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【読書メモ】解像度を上げる

解像度を上げる
著:馬田隆明
英治出版

2024年5月6日 読書メモ
読んだ本:解像度を上げる
読みながら印をつけた部分をnoteにまとめる
あくまで要約ではなく自分が大事だと思った部分の備忘録

大まかな主張

・解像度の4つの視点
 →「深さ」「広さ」「構造」「時間」
・解像度を上げるための3つの基本姿勢
 →「情報・思考・行動」+「粘り強さ」+「型」
・情報を多く集め、多く行動しろ

1章メモ 解像度を上げる4つの視点

・解像度の要素
 →深さ、広さ、構造、時間の4要素
・深さの視点
 →原因や要因、方法を細かく具体的に掘り下げること
・広さの視点
 →考慮する原因や要因、アプローチの多様性を確保する
・構造の視点
 →深さや広さの視点の要素を意味のある形で分け、要素間の関係性やそれぞれの相対的な重要性を把握する
・時間の視点
 →経時変化や因果関係、物事のプロセスや流れを捉えること

2章メモ 今の解像度

・分からないところが分からない、疑問が浮かばず質問できない状態は解像度が低い
・「分かっているところ」を調査で明確にして「まだ分からないこと」を把握。「分からないこと」をはっきりと言え、「まだ分かっていないところ」を解き明かしていく
・解像度チェック
自社のサービスに関して、下記のフォーマットで人に明確かつ簡潔に話すことができ、相手が理解できる形で伝えられるかどうかで解像度をチェック

「【状況】という状況で
 【課題】という課題を持つ
 【対象顧客】向けの
 【製品/サービス名】という
 【製品/サービスジャンル】です。
  これには【利点】という利点があります。
 【既存の代替品・競合】とは違い
 【差別化要素】が備わっています。」

埋めた言葉の背景や理由をどこまで細かく具体的に言えるかが「深さ」の指標。理由に対して7段階以上掘り下げられるかどうか
・ツリーを使って可視化
 →ツリーの深さ(7段階以上)、広さ、構造化が上手くできているかを確認。時間的変化まで予想できるとベスト

3章メモ 行動、粘り強さ、型

・高い解像度への道筋
 「情報」の質と量×「思考」の質と量×「行動」の質と量
・行動を増やすことで質の高い情報と思考を獲得できるサイクルが回り始める
 →行動することで周囲や市場からのFBという経験に基づく実感を持った情報や思考が生まれる
・情報を得たらすぐに思考し、思考したらすぐに行動し、行動をして情報を得たらまた深く思考する
 →上記を短時間で繰り返すことが解像度を上げるコツ
・時間を十分にかけて粘り強く行う
 →約1000時間が一つの目安

4章メモ 課題の「深さ」

・課題以上の価値は生まれない、良い課題を選べるかどうかで生み出される価値が決まり、完璧以上にその課題を解決してもその課題以上の価値はない
・良い課題の3条件
 ①大きな課題である
 ②合理的コストで、現在解決しうる課題である
 ③実績を作れる小さな課題に分けられる

・課題の大きさ=課題の強度×課題の頻度で考えられる
・課題の強度とは、課題が一度起こった時にどれくらいの痛みを感じるか、解決できなければどの程度の金額を失うか、解決できたらどの程度大きな金額を得られるか
・強度の高い課題→バーニングニーズ
・課題の頻度とはその課題がどのくらい頻繁に起こるか
・時代や背景によって強度や頻度は変わる、その変化に気づけることがポイント
・大きな課題を特定したら、解決可能な小さな課題に分解して、その中で最も大きな影響をもたらす課題に取り組む
 →一部の顧客が強い痛みや緊急性を感じている課題が特に重要かつ価値があるポイント
見つけた課題の「深さ」が足りないケースが多い(筆者談)
・「症状」ではなく「病因」に注目する
 →「深く課題を捉える」とは、症状ではなく、病因を突き止めること
・「市場の課題」と「顧客の課題」の混同がよく見られる
 →「市場の課題」は企業や個人の課題の集積や、市場の制度が生んだ「症状」
 →「病因」は目の前にいる一人の顧客はいったい何に困っているのかという「ミクロな顧客の課題
・他企業と差別化できるポイントは、誰でも手に入る市場のデータではなく、少数の人しか持っていない顧客の課題への洞察

・「深さ」は「内化」と「外化」を繰り返すことで深めていく
 →内化:読む、聞くを通して知識を習得
 →外化:書く・話す・発表するを通して知識の理解や思考を表現する

