精米歩合が低いほど美味い酒になるの嘘
東北地方の蔵元が、精米歩合1%の清酒を発売したり精米歩合1%未満の酒が登場したりしています。精米歩合1%のお酒の価格は、なんと10万円!
話は変わりますが、最高の米を選び、最高の精米技術および精米歩合を選び、最高の発酵技術を駆使し、最高の上槽工程を経て最高の貯蔵保管を経て出品されて酒の品質の優劣を競う「全国新酒鑑評会」があります。
下の表は主催の酒類総合研究所がまとめた「平成28酒造年度 全国新酒鑑評会出品酒の分析について」という報告文書に掲載されている国税局別精米歩合別の出品点数の表です。出品される酒の90%以上は、精米歩合35~40%なのです。最高のお酒を製造するときに精米歩合35%未満まで削ることは稀なのです。
酒蔵の製造担当者目線で書くと、「精米歩合35%未満になると、味は薄っぺらになるし、米は割れやすくなって米の吸水率の調整が上手くできないし、米粒が小さすぎて良い麹ができなくて、結果、良い酒を造るのは難しいなぁ。米が割れないなら、麹米は40%、掛け米は35%がベストかなぁ」って感じの杜氏さんが多いと思います。
精米歩合1%のお酒が高いのは、酒の品質価値ではなくて原料米費用と精米費用(光熱費)にお金を払っているようなものです。それでも、精米歩合1%という肩書に魅力を感じるなら良いですけど…
私は買いません。
余談ですが、清酒のラベルに表示してある精米歩合は見掛けの精米歩合といって、本当の精米歩合(同じ粒数当たりの重量%:真精米歩合と呼びます)とは異なります。表示の精米歩合が1%でも真精米歩合は20%かもしれませんし、現行の法律ではアリなのです。
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