22歳大学生4000本のお酒を造る。超若手の活躍から感じる伝統産業の未来。
今日のテーマ【超若手の活躍から感じる伝統産業の未来。】
ある時、富山への出張の取材依頼を頂いたきました。
22歳東京中央大学に在学中の学生が
4000本ものお酒をわずか酒造業経験2年目で設計から醸造し、
世の中にリリースする人がいるんだ!
だから取材をしてほしい! と。
非常に面白そうな話だ!二つ返事で行くことを決め、
富山で3日間にわたる取材の旅に出かけてきました。
取材をして感じたことは
これからの日本人としての在り方、生き方まで考えるきっかけにまで
私個人的には感じましたので
今日はその感じたことや主人公についての
レポートをお届けしたいと思います。
今日の記事をご覧いただきますと、
海外志向のある方にはこれからの働き方、生き方のなんらかのヒントになると思いますし、純粋に
こんな面白い人がいるんや!と思っていただけるかと思いますので
参考になれば嬉しいです。
とりわけ、
日本の昔ながらの伝統産業に携わる方には
ぜひ、参考になればと思い筆を取ります。
また、今回紹介する主人公、宇野旭さんのスケールの大きいチャレンジもぜひ、知っていただく機会にしたいと考えご紹介致します。
クライアント様からの要望により宇野さんのチャレンジを
ドキュメンタリー調動画で仕上げておりますので
ぜひそちらもご覧くださいませ。
問題提起:伝統産業は衰退の一途であるが可能性がある。
まず大前提としてお伝えしなければいけないことは我が国の伝統産業である清酒製造業の需要は昭和48年をピークに落ち込み続け
衰退の一途を辿っている、ということです。
参考までに国税庁の清酒製造数量の推移とデータ、出典元のPDFを示しておきます。
これだけ見ると気分的にも全然明るい兆しを感じないが、
ただ、私が思うにこれらは避けられなかった変化であると感じています。
戦後、日本はさまざまな伝統産業が外国産のモノにとってかわり虐げられ、
清酒メーカーは戦意を削がれる風潮が長らく続いてきておりました。
しかし、周りの環境のせいばかりでなく業界全体の傾向として
変化を嫌うという伝統産業の特異体質か、
生産量低下=市場縮小にならざるを得なくしたというのを
業界が望むべくして起こったことと感じております。
ただ、その一方で変化をしてきたメーカーがあるのも間違いありません。
世界を代表する酒造メーカーとも言える山口の獺祭の旭酒造さまをはじめ
岐阜の蓬莱醸造元、渡辺酒造店さまなど
著しく成長したメーカーももちろんありますし、
ここまで極端に成長した酒蔵でなくても
わたしが身近にみてきた酒蔵でも従業員5人
前期売上費150%の酒蔵があるというのも目の当たりにしてきましたので
決して伝統産業、日本酒造りそのものは
国内においても決して衰退するしかない産業というわけではなく、
寧ろ光さえ感じるような部分があります。
今回の主人公、宇野旭さんの紹介
さて、今回の記事ではそういった背景も交えつつ、
今回紹介する主人公、
22歳の大学生”宇野旭”さんを紹介しようと思います。
宇野さんは熊本県出身で
実家は菊陽町にある酒屋、
たわらや酒店さんという酒屋さんの息子さんでもあります。
現在中央大学の法学部であった宇野さんは
フランス留学で国際的な法律を学んでいたことがありました。
その時に大学で学んだものの一つとして
ワイン法というものを学んだことがあったそうです。
ワイン法とはフランスで1930年にできた、
フランスの重要な産業であるワインの品質水準を保ったり、
葡萄農家の品質と生活まで保護できるよう
ワインの生産から、醸造、販売に至るまでという
一連のプロセスにおいて基準を造ったものがワイン法なるもののようです。
宇野さんはフランス留学中にこれを学び、
こういった法律があるからこそ、
ワインは世界のアルコール産業となり得たのだという
感覚を覚えたそうです。
次の項目からその核心についてお話しします。
世界最高級のアルコール、ワインから学ぶ日本酒発展のヒント
さて、前の見出しの部分では
宇野さんがワイン法を学んだということでお話をしましたが、
ワイン法がなぜ発展のヒントになるかということをお伝えします。
日本酒造組合中央会のリリースした情報を抜粋してお届けしますが
日本酒の国内の生産量そのものは減っている一方で
海外への輸出は日本史上で額、数量ともに
最大の局面を迎えているのです。
その数字としては
とのことで、
とにかく輸出額が今すごいことになっている、
ということが見て取れます。
ちなみに数量のTOP3は
アメリカ、中国、韓国
金額トップ3は
中国、アメリカ、香港となっています。
ちなみにですが、
フランスのワインの年間の総輸出金額を一例としてお伝えすると
172億ユーロ!!