◇内化
・深さレベル(掘り下げ回数)が3以下なら、まずは多くの情報を集めて全体像を知ること(サーベイ)を優先
・解像度が低い原因は単に情報不足・情報整理不足のことが多い
・「情報量」が良いアイデアを浮かばせるための要因
・課題に対する関連事例を成功失敗含めて100知っているかどうかが一つの閾値、300~400以上知ると、頭の中に地図ができる
 →本なら自分の課題に関連する業界の本を端から端まで買ったり、インターネットは最低10ページ分(100サイト)見る。ただし、時間を決めて限度を定める
・深さレベルを3~5にするためにインタビューをする
 →顧客の意見ではなく、事実を聞く
 →事実を集めて、その事実を元に考え、自分達自身で洞察へと変える
・6W3Hを意識して聞く
・インタビューは50人に行ってようやく入口
・インタビューは「このあたりに大きな課題がありそうだ」というあたりを見つけられる、深さレベルを3~5に至るための手段
・アンケートではなく、インタビューを行う
・現場に行って観察し、そこで起こっている現象を自分自身で体験することも重要
 →実感をもって情報やデータを見れ、何が重要なのかの力点もわかる
・現場に行く際は、必ず事前に仮説を持っていく
・Why so?という問いを繰り返す
 →事実や情報を元に思考し、そこから得られた洞察を言語化
 →十分に具体化してからWhy so?を始めないと一般的な理由しか深ぼれない
・Why not so?(なぜこれまで課題は解決されてなかったのか?)という問いも有効
・業界、会社、個人など、問題のレイヤーの抽象度を上げ下げしながら深ぼるのも有効

◇外化
・言語化して今自分が考えている課題を外化する
・書く
 →今何が最も重要な課題だと思っているのか、それはなぜかを仮説で良いから最初に書く
 →書くことで私たちは考えることができ、書くことは思考の結果ではなく、思考の1過程である
・最初は箇条書きでもいいが、より詳細に課題を検討するときは、文章として長文で書き、6W3Hを意識して書く
 →論理の飛躍や矛盾に気づくため。考えの収束には文章が適している
・書くポイント
 →「主語が明確」「動詞を入れる」「明確かつ簡潔」「名詞は正確に使う」「形容詞や形容動詞を数値化・具体化する」「バズワードや抽象的な言葉を避ける」「言い切る」
・内化と外化の精度を上げるために言葉や概念、知識を増やす

・定量化は業務の効率化や過去の実績から進む方向を微調整していくときは有効だが、あくまで過去の傾向の延長でしかなく、特異的な機会やリスクを見逃す可能性がある。まだ数字にすらなっていないような現実を詳細に知ること、つまりその領域での高い解像度がこれまでにない新しい発見や急成長するビジネスを作るのに必要

5章メモ 課題の「広さ」「構造」「時間」

「広さ」
・物事の前提を疑う
・そもそもを問い、より多くの選択肢を考えるゼロベース思考
 →10×の問い「今の10倍の性能を出せる手段はないか」「今の10分の1の価格にできないか」という10倍、10分の1を起点にした問い
 →リフレーミング
・視座を高くする
 →今の自分の立場より上の立場で考える
 →できれば2段階上の人の視座から見る
・相手の視座に立って反対意見をあえて出していく(悪魔の代弁者)
・視座を激しく行き来する

構造
・構造とは要素に「分け」、それぞれの要素を「比べ」、要素間を適切に「関係づけ」ながら、重要でないものを「省く
・分析とは「分けたうえで比較し、そこから意味を見出すこと」
・質問することは、構造化の現在地を知るうえで有効な行動
・良い問いを立てられるかどうかは、現在の解像度を映す鏡である
・課題の解像度を上げるとは、その課題の研究者やマニアになるということ
 →業界の顧客のことならなんでも知っている、カスタマーマニアになっていると自信をもって言えれば解像度が高い状態
・センスは知識から始まる

6章メモ 解決策の解像度を上げる

・良い解決策
 ①課題を十分に解決できる
 ②合理的なコストで、現在実現しうる解決策である
 ③ほかの解決策に比べて優れている

・オーバースペックの解決策を作ってしまうのは、課題の解像度が低く、うまく課題を選定できていない
 →課題の解像度を上げて、解決策のサティスファイスの条件を見定める
 →開発すべき最低限度のラインをきめてから、それを十分に満たせる解決策の開発を始めよ
・顧客が重要視する複数の評価軸で課題を十分に解決できており、総合的に優れていなければ、その商品を選んでもらえない
・既存の代替品と少しずらした課題や評価軸を積極的に探して、既製品とは異なる価値を生み出せる領域を探すことも重要

