボンボンショコラも登場しています。お互いを引き立たせ合うということを考えると、日本酒ボンボンのほうが向いているのかもしれませんね。いずれにしても、チョコレートと日本酒という意外な組み合わせを楽しみながら、人と人とのご縁を結んでもらえたら。そんなことを考えて今日も日本酒をお伝えします。

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