日本円に換算すると約2兆6000億!!
とのことで 日本酒の輸出金額474億円 と比べると
途方もない数字となっています。
フランスのワイナリー数は25000に対し、
日本の酒蔵数は1400程度。
まあ、もう意味がわからんくらいすごい数字なんですが
ここでひとつ考えたいのは
なぜワインはそこまでの産業となり得たのかというところです。
これは歴史上ずっと昔からワインに関する審査会や格付けなどを行い
熟成酒にも価値づけをおこなってきたことで
世界最高級のアルコールブランドとなったというのが
シンプルな理由であります。
ここでです!
今回のキーワードとなるワイン法が登場してきます。
ここまでワイン業界が発展してきたのは
フランスワインの生産から格付け、販売までに至る
プロセスを含めたワイン法があったのは大きいのではないか、
というのは考えられる一面があります。
ワイン法について気になる方は
読みやすそうな本があったのでチェックしてみてください。
日本でのアルコール産業の近年の発展を人気蔵元より聞いた
日本酒には格付け制度などはありません。
海外にならってGIなど地理的表示制度などを取り始めています。
たしか、2013年にはじめて山梨がGI 山梨で取得したはずです。
生産や醸造方法なども特に決まりはありません。
米、水、麹をつかうなど、
ルールだけ一応ある感じで
メディアとしてGI認定の式に参加したことがありますが
現状どのように有効活用できているのか酒屋さんでさえも知りません。
輸出といえば九州を代表する、とある酒蔵代表が
最近の輸出の売上事情に関してこのようなことを言っていました。
その蔵元は一年の多くを海外で営業活動を行い、
海外輸出にずっと力を入れてきた蔵元でした。
その蔵元代表がこんな話をしていたんです…
と、満面の笑みで語っておられました笑
その単位は数億円の規模なんて
目ん玉が飛び出る勢いでした(汗
しかしながら、
そういうのはやはり準備をやってきたからこそ!
このような結果を出すのは
一朝一夕にしてできることではありませんが
とにかく海外に力をいれている蔵元はウハウハです笑
宇野さんが造った4000本のお酒はどんなお酒なのか?販売店情報含む。
で、話を戻して一旦戻しますが
宇野さんの将来の夢は、このワイン法をフランスで学び、
それを日本にフィードバックさせて
日本酒業界の発展に貢献したいという願いがあるようです。
その第一歩として取り組み始めたのが酒造りです。
宇野さんが酒造りを修行し、お酒をリリースすることができたのは
富山県にある萬寿泉醸造元の桝田酒造店さまよりです。
富山を代表する清酒蔵であり、日本全国で流通している蔵元です。
これから若干マニアックな内容になるかもしれませんが
できる限りわかりやすく日本酒のことを伝えたいと思ってますので
最後までお付き合いしていただけましたら嬉しいです。
宇野さんが今回作ったお酒は2種類で、合わせて4000本です。
これらのお酒を仕込みました。
このお酒について項目にわけて解説します。
なお、4000本一気に販売されたわけではなく、
これから夏酒やひやおろしなど、季節ごとの商品として徐々にリリースされていき総量が4000本になる、ということです。
1.お酒のスペック
どちらのお酒も純米大吟醸クラスで
日本酒のなかでも
最も時間がかかるこだわりの造り方でつくってあります。
二つとも酵母が生きている生酒で
フレッシュ、フルーティーなお酒に仕上がってました。
UNO ²のお酒ですがこちらは一段仕込みということをかいてありますが、
通常日本酒は三段仕込みという製造方法でつくられるのに対して
最初にしっかりとお酒を溶かし込むイメージで
甘味と酸味がしっかりした印象のお酒に仕上がってました。
2.気になるお値段
萬寿泉さんのブランドは
現在業界を悩ます、原材料、資材の高沸における
日本酒値上げ問題において、すでに対処済みの値段になるんでしょうか、
適正価格とは思いますが、数字だけ見ると少し高めだと思います。
しかし、やはり、日本酒の醸造過程で手作りにこだわり、
丁寧にお酒をつくってこられた能登杜氏四天王のひとり、
三盃幸一さまという、
酒造りのレジェンドがおられた銘醸蔵ということもあり、
ブランド的にも確立された部分があるという前提で