・「深さ」の視点で解決策の解像度を上げるには、製品やサービスを実際に開発する前に、発表時のプレスリリースを書いてしまう方法もあり
 →プレスリリース項目
  ・見出し 
  ・サブ見出し 
  ・サマリー 
  ・課題
  ・解決策
  ・開発者の声
  ・始め方
  ・顧客の声
  ・クロージング
 →当たり前すぎる解決策と思った場合、それは十分な深さではない
 →その解決策ならではの固有の強みを書けるように
・行動可能な単位までHowを問う
 →課題では「Why so?」だったが、解決策では「How」を繰り返すことで深めることが可能
・実際に自分の手を動かしながら、手で考えながら解決策を作る
・デザイン思考ではなく、「デザイン行動」であれ

・「広さ」の視点で解決策の解像度を上げるには、使える道具を増やすこと
 →解決策を広く知っておけば、課題を解決できる手法に気づける確率が高くなる
・解決策の真の意味を考える
 →「この解決策が本当に解決している課題は何か」「この解決策が生み出す本当の価値は何か」を自問自答することで、その先にある大きな課題や、解決策の真の意味に気づくことができる
・解決策の解決する範囲(スコープ)を決める
 →自分達の解決策でどこからどこまでを担当するのかを全体システムの中で区切り、あえて特定の領域には手を出さないという判断を行う
・成功企業のビジネスモデルは55種類のモデルのいずれかに分類されると言われている
 →うまくいっている企業の事業構造を深く分析して、重要な構造を見つけられれば自分達に応用できるかもしれない
・新しい組み合わせを生み出すためには
 ①課題と解決策をたくさん知っておく
 ②新しい関係性を作り上げる
 →課題を意識しながら要素を組み合わせる、発想法(SCAMPER法やマンダラートなど)を活用する
・ストーリーを描くことで、受け手の理解を促進し、感情を掻き立てる構造を築く
・一歩目を踏み出すタイミング
 →「なぜ今なのか」という問いに答えられるか

7章メモ 実験して検証する

・課題の大きさは相手がお金を払ってくれるかどうかで相手の本気度合いが見える
・課題がバーニングニーズであれば、まだ品質の低い製品であってもお金を払ってくれる可能性がある

感想

この本を読もうと思ったきっかけは、
とある会議で話の内容について行けずに発言できなかったという体験があり、それが心の底でモヤモヤしていたのがきっかけだと振り返って思う。

私は製造業の会社でデータ分析業務を行っている。
データから分かること、考察と仮説、ネクストアクションについてまとめて報告するという仕事をしている。

以前、社外データと社内データを組み合わせて、新たに狙えそうな市場や企業を見つけ出すというプロジェクトで営業部長や販促部長に分析結果を発表するという会議に参加した。

その会議では、「この得意先は昔こういうことがあったから~」といった得意先との関係値や「得意先の工場のラインが~、設備状況が~」といった得意先状況、「弊社の製品状態だとこの市場は難しいかも」といった自社商材に関する議論に私は全く入っていくことができなかった。

入社してたった数年の私に対して、議論を行っている部長陣は営業歴20年以上、得意先や業界についての知識、商品知識についても私では全く及ばない程の知識量がある人達。議論に入る余地がなかった。
これがとても悔しかった。
その経験、感情があってこの本を手に取った。

この本では情報を多く取り入れろ、知識を増やせと何度も繰り返し書かれている。
考えるためにはそもそも情報が必要だし、行動するにもどの方向に行動していけば良いのかもそもそも情報がないと決められない。
会議で発言できなかった自分は業界、得意先、自社商材の知識が圧倒的に足りていないし、知識や情報を元に考え行動することができてなかった。
その結果悔しい思いをしたのだなと、当たり前のことだけれどもこの本に明確に言われた気がした。

この本に限らず、世に出ているハウツー本の内容がどれも正しいとは限らない。本に書かれている手法を時間をかけて習得した結果無駄だったということもあるだろう。
とはいえ、自分にとって痛い場所を突いてくる内容だったこの本に書かれている手法を実践してみれば、少しはあの時の悔しさを供養できるだろう。
取り組んでみよう。

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