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第116回 賃金男女比100対75から100対83へ(スウェーデン)


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昨年12月5日、北欧と日本の女性労働に関する国際会議があった。ハイライトは、世界で最も男女格差の小さな国アイスランドのヨハネソン大統領のスピーチ。熱血フェミニストを妻に持つ、バツイチ男性だ。

「1944年の学校では、男の子なら『あなたが大統領だったら何をするか』、女の子なら『大統領の妻だったら何をするか』と質問されました。それから30年後の1975年10月某日、アイスランドの女たちは職場でも家でも働くことを一切やめる“女のゼネスト”を行ないました。女性がいかに社会に貢献しているかを男性たちにわからせるのが目的でした。このストの5年後に初の女性大統領が誕生しました」

次に、こうも述べた。

「僕自身、5回も育休を取ったんです。女性がチャンスを奪われるということは、人口の半分が苦しむのですから、社会全体が経済的に苦しむといえます。『育児休暇制度』や『男女同一価値労働同一賃金のための法律』は、今のアイスランドではかなり進みました。しかし、セクハラもDVもまだありますから、完璧ではありません。私たちは性差別のない社会へと、意識して、立ち向かっています」

今日のポスターは、アイスランドも加わる北欧5カ国の中で兄貴分にあたるスウェーデンの男女平等オンブズマンが2000年に作った。「男女同一価値労働同一賃金」を訴え、「女性より25%多く稼いでいるのは、どのジェンダーですか?」とある。

スウェーデンは、2008年に差別禁止法ができて、それまでの男女平等オンブズマンが差別禁止オンブズマンに変わった。性、人種、出身、宗教、障害、性的指向、年齢など多岐にわたる分野の人々の差別を禁じた。雇用ばかりでなく、社会現象の全てが対象だ。そのかいあって、男女賃金は100対83まで改善することができた。でも、アイスランドはさらにその上を行って100対89だという。大統領の意気軒昂さ、なるほどと思った。

さて、わが日本。冒頭の国際会議のパネリストの一人だった私は、OECD「世界ワースト2位」日本の男女賃金格差が縮まらないのは、女性差別のほかに非正規差別があるからだと訴えた。非正規労働者は2000万人以上で、雇用女性の54%だ。賃金は男性正職員を100とすると、女性正職員が70、女性非正規はなんと42なのだ。

私は、怒りを込めて発言した。終わってからフィンランド大使とイギリス大使館員が、「感動した」と言ってくれた。

 (三井マリ子/「i女のしんぶん」2023年3月10日号)

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