お値段を伝えたいんですが、
というお値段設定になっています。
わたしもテイスティングをしましたが、
非常に品が良いエレガントな印象を持ちながら
宇野さんならではの若々しさを感じるお酒でした。
3.こだわりポイント
お酒の発酵そのものを行えるのは酵母です。
日本全国の酒蔵から選抜された優秀な発酵酵母というのがあり、
そのうち日本で最も使われている酵母のひとつが
9号系酵母といわれ、
その9号酵母は熊本の香露(現:熊本県酒造研究所)という酒蔵から分離された物です。
その中でも協会が培養している物を9号酵母、
熊本県酒造研究所が培養している物を熊本酵母で呼びます。
なので、9号を使わずに熊本酵母をつかったというのは
熊本イズムを発揮させたお酒であるという証明でもあります。
熊本酵母は発酵の管理もさせやすく、
フルーティーにも辛口なタイプにも仕上げやすく万能かつ、
優良な清酒づくりには欠かせない酒造りに向く酵母と言われています。
4.販売店
販売店ですが、まだまだリリースしたばかりでこれから販売店が増えてくる可能性がありますが、現在の時点では
【つとめて・UNO2販売店】
・銘酒の裕多加(北海道)
・泉屋酒店(福島)
・いまでや(千葉&東京)
・君嶋屋(東京&神奈川)
・望月酒店(神奈川)
・たけくま酒店(神奈川)
・酒商 田尻本店(富山)
・リカーポケット みずはた(富山)
・タキモト名酒館(京都)
・有限会社田村本店(福岡)
・生パスタとワインの店 PROSPERO(福岡)
・山田酒店(佐賀)
・たわらや酒店(熊本)
などが販売先になるようですので気になった方はぜひ購入してみてください。
今回の記事の結論とまとめ
けっこうなボリュームの記事になりましたが、
今回の記事をまとめてお伝えし 締めくくりたいとおもいます。
今回の記事では
1:初めに伝統産業日本酒の現状と、
2:海外輸出の現状と必要性をお伝えし、
3:そしてこれからの伝統産業のあり方を感じさせる人との出会い、
フランスに留学経験のある宇野旭さん22歳が
フランスで学んだワイン法をいつかフランスで学びたいという夢があり、
4:その一歩として富山県の萬寿泉醸造元で
なんと驚きの4000本のお酒を仕込みましたので
その詳細もお伝えしておきます、ということでお伝え致しました。
何か、新しい発見や気づきになれば、
筆者としてはとても嬉しい限りだなあとおもいます。
日本酒はなくしてはいけない、国を象徴する國酒です。
これからの國酒のあり方は
日本で作っているアイデンティティは大切にしつつも
バリバリ輸出に力を入れるべきであると思います。
あるいは日本のマーケットは年々衰退しているので海外で酒を
作れるんであれば海外に移住して行うのは敵も少ないわけですし、
最初の販路開拓がハードル高いですが一度クリアしてしまえば
そちらの方がイージーな選択のような気がします。
すでに外国語を喋れて営業能力のあるという時代のニーズにあった人材の方は日本酒業界の海外事業部で働くのは
すごく良い選択になるような気がします。
もし、迷っている方は迷わず行くべきです!と肩を押したいです。
日本の伝統産業で働くというのは誇りに思えることだと思います。
フランスでワイン法を学び、日本酒の海外発展に貢献したいという考えの宇野さんは22歳にしてそういった境地に気づき、
また4000本もお酒を造ることができた。
これは本当になかなかできないことです…
だから、わたしは宇野旭さんを応援したいと思いました。
わたしが心の奥底から願っているのは
日本の伝統産業である日本酒醸造が日本の文化と歴史と共に
伝わっていくようにと切に願っています。
そしてその一歩を進み始めた宇野旭さんの活躍は本当に見逃せません。
ぜひ、宇野さんのSNSをフォローしたり、
ぜひ、ドキュメント調でつくった動画をご覧いただいたり
お酒の購入も応援の意味でぜひ買ってもらえましたら
私としてもとても嬉しいです!
本日は長文のところ最後まで読んでいただきましてありがとうございました!!
またお会いできることを楽しみにしております。
フォロー、コメント頂けますと嬉しいです♪
元祖日本酒YouTuber,日本酒エンジョイチャンネルのYouTubeも是非、みてみてくださいね〜